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引きこもり
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「アネット。治すためには食べなさい」
「そうだぞアネット。自分で食べないなら食べさせるからな」
王宮の特別室は他国の王族が宿泊するような部屋だ。
そして世話をするのはヒューゼル隊長とバーンズ副隊長だ。
仕事に戻ってと言っても、王命だと言われるし。
見られたくないと言っても、既に何時間も見てるし、部下の世話をするのは当然だと譲らない。
首を絞められ刺されて冷たくなる夢を見て夜中に騒いでしまった。現実だと思ってしまったのだ。
ヒューゼル隊長は強く抱きしめて、“大丈夫だ。私とバーンズが守るから誰も近付けさせない”と言って、医者だけは呼ばれた。
鏡を見た時は愕然としたが、治ると言われて安心した。その後毛布でぐるぐる巻きにされてヒューゼル隊長にこの部屋まで運ばれてきた。
「可愛いアネットの面倒をみる日々だぞ!みんなが知ったら袋叩きだろうな」
「まあ、受けて立つがな」
そんなことを言いながら2人で頭を撫でる。
「会いたい人はいるか」
「治るまで誰にも会いたくない。お父様達にはお手紙を書きたいです」
「そうか。いい子だ。レターセットを用意させよう」
「アネット、医師と助手とメイド2人は許してくれないか。面子は変えないから。男では面倒を見れない部分があるし」
「バーンズ卿、ドレスを着るわけじゃないからメイドはいいです。食事も運んでもらえれば、お茶くらい入れられます」
「わかった。ベッドルームには入れない。支度は応接間や洗面室や風呂場でやってもらう。顔を合わせることはない。それでいいか」
「ヒューゼル隊長、ありがとうございます」
昼食にはお花が一緒に届いた。
メッセージカードには “愛を込めて、ステファニー”
「私、ステファニーを傷付けているかもしれません」
「会わないと言ったから?」
「はい。でもこの顔を見たらステファニーに罪悪感を与えてしまうし、記憶に残ってしまいますから」
「刺繍はできるのか」
「はい」
「じゃあ、刺繍をしてプレゼントすれば良い。王女みたいにカードを添えて」
「はい」
そこから私はハンカチに刺繍をした。
ステファニーの分が終わったら、翌日はヒューゼル隊長とバーンズ卿の分を刺繍した。
喜んでもらえて良かった。
読書をしたり、カードゲームやチェスもやった。
カードゲームに関しては連敗だった。
「アネットは本当に可愛いな。全部瞳に出ちゃってるよ。笑顔の仮面をつけていても分かっちゃうよ」
「むう。見ないでやってください!」
「無茶言うなよ」
「ほぼ運任せのゲームにしよう」
「他のはルールがわかりません」
「教えるから大丈夫だ」
手紙をやり取りしたり遊んでいるうちに、歩き回る許可が出たが、顔が治っていない。
「出たくないです」
「分かってる。少し室内運動をしよう」
「はい」
すっかりヒューゼル隊長は髪の毛をとかす係になり、バーンズ卿が乾かす係になった。
抜糸の頃にテオから手紙が届いた。
“アネット
会いたい
理由は叔父さん達から聞いた
それでも会いたい
声を聞きたい
テオ”
嬉しかったけと、とてもテオに見せられる姿ではない。
“テオ
いつも心配してくれてありがとう
会いたいけど、まだ見せられる姿じゃないの
ごめんなさい
夜会で遠くからミーナ様と踊る姿を見たわ
素敵だった
学園を卒業して、いつまでも従兄に守られているのはよくないと感じたの
だから私ではなくミーナ様を守ってあげて
長年ありがとう
心から感謝しているわ
いつまでもテオの味方よ
テオの結婚式には呼んでね
アネット”
「アネット、大丈夫か」
「はい。大丈夫です」
脇腹の傷は残りそうだけどすっかり塞がったし瘡蓋も無くなった。後は顔だけになった。
3人で筋トレをしている。
お腹の筋肉はあまり使わない方向で。
「アネット!君の限界はここじゃない!」
「ヒェッ」
「まだいける!まだやれる!」
「くぅっ」
「腕が下がってるぞ!」
バシッ
「バーンズ、アネットを虐めるな」
「部下を可愛がっているんですよ。
人聞きの悪いことを言わないでください」
「ヒューゼル隊長、大丈夫です。
バーンズ卿はとても優しい方ですわ」
「ほらね!」
「同じのをあまり長くやらせるな」
「了解です!」
「了解です!」
「アネット、バーンズに似たら可愛くなくなるぞ」
「隊長、酷いですよ。こんなに可愛い部下に向かって」
「そうですよ!」
「アネットは可愛い」
「っ!」
「「………」」
*** アネットの入浴中 ***
「めちゃくちゃ可愛かったですね。
隊長が可愛いって言ったら真っ赤になっちゃって」
「まぁな。
でもたまたまだろう。何度か言ったことがあるが頬を染めたこともないぞ」
「初日からいい子だなとは思いましたけど、中身も可愛すぎて顔緩みっぱなしになっちゃいますよ。
何を覚えさせようかな」
「止めろ。真似させるな」
「嫌ですよ。アネットと気さくに遊べるのは治るまでなんですから」
「お前なぁ」
「ところで、まだ王子達は帰国しないんですかね」
「4日後と聞いている」
「その前に会わせてくれと言ってきそうだな」
「王命が出てるのに言いますか?」
「もしくは側近だけ残るかもしれない」
「じゃあ、先手を打ちましょうよ」
「どうするんだ」
「その気はないし会いたくないと別れの手紙を書いてもらうんです。
思い出して辛いかもしれませんが我々が護衛から外れた後にゲラン邸に押し掛けられるよりマシです」
「明日話してみよう」
「そうだぞアネット。自分で食べないなら食べさせるからな」
王宮の特別室は他国の王族が宿泊するような部屋だ。
そして世話をするのはヒューゼル隊長とバーンズ副隊長だ。
仕事に戻ってと言っても、王命だと言われるし。
見られたくないと言っても、既に何時間も見てるし、部下の世話をするのは当然だと譲らない。
首を絞められ刺されて冷たくなる夢を見て夜中に騒いでしまった。現実だと思ってしまったのだ。
ヒューゼル隊長は強く抱きしめて、“大丈夫だ。私とバーンズが守るから誰も近付けさせない”と言って、医者だけは呼ばれた。
鏡を見た時は愕然としたが、治ると言われて安心した。その後毛布でぐるぐる巻きにされてヒューゼル隊長にこの部屋まで運ばれてきた。
「可愛いアネットの面倒をみる日々だぞ!みんなが知ったら袋叩きだろうな」
「まあ、受けて立つがな」
そんなことを言いながら2人で頭を撫でる。
「会いたい人はいるか」
「治るまで誰にも会いたくない。お父様達にはお手紙を書きたいです」
「そうか。いい子だ。レターセットを用意させよう」
「アネット、医師と助手とメイド2人は許してくれないか。面子は変えないから。男では面倒を見れない部分があるし」
「バーンズ卿、ドレスを着るわけじゃないからメイドはいいです。食事も運んでもらえれば、お茶くらい入れられます」
「わかった。ベッドルームには入れない。支度は応接間や洗面室や風呂場でやってもらう。顔を合わせることはない。それでいいか」
「ヒューゼル隊長、ありがとうございます」
昼食にはお花が一緒に届いた。
メッセージカードには “愛を込めて、ステファニー”
「私、ステファニーを傷付けているかもしれません」
「会わないと言ったから?」
「はい。でもこの顔を見たらステファニーに罪悪感を与えてしまうし、記憶に残ってしまいますから」
「刺繍はできるのか」
「はい」
「じゃあ、刺繍をしてプレゼントすれば良い。王女みたいにカードを添えて」
「はい」
そこから私はハンカチに刺繍をした。
ステファニーの分が終わったら、翌日はヒューゼル隊長とバーンズ卿の分を刺繍した。
喜んでもらえて良かった。
読書をしたり、カードゲームやチェスもやった。
カードゲームに関しては連敗だった。
「アネットは本当に可愛いな。全部瞳に出ちゃってるよ。笑顔の仮面をつけていても分かっちゃうよ」
「むう。見ないでやってください!」
「無茶言うなよ」
「ほぼ運任せのゲームにしよう」
「他のはルールがわかりません」
「教えるから大丈夫だ」
手紙をやり取りしたり遊んでいるうちに、歩き回る許可が出たが、顔が治っていない。
「出たくないです」
「分かってる。少し室内運動をしよう」
「はい」
すっかりヒューゼル隊長は髪の毛をとかす係になり、バーンズ卿が乾かす係になった。
抜糸の頃にテオから手紙が届いた。
“アネット
会いたい
理由は叔父さん達から聞いた
それでも会いたい
声を聞きたい
テオ”
嬉しかったけと、とてもテオに見せられる姿ではない。
“テオ
いつも心配してくれてありがとう
会いたいけど、まだ見せられる姿じゃないの
ごめんなさい
夜会で遠くからミーナ様と踊る姿を見たわ
素敵だった
学園を卒業して、いつまでも従兄に守られているのはよくないと感じたの
だから私ではなくミーナ様を守ってあげて
長年ありがとう
心から感謝しているわ
いつまでもテオの味方よ
テオの結婚式には呼んでね
アネット”
「アネット、大丈夫か」
「はい。大丈夫です」
脇腹の傷は残りそうだけどすっかり塞がったし瘡蓋も無くなった。後は顔だけになった。
3人で筋トレをしている。
お腹の筋肉はあまり使わない方向で。
「アネット!君の限界はここじゃない!」
「ヒェッ」
「まだいける!まだやれる!」
「くぅっ」
「腕が下がってるぞ!」
バシッ
「バーンズ、アネットを虐めるな」
「部下を可愛がっているんですよ。
人聞きの悪いことを言わないでください」
「ヒューゼル隊長、大丈夫です。
バーンズ卿はとても優しい方ですわ」
「ほらね!」
「同じのをあまり長くやらせるな」
「了解です!」
「了解です!」
「アネット、バーンズに似たら可愛くなくなるぞ」
「隊長、酷いですよ。こんなに可愛い部下に向かって」
「そうですよ!」
「アネットは可愛い」
「っ!」
「「………」」
*** アネットの入浴中 ***
「めちゃくちゃ可愛かったですね。
隊長が可愛いって言ったら真っ赤になっちゃって」
「まぁな。
でもたまたまだろう。何度か言ったことがあるが頬を染めたこともないぞ」
「初日からいい子だなとは思いましたけど、中身も可愛すぎて顔緩みっぱなしになっちゃいますよ。
何を覚えさせようかな」
「止めろ。真似させるな」
「嫌ですよ。アネットと気さくに遊べるのは治るまでなんですから」
「お前なぁ」
「ところで、まだ王子達は帰国しないんですかね」
「4日後と聞いている」
「その前に会わせてくれと言ってきそうだな」
「王命が出てるのに言いますか?」
「もしくは側近だけ残るかもしれない」
「じゃあ、先手を打ちましょうよ」
「どうするんだ」
「その気はないし会いたくないと別れの手紙を書いてもらうんです。
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「明日話してみよう」
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