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危険な調査
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デビュータントが終了して客室の居間に集まっていたサルト家にゲラン伯爵とエヴァンが混じっていた。
「お前な、家族の集いに割り込むなよ」
「ライアン、私だって家族みたいなものじゃないか。今日だってちゃんと言うことを聞いて、胸を張って表情を作らず無言だったろう」
「ふざけんな。あの高速ウインクは何なんだ」
「それは合図だから」
「みんなが見てる前で吹き出すところだったろう」
「そうなのか?それは悪かった」
「それで、条件はのんだのか?」
「なんの?」
「陛下に聞きに行け」
「後にする」
「今行け」
「ええ~」
「エヴァン、行ってきて」
「ミーシェ、寂しいだろうけど待っててね!行ってくる」
バタン
「ライアン、ミーシェ。王族だそ」
「お祖父様、嫌がっていないじゃないですか」
「でも周囲はそうはとらないぞ」
「場所は考えます」
「ジイジ、シーナは?」
「すまんすまん。最近のシーナのお気に入りは何かな?」
「人の操縦」
「シーナ、それは前からでしょう」
「うん、でも段々大きくなるから操縦方法を変えないとね」
「まだいけるよ」
「姉様、ほんと?」
「うん。だってこんなに可愛い天使だもん」
「シーナ……」
伯爵は不思議でならなかった。アネットの性格とは違うからだ。
ハヴィエルに似たのか?とハヴィエルを見るとフルフルと首を振った。
翌日も伯爵は孫と遊びアネットと会話をしてニコニコとしながら領地に帰っていった。
そしてライアンは国王陛下に呼び出された。
「エヴァンが了承した。
契約書を書面にしたのでよろしく頼む」
「確認させてください……
陛下、終身雇用になってるじゃないですか」
「流石だな。冗談だ。本物はこっちだ」
「………では入学式からで」
「寮じゃなくてどこか用意するぞ?」
「ひとまず寮で頑張ります」
「そうか。困りごとはいつでも申してくれ」
「ありがとうございます」
「ミーシェは不安がっていないか」
「教わった罠を試すチャンスだと言っていました。結果が悪かったら失踪者が出るかもしれませんね」
「第四を付ける」
「ミーシェは男爵令嬢ですよ?」
「頼むから付けさせてくれ」
「だとしても罠は仕掛けさせます。その代わり仕掛けていい種類を指定してください」
「分かった」
「最近エスを見ませんね」
「国外の任務に出てる」
「あるんですね国外の勤務」
「留学したいと言ってきている国が二つあって、そのうちの一つに不穏な情報があるのだが、先方は問題ないと言い張るんだ」
「それ、何ですか」
「疫病だ」
「情報がある時点で国境を封鎖したいくらいですね」
「封鎖するにしてもどの程度封鎖するのかは広がり具合によるからな」
「エスに何かあればミーシェが悲しみます」
「無事を祈るしか出来ないんだ」
その結果が分かったのは学園が始まる二週間前だった。
「……家族全員を集めてちょうだい。集まったら家族だけにしてもらえるかしら。アーノルドは残って」
「アール、ライアンと二人でミーシェを挟んで座ってもらえるかしら」
アネットの手には手紙が握られていた。
「……はぁ……、陛下からですか」
「ジェイからよ」
家族が揃ったところで手紙の内容を伝えた。
「他言無用でお願いね。
北の二つ先の国で疫病の噂があって、それが事実だったの。だから北側の国境三つを封鎖したわ。
そこで調査に向かっていた人が感染してしまって、伝書を送った後に自害したそうよ」
「特効薬は無かったのですか」
「目星を付けて、あるものは持っていったけど効果が無かったようで、国境までもたないと…判断したみたい」
アネットの声が震えていた。
ミーシェの手にライアンがそっと手を乗せた。
「嫌だ、ライアン、お願いだから……」
「調査員はエスよ」
「ママ、止めて!絶対信じないから!
パパ!、アール!!」
「ミーシェ、王都に行きましょう」
「荷造りしてくる!」
「ライアン、追って。
アール、先触れを出したら準備して。
ハヴィエル様、ミーシェとアーノルドと一緒に第四に会いに行ってきます。
シーナとロランをお願いします」
「ライアンは」
「聞いてみますが多分行くでしょう。
支度をします」
急いでに支度をして王都に向かう。
休憩をしたくないというミーシェを宥めながら王城についた。
陛下の応接間に通されて、ジェイが陛下とシオン殿下と一緒にやってきた。
「ジェイ!エスは!」
「ミーシェ、……残念だ」
「誰も亡骸を見ていないんでしょ!生きてるかもしれないじゃない!!」
「効果のある薬が見つかっていない以上、人を送ることもできない」
「私が行ってくる!」
「ミーシェ、現実的じゃないことを言うな。
お前一人で何ができる。
我ら第四はいつも死を覚悟して任務に就く。他の騎士達もそうだろう。
エスの任務は国を、国民を、お前を守るためだ。
疫病を持っているかもしれない留学生をミーシェ達と一緒に学園に通わせるわけにはいかない。だから真相の確認に行ったんだ。
なのにお前が疫病に感染しに出向いたら、エスは浮かばれないだろう」
「ジェイ、何でその国は教えてくれなかったの…被害を教えてくれていたら……なんで!」
「ミーシェ、知らせたら流通が止まり大打撃なのだろう。北は食べ物の輸入が多い。それが止まれば飢えが始まるし、輸出も国境を越えられなくて困難になる。
やり方があったとは思うがな。
もしかしたら、王女を我が国に避難させたかったのかもしれない」
「あの国はこれから貧しい暮らしに耐えた後、封鎖が間に合わなかった国から制裁を受けるだろう」
「いつエスを迎えにいくんですか」
「終息しないと行けないし、場所が分からない。鳥は帰巣本能を利用しているだけで、出かけた先から城へは帰れても、城からエスの場所には行けない。
行けたとしても飛んでいる鳥を長距離追いかけて行くなど不可能なんだ。
探すときは、あの状況でエスならどの道を選ぶか予測をつけて探すことになる。
探し出せない可能性も低くない」
「場所は書いてなかったんですね、陛下」
「危険だから探すなということなのだろう」
「ううっ……」
ミーシェは客室でずっと泣いていた。
「ライアン、私、学園に行けない」
「それは今年は止めるってことか?」
「分からないけど、それどころじゃない。こんな気持ちで学園なんて」
「では辞退の連絡を入れておこう」
その後、ミーシェは残りたがったが、エスのことを諦められず、第四で訓練しながら時を待とうと思っていると判断し許さなかった。
「ミーシェ、貴女に接してくれている第四を基準に考えては駄目。
彼らは厳しい選抜と訓練を乗り越えて、選ばれたエリートなの。
好きなようにしているように見えてそうではないの。
沢山言いたいことはあるけど、一番分かりやすい質問をするわ。
ミーシェ、サルト家を滅ぼせる?
今夜滅ぼしてこい、当主は手足を切って目をくり抜き、妻は服を剥いで斬り捨て、子供達は適当に殺して、全員の首を晒せと言われたらできる?」
「それは……」
「第四は全てを捨てて、任務に忠実でないとならない。
私には適正があると思えないわ。
それに貴女より強い人は多いのよ」
「……」
「そういう人を好きになったら覚悟が必要だったわね。
学園のことは分かったわ。家で勉強するか学園で勉強するかの差だから。
ただし、家での勉強に問題があるようなら来年から学園生よ。
どれも無理なら領内で仕事をするなり嫁ぐなりしなくてはならないことを忘れないで」
アネットに言われてミーシェは思い知った。
第四が可愛がってくれるからといって彼らと同じではないこと、強いとはいえないこと、想像していた未来とは違うし遠くない未来に自立しなければならないことを。
「部屋で休ませてください」
「いいわ」
「お前な、家族の集いに割り込むなよ」
「ライアン、私だって家族みたいなものじゃないか。今日だってちゃんと言うことを聞いて、胸を張って表情を作らず無言だったろう」
「ふざけんな。あの高速ウインクは何なんだ」
「それは合図だから」
「みんなが見てる前で吹き出すところだったろう」
「そうなのか?それは悪かった」
「それで、条件はのんだのか?」
「なんの?」
「陛下に聞きに行け」
「後にする」
「今行け」
「ええ~」
「エヴァン、行ってきて」
「ミーシェ、寂しいだろうけど待っててね!行ってくる」
バタン
「ライアン、ミーシェ。王族だそ」
「お祖父様、嫌がっていないじゃないですか」
「でも周囲はそうはとらないぞ」
「場所は考えます」
「ジイジ、シーナは?」
「すまんすまん。最近のシーナのお気に入りは何かな?」
「人の操縦」
「シーナ、それは前からでしょう」
「うん、でも段々大きくなるから操縦方法を変えないとね」
「まだいけるよ」
「姉様、ほんと?」
「うん。だってこんなに可愛い天使だもん」
「シーナ……」
伯爵は不思議でならなかった。アネットの性格とは違うからだ。
ハヴィエルに似たのか?とハヴィエルを見るとフルフルと首を振った。
翌日も伯爵は孫と遊びアネットと会話をしてニコニコとしながら領地に帰っていった。
そしてライアンは国王陛下に呼び出された。
「エヴァンが了承した。
契約書を書面にしたのでよろしく頼む」
「確認させてください……
陛下、終身雇用になってるじゃないですか」
「流石だな。冗談だ。本物はこっちだ」
「………では入学式からで」
「寮じゃなくてどこか用意するぞ?」
「ひとまず寮で頑張ります」
「そうか。困りごとはいつでも申してくれ」
「ありがとうございます」
「ミーシェは不安がっていないか」
「教わった罠を試すチャンスだと言っていました。結果が悪かったら失踪者が出るかもしれませんね」
「第四を付ける」
「ミーシェは男爵令嬢ですよ?」
「頼むから付けさせてくれ」
「だとしても罠は仕掛けさせます。その代わり仕掛けていい種類を指定してください」
「分かった」
「最近エスを見ませんね」
「国外の任務に出てる」
「あるんですね国外の勤務」
「留学したいと言ってきている国が二つあって、そのうちの一つに不穏な情報があるのだが、先方は問題ないと言い張るんだ」
「それ、何ですか」
「疫病だ」
「情報がある時点で国境を封鎖したいくらいですね」
「封鎖するにしてもどの程度封鎖するのかは広がり具合によるからな」
「エスに何かあればミーシェが悲しみます」
「無事を祈るしか出来ないんだ」
その結果が分かったのは学園が始まる二週間前だった。
「……家族全員を集めてちょうだい。集まったら家族だけにしてもらえるかしら。アーノルドは残って」
「アール、ライアンと二人でミーシェを挟んで座ってもらえるかしら」
アネットの手には手紙が握られていた。
「……はぁ……、陛下からですか」
「ジェイからよ」
家族が揃ったところで手紙の内容を伝えた。
「他言無用でお願いね。
北の二つ先の国で疫病の噂があって、それが事実だったの。だから北側の国境三つを封鎖したわ。
そこで調査に向かっていた人が感染してしまって、伝書を送った後に自害したそうよ」
「特効薬は無かったのですか」
「目星を付けて、あるものは持っていったけど効果が無かったようで、国境までもたないと…判断したみたい」
アネットの声が震えていた。
ミーシェの手にライアンがそっと手を乗せた。
「嫌だ、ライアン、お願いだから……」
「調査員はエスよ」
「ママ、止めて!絶対信じないから!
パパ!、アール!!」
「ミーシェ、王都に行きましょう」
「荷造りしてくる!」
「ライアン、追って。
アール、先触れを出したら準備して。
ハヴィエル様、ミーシェとアーノルドと一緒に第四に会いに行ってきます。
シーナとロランをお願いします」
「ライアンは」
「聞いてみますが多分行くでしょう。
支度をします」
急いでに支度をして王都に向かう。
休憩をしたくないというミーシェを宥めながら王城についた。
陛下の応接間に通されて、ジェイが陛下とシオン殿下と一緒にやってきた。
「ジェイ!エスは!」
「ミーシェ、……残念だ」
「誰も亡骸を見ていないんでしょ!生きてるかもしれないじゃない!!」
「効果のある薬が見つかっていない以上、人を送ることもできない」
「私が行ってくる!」
「ミーシェ、現実的じゃないことを言うな。
お前一人で何ができる。
我ら第四はいつも死を覚悟して任務に就く。他の騎士達もそうだろう。
エスの任務は国を、国民を、お前を守るためだ。
疫病を持っているかもしれない留学生をミーシェ達と一緒に学園に通わせるわけにはいかない。だから真相の確認に行ったんだ。
なのにお前が疫病に感染しに出向いたら、エスは浮かばれないだろう」
「ジェイ、何でその国は教えてくれなかったの…被害を教えてくれていたら……なんで!」
「ミーシェ、知らせたら流通が止まり大打撃なのだろう。北は食べ物の輸入が多い。それが止まれば飢えが始まるし、輸出も国境を越えられなくて困難になる。
やり方があったとは思うがな。
もしかしたら、王女を我が国に避難させたかったのかもしれない」
「あの国はこれから貧しい暮らしに耐えた後、封鎖が間に合わなかった国から制裁を受けるだろう」
「いつエスを迎えにいくんですか」
「終息しないと行けないし、場所が分からない。鳥は帰巣本能を利用しているだけで、出かけた先から城へは帰れても、城からエスの場所には行けない。
行けたとしても飛んでいる鳥を長距離追いかけて行くなど不可能なんだ。
探すときは、あの状況でエスならどの道を選ぶか予測をつけて探すことになる。
探し出せない可能性も低くない」
「場所は書いてなかったんですね、陛下」
「危険だから探すなということなのだろう」
「ううっ……」
ミーシェは客室でずっと泣いていた。
「ライアン、私、学園に行けない」
「それは今年は止めるってことか?」
「分からないけど、それどころじゃない。こんな気持ちで学園なんて」
「では辞退の連絡を入れておこう」
その後、ミーシェは残りたがったが、エスのことを諦められず、第四で訓練しながら時を待とうと思っていると判断し許さなかった。
「ミーシェ、貴女に接してくれている第四を基準に考えては駄目。
彼らは厳しい選抜と訓練を乗り越えて、選ばれたエリートなの。
好きなようにしているように見えてそうではないの。
沢山言いたいことはあるけど、一番分かりやすい質問をするわ。
ミーシェ、サルト家を滅ぼせる?
今夜滅ぼしてこい、当主は手足を切って目をくり抜き、妻は服を剥いで斬り捨て、子供達は適当に殺して、全員の首を晒せと言われたらできる?」
「それは……」
「第四は全てを捨てて、任務に忠実でないとならない。
私には適正があると思えないわ。
それに貴女より強い人は多いのよ」
「……」
「そういう人を好きになったら覚悟が必要だったわね。
学園のことは分かったわ。家で勉強するか学園で勉強するかの差だから。
ただし、家での勉強に問題があるようなら来年から学園生よ。
どれも無理なら領内で仕事をするなり嫁ぐなりしなくてはならないことを忘れないで」
アネットに言われてミーシェは思い知った。
第四が可愛がってくれるからといって彼らと同じではないこと、強いとはいえないこと、想像していた未来とは違うし遠くない未来に自立しなければならないことを。
「部屋で休ませてください」
「いいわ」
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