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夜会に潜入
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「はぁ~緊張します~」
「ネイト、行くぞ」
「はい」
「今日は侯爵家以上の集まりで少ないから見つけやすいだろう。情報によると黒に近いグリーンにシルバーの刺繍だ」
「ありがとうございます」
「具合が悪くなり出したら早めに合図しろ。会場で倒れるわけにはいかないぞ」
「はい」
流石、高位貴族の夜会は華やかで上品だわ。
ドレスも高そう。
あ、ステファニー達が来た。綺麗。
シオン殿下、嬉しそう。ずっとステファニーを見てる。
羨ましい。
あ~、オードリック様は囲まれたわ。
…やっぱり優良物件みたいね。
「(モテるな)」
「(そうみたいですね。隊長もモテそうですよね)」
「(馬鹿なことを言うな)」
「(そうですかぁ?)」
「(何だその目は)」
「(目、見えるんですか!?)」
「(勘だ)」
「(あ、テオ)」
「(誰だ)」
「(従兄のテオドールです)」
ミーナ様と一緒だ。
上手くいってるみたいね。
「はぁ~」
「(どうした)」
「(従兄が順調そうで良かったなって)」
「(そうか)」
ダンスが始まりオードリック様も1人選んで踊りだした。
綺麗なご令嬢は嬉しそうにオードリック様を見つめている。
ああいうご令嬢と婚約すればいいのに。
次にテオとミーナ様が目に入った。
テオが他の女性と踊っているのを見るのは久しぶりだ。いつも私の側にいるから。
踊る2人を見て、私はテオの側にいてはいけないと思った。胸の辺りがモヤモヤしだしたから。
彼の邪魔になってはいけない。
ならしっかりオードリック様を見ないと。
1時間程経った頃、オードリック様が会場を出た。
隊長が遠いので近くの近衛に場を離れると合図をだし、オードリック様を追った。
方角的にはトイレだろう。
通路を進んで奥までくると話し声が聞こえた。
咄嗟に柱に身を隠す。
「バルギル様をお慕いしております」
「有難いですが私は縁談中です。他の方に目を向けてください」
「決まっておられないなら私も婚約者候補として側においていただけませんか。
他国では心細いこともございますでしょう?
公爵家が後ろ盾になりますわ。
私もバルギル様の身も心も癒せるよう努めますわ」
「二股のようなことはしたくありません」
「では、次の縁談相手として待ちますわ」
「期待はなさらずお願いします」
「ふふっ、ではまたお会いしましょう。お手紙を出しますわ」
……やり過ごしたら戻ろう。
甲冑って視界が狭い。夜空が切り取られたみたいに見える。
スーッ
!!
「間者か」
剣を取られた!
「グウッ」
「会場にいた時から見張っていたのは分かっている。このまま貫かれたくなければ答えろ」
首を絞め壁に押さえつけられて息ができない!
それに甲冑の隙間から剣が差し込まれているのか痛い!
「女か。使えない間者を雇った馬鹿は誰だ?」
「グッ」
「早くしないと皮一枚じゃ済まなくなるぞ」
首が締まり押しつぶされて話せない!
抵抗してもびくともしない!
剣が少しずつ刺さっていく気がする!
「女ならドレスを着て誘えばいいものを、こんなに非力で騎士に成りすます奴は初めてだ。
余程醜いのか…顔見知りか?」
意識が朦朧としてきた…
「他の警備からも見えない死角に隠れたのは褒めてやるが気配が漏れすぎだ…」
ガシャン!
オードリックは力の抜けた甲冑の女騎士から剣を抜き手を離すとアネットは崩れ落ちた。
顔を確かめようと血のついた剣先で顔の覆いをずらそうとした時
騎士が走ってきた。
「止めろ!」
「……」
「ネイト!ネイト!」
「そいつは女で間者だぞ」
騎士は血のついた剣先を視界に入れると呼び笛で合図を送る。
すぐに隊長がかけつけた。
「お前達はどういうつもりだ。間者がそんなに大事か」
「脈はある」
「首を絞めて押さえつけたから気を失ったんだ。こんな女を寄越す馬鹿が知りたいよ」
「王女殿下だ」
「は?」
「バーンズ、医務室へ運ぶ。王女殿下に知らせろ」
「ハッ!」
「バルギル殿は王子殿下の元へお戻りください」
「……」
「この者は間者ではありません。王女殿下の命で素行を見届けていた素人です」
「っ!」
「隊長、どこかに刺し傷があるはずです」
「クソッ!!」
隊長はアネットを抱き上げて走り去った。
バーンズ副隊長は王女殿下の元へ走り、オードリックは立ち尽くしていた。
「ネイト、行くぞ」
「はい」
「今日は侯爵家以上の集まりで少ないから見つけやすいだろう。情報によると黒に近いグリーンにシルバーの刺繍だ」
「ありがとうございます」
「具合が悪くなり出したら早めに合図しろ。会場で倒れるわけにはいかないぞ」
「はい」
流石、高位貴族の夜会は華やかで上品だわ。
ドレスも高そう。
あ、ステファニー達が来た。綺麗。
シオン殿下、嬉しそう。ずっとステファニーを見てる。
羨ましい。
あ~、オードリック様は囲まれたわ。
…やっぱり優良物件みたいね。
「(モテるな)」
「(そうみたいですね。隊長もモテそうですよね)」
「(馬鹿なことを言うな)」
「(そうですかぁ?)」
「(何だその目は)」
「(目、見えるんですか!?)」
「(勘だ)」
「(あ、テオ)」
「(誰だ)」
「(従兄のテオドールです)」
ミーナ様と一緒だ。
上手くいってるみたいね。
「はぁ~」
「(どうした)」
「(従兄が順調そうで良かったなって)」
「(そうか)」
ダンスが始まりオードリック様も1人選んで踊りだした。
綺麗なご令嬢は嬉しそうにオードリック様を見つめている。
ああいうご令嬢と婚約すればいいのに。
次にテオとミーナ様が目に入った。
テオが他の女性と踊っているのを見るのは久しぶりだ。いつも私の側にいるから。
踊る2人を見て、私はテオの側にいてはいけないと思った。胸の辺りがモヤモヤしだしたから。
彼の邪魔になってはいけない。
ならしっかりオードリック様を見ないと。
1時間程経った頃、オードリック様が会場を出た。
隊長が遠いので近くの近衛に場を離れると合図をだし、オードリック様を追った。
方角的にはトイレだろう。
通路を進んで奥までくると話し声が聞こえた。
咄嗟に柱に身を隠す。
「バルギル様をお慕いしております」
「有難いですが私は縁談中です。他の方に目を向けてください」
「決まっておられないなら私も婚約者候補として側においていただけませんか。
他国では心細いこともございますでしょう?
公爵家が後ろ盾になりますわ。
私もバルギル様の身も心も癒せるよう努めますわ」
「二股のようなことはしたくありません」
「では、次の縁談相手として待ちますわ」
「期待はなさらずお願いします」
「ふふっ、ではまたお会いしましょう。お手紙を出しますわ」
……やり過ごしたら戻ろう。
甲冑って視界が狭い。夜空が切り取られたみたいに見える。
スーッ
!!
「間者か」
剣を取られた!
「グウッ」
「会場にいた時から見張っていたのは分かっている。このまま貫かれたくなければ答えろ」
首を絞め壁に押さえつけられて息ができない!
それに甲冑の隙間から剣が差し込まれているのか痛い!
「女か。使えない間者を雇った馬鹿は誰だ?」
「グッ」
「早くしないと皮一枚じゃ済まなくなるぞ」
首が締まり押しつぶされて話せない!
抵抗してもびくともしない!
剣が少しずつ刺さっていく気がする!
「女ならドレスを着て誘えばいいものを、こんなに非力で騎士に成りすます奴は初めてだ。
余程醜いのか…顔見知りか?」
意識が朦朧としてきた…
「他の警備からも見えない死角に隠れたのは褒めてやるが気配が漏れすぎだ…」
ガシャン!
オードリックは力の抜けた甲冑の女騎士から剣を抜き手を離すとアネットは崩れ落ちた。
顔を確かめようと血のついた剣先で顔の覆いをずらそうとした時
騎士が走ってきた。
「止めろ!」
「……」
「ネイト!ネイト!」
「そいつは女で間者だぞ」
騎士は血のついた剣先を視界に入れると呼び笛で合図を送る。
すぐに隊長がかけつけた。
「お前達はどういうつもりだ。間者がそんなに大事か」
「脈はある」
「首を絞めて押さえつけたから気を失ったんだ。こんな女を寄越す馬鹿が知りたいよ」
「王女殿下だ」
「は?」
「バーンズ、医務室へ運ぶ。王女殿下に知らせろ」
「ハッ!」
「バルギル殿は王子殿下の元へお戻りください」
「……」
「この者は間者ではありません。王女殿下の命で素行を見届けていた素人です」
「っ!」
「隊長、どこかに刺し傷があるはずです」
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隊長はアネットを抱き上げて走り去った。
バーンズ副隊長は王女殿下の元へ走り、オードリックは立ち尽くしていた。
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