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第二十八話 兄妹の旅路
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王宮前広場に夕日の赤色が差し込み、人々の心に郷愁を感じさせる時刻。アストリアが王宮正宮殿のバルコニーで欄干にもたれ、王都の景色を眺めていると、背後から足音が聞こえた。
「お兄様?」
アストリアは振り向く。
そこには、エーベルが立っていた。
「ここにいたのか、アストリア」
エーベルが近寄ってきて、彼女の隣に立った。
「少し、静かな場所で涼みたかっんです」
微笑みながらアストリアは言った。
「色々と、考えることが多くて」
エーベルは苦笑し、彼女を横目で見た。
「政務に携わるのは、大変だろう。戸惑うのも無理はない」
「でも、お兄様」
アストリアは真剣な表情になり、エーベルを見つめる。
「あの夜、何があったのかを知れば知るほど、王宮に戻れたからそれでいい、というわけにはいかない。日に日に、そう感じています」
エーベルはうなづいた。
「確かに。乳母や侍女、護衛という、王族・貴族を守る者が、忠誠を裏切り、恐らくは外国とも通じていた。彼らに踊らされて、貴族が王族に危害を加える大事件も起きた。個人の資質の問題で済ませるべきではないな」
「はい。『宮廷は腐っている』。多くの民は、事件をそう受け止めたでしょう。なぜあんなことが起きたか。王室や貴族がただの制度となり、心からの尊敬を既に失っているからです。愛されるための努力を十分にしてこなかったからです。いつ反乱が起きてもおかしくないと、私は真面目に考えています」
「ではアストリア、どうすればいいとお前は思う?」
「私たち王族が、生き残る道はただ一つ。血統の上にあぐらをかくのではなく、文化と教育を守り、民に奉仕する存在として、尊敬を得ることです」
エーベルは腕を組みながら、アストリアに問いかける。
「ではそのために、お前はこれから何をするつもりなんだ?」
アストリアは目を輝かせた。
「口先だけでなく、本気で彼らのために尽くそうと考えています」
「具体的には?」
「お兄様、議論よりも行動ですよ。田舎に住む人々の暮らしを、実際に見に行きましょう」
アストリアはいたずらっぽく笑った。
数日後、アストリアとエーベルは新しい政策の実現に向け、デニス・クライン卿が治める農村地帯の視察へと向かった。
二人の馬車を見て、集まった村人が歓迎の声を上げる。
「王太子殿下と王女殿下だ!」
「ようこそ、わが村へ!」
村人たちに愛想良く手を振るアストリアの笑顔を見ながら、エーベルが感慨深げに言う。
「幼いころから病気がちだったお前と、こんな風に、旅行に出掛けられる日が来るとはな……」
目を細めながら潤ませるエーベルを見て、アストリアが噴き出す。
「お兄様ったら。これからはイヤというほど、一緒に視察に行く機会がありますよ。さあ、仕事仕事!」
馬車を降りた二人を、領主のデニス・クライン卿と、最近その夫人となったレディー・ルシアが出迎えた。
エーベルは、デニスと固い握手を交わす。
「今日は、地方の声を直接聞かせてもらうために来た。よろしく頼むぞ」
アストリアと旧知の間柄であるルシアは、うやうやしく歓迎の辞を述べた。
「両殿下、お出まし頂きありがとうございます」
そして会釈しながら、ルシアとアストリアはお互いに微笑み合い、万感の思いを込めてアイコンタクトを交わすのだった。
集まった民衆を前に、まずアストリアが一歩前に出て、人々に語りかける。
「私たちは、無料で通える学校を、全国に整備したいと考えています。誰もが学校で読み書き計算を習い、社会生活のマナーと教養を身につける。そして本人の望みと能力に応じて、あるいは学問や芸術の道をきわめ、あるいは仕事の技能を学べるようにしたいのです」
アストリアはさらに続けた。
「私は病弱でしたから、健康の大切さを身にしみて知っています。病気になっても医者に診てもらえず薬も買えないことは、とても苦しいことです。農村の現実は、まさにこれでしょう。変えていかなくてはなりません」
次いで、エーベルが呼び掛けた。
「いまアストリアが述べた通り、王室は、地方の教育と医療の改善に取り組もうと考えている。皆さんの協力が必要だ。どのような問題があるのか、どんな支援が必要なのか、率直に教えてほしい」
村の長老が前に進み出た。
「王太子殿下、王女殿下。お言葉ですが、田舎には学校を建てる資金もなく、教師になれる人材もおりません。また、この村の民は農作業に日々追われており、貴重な労働力である子供を、学校に通わせる余裕はありません」
アストリアがうなづく。
「おっしゃる通りだと思います。王室と領主がお金を出し合って教師を派遣し、まず各地方の中心的な町から学校を建設して、人材を育てます。十五年後には全国の村に一つは学校があり、教師がいる状態を目指します」
「なるほど。一朝一夕に出来ることではありませんが、段階を踏めば可能かもしれませんな。どうでしょう、親が子供を働かせられなくなるデメリットを、学校では勉強だけでなく、昼飯も無料で利用できる、というメリットで補填して、親たちにアピールしては」
「給食ですね。いいお考えです。成長期の子供たちには、栄養豊富な食事が必要です。子供たちが強く育てば、国力も強くなる。必要な投資です」
また、別の農民が手を挙げて言った。
「村に診療所ができたら、本当に助かります。今は、町まで行かないとお医者様に診てもらうことはできなくて、近所には簡単な薬を売っている店があるだけです……」
エーベルがその言葉に答える。
「診療所も増やして、医師のいない村をなくすことを目標に取り組むと約束しよう。先ほどの教育改革とも関連することだ。時間はかかるが、わが国の医学の発展には、医師になる人材を大量に育成することが必要だ」
また、別の農民が意見を述べる。
「お医者様の数が少ないうちは、せめて、村々を巡回して診療して下さるお医者様がいらっしゃるとありがたいんですか……」
アストリアは、我が意を得たりとばかりに微笑む。
「巡回診療、良い考えですね。その方法なら、国の隅々にまで医療が行き渡りますし、医者たちも無理なく仕事を続けられるでしょう。王宮から予算を出して、各地方に医師団を派遣していきたいと思います」
村人たちの中にいた若い女性が、遠慮がちに手を挙げた。
「王女殿下、もし学校ができたら、私たち女性も学べるのでしょうか?」
アストリアは即座に答えた。
「もちろんです。教育はすべての人に開かれるべきです。男も女も、老いも若きも関係なく、学びたい気持ちがある人には誰でも機会を与える学校を作って参ります」
その言葉に女性は目を輝かせた。
「ありがとうございます! それなら、私も勉強して、村をもっと良くしたいです!」
「一緒に、頑張りましょうね」
アストリアが、笑顔で答えた。
デニスとルシアの案内で、農作業の視察や一般農民の住宅を訪問するなどの日程を終えたアストリアとエーベルは、宿舎となるクライン家への道を馬車で進んでいた。
「民の意見を直接聞くことができて、良かったでしょう?」
アストリアがエーベルに尋ねる。
「ああ、やはり現場の声を聞くのが一番だな。しかしアストリア、お前は本当に変わったな」
エーベルが声をかけるアストリアは、少し照れくさそうに微笑んだ。
「変わったと言うより……変わらなくては、生き残れない。そういう思いがあるんです。常に変わり続けて、汚れたものは捨て、新しい栄養を取り入れる。それが、本当に生きてる、ってことなんじゃないでしょうか」
エーベルは窓の外を眺め、言葉を選びながら話し始めた。
「アストリア……思っていた以上に、お前は強い子だったんだな。そして、ただ戻ってきたわけじゃない。お前はこれから、この国を引っ張っていく不思議な力を持っている」
アストリアは驚きながら顔を上げた。
「お兄様、そんな……私一人ではまだ、何もできません」
「一人じゃないさ」
エーベルは優しく言った。
「お前が民のために動きたいなら、兄妹で力を合わせて、この国をより良い場所にしていこうと思う。それが、王室の生きる新しい道だ。これからも、こうして民と向き合う機会を作っていこう」
「はい、お兄様」
アストリアは力強く返事した。静かに進む馬車の中で、二人は王国の未来を守る決意を新たにするのだった。
「お兄様?」
アストリアは振り向く。
そこには、エーベルが立っていた。
「ここにいたのか、アストリア」
エーベルが近寄ってきて、彼女の隣に立った。
「少し、静かな場所で涼みたかっんです」
微笑みながらアストリアは言った。
「色々と、考えることが多くて」
エーベルは苦笑し、彼女を横目で見た。
「政務に携わるのは、大変だろう。戸惑うのも無理はない」
「でも、お兄様」
アストリアは真剣な表情になり、エーベルを見つめる。
「あの夜、何があったのかを知れば知るほど、王宮に戻れたからそれでいい、というわけにはいかない。日に日に、そう感じています」
エーベルはうなづいた。
「確かに。乳母や侍女、護衛という、王族・貴族を守る者が、忠誠を裏切り、恐らくは外国とも通じていた。彼らに踊らされて、貴族が王族に危害を加える大事件も起きた。個人の資質の問題で済ませるべきではないな」
「はい。『宮廷は腐っている』。多くの民は、事件をそう受け止めたでしょう。なぜあんなことが起きたか。王室や貴族がただの制度となり、心からの尊敬を既に失っているからです。愛されるための努力を十分にしてこなかったからです。いつ反乱が起きてもおかしくないと、私は真面目に考えています」
「ではアストリア、どうすればいいとお前は思う?」
「私たち王族が、生き残る道はただ一つ。血統の上にあぐらをかくのではなく、文化と教育を守り、民に奉仕する存在として、尊敬を得ることです」
エーベルは腕を組みながら、アストリアに問いかける。
「ではそのために、お前はこれから何をするつもりなんだ?」
アストリアは目を輝かせた。
「口先だけでなく、本気で彼らのために尽くそうと考えています」
「具体的には?」
「お兄様、議論よりも行動ですよ。田舎に住む人々の暮らしを、実際に見に行きましょう」
アストリアはいたずらっぽく笑った。
数日後、アストリアとエーベルは新しい政策の実現に向け、デニス・クライン卿が治める農村地帯の視察へと向かった。
二人の馬車を見て、集まった村人が歓迎の声を上げる。
「王太子殿下と王女殿下だ!」
「ようこそ、わが村へ!」
村人たちに愛想良く手を振るアストリアの笑顔を見ながら、エーベルが感慨深げに言う。
「幼いころから病気がちだったお前と、こんな風に、旅行に出掛けられる日が来るとはな……」
目を細めながら潤ませるエーベルを見て、アストリアが噴き出す。
「お兄様ったら。これからはイヤというほど、一緒に視察に行く機会がありますよ。さあ、仕事仕事!」
馬車を降りた二人を、領主のデニス・クライン卿と、最近その夫人となったレディー・ルシアが出迎えた。
エーベルは、デニスと固い握手を交わす。
「今日は、地方の声を直接聞かせてもらうために来た。よろしく頼むぞ」
アストリアと旧知の間柄であるルシアは、うやうやしく歓迎の辞を述べた。
「両殿下、お出まし頂きありがとうございます」
そして会釈しながら、ルシアとアストリアはお互いに微笑み合い、万感の思いを込めてアイコンタクトを交わすのだった。
集まった民衆を前に、まずアストリアが一歩前に出て、人々に語りかける。
「私たちは、無料で通える学校を、全国に整備したいと考えています。誰もが学校で読み書き計算を習い、社会生活のマナーと教養を身につける。そして本人の望みと能力に応じて、あるいは学問や芸術の道をきわめ、あるいは仕事の技能を学べるようにしたいのです」
アストリアはさらに続けた。
「私は病弱でしたから、健康の大切さを身にしみて知っています。病気になっても医者に診てもらえず薬も買えないことは、とても苦しいことです。農村の現実は、まさにこれでしょう。変えていかなくてはなりません」
次いで、エーベルが呼び掛けた。
「いまアストリアが述べた通り、王室は、地方の教育と医療の改善に取り組もうと考えている。皆さんの協力が必要だ。どのような問題があるのか、どんな支援が必要なのか、率直に教えてほしい」
村の長老が前に進み出た。
「王太子殿下、王女殿下。お言葉ですが、田舎には学校を建てる資金もなく、教師になれる人材もおりません。また、この村の民は農作業に日々追われており、貴重な労働力である子供を、学校に通わせる余裕はありません」
アストリアがうなづく。
「おっしゃる通りだと思います。王室と領主がお金を出し合って教師を派遣し、まず各地方の中心的な町から学校を建設して、人材を育てます。十五年後には全国の村に一つは学校があり、教師がいる状態を目指します」
「なるほど。一朝一夕に出来ることではありませんが、段階を踏めば可能かもしれませんな。どうでしょう、親が子供を働かせられなくなるデメリットを、学校では勉強だけでなく、昼飯も無料で利用できる、というメリットで補填して、親たちにアピールしては」
「給食ですね。いいお考えです。成長期の子供たちには、栄養豊富な食事が必要です。子供たちが強く育てば、国力も強くなる。必要な投資です」
また、別の農民が手を挙げて言った。
「村に診療所ができたら、本当に助かります。今は、町まで行かないとお医者様に診てもらうことはできなくて、近所には簡単な薬を売っている店があるだけです……」
エーベルがその言葉に答える。
「診療所も増やして、医師のいない村をなくすことを目標に取り組むと約束しよう。先ほどの教育改革とも関連することだ。時間はかかるが、わが国の医学の発展には、医師になる人材を大量に育成することが必要だ」
また、別の農民が意見を述べる。
「お医者様の数が少ないうちは、せめて、村々を巡回して診療して下さるお医者様がいらっしゃるとありがたいんですか……」
アストリアは、我が意を得たりとばかりに微笑む。
「巡回診療、良い考えですね。その方法なら、国の隅々にまで医療が行き渡りますし、医者たちも無理なく仕事を続けられるでしょう。王宮から予算を出して、各地方に医師団を派遣していきたいと思います」
村人たちの中にいた若い女性が、遠慮がちに手を挙げた。
「王女殿下、もし学校ができたら、私たち女性も学べるのでしょうか?」
アストリアは即座に答えた。
「もちろんです。教育はすべての人に開かれるべきです。男も女も、老いも若きも関係なく、学びたい気持ちがある人には誰でも機会を与える学校を作って参ります」
その言葉に女性は目を輝かせた。
「ありがとうございます! それなら、私も勉強して、村をもっと良くしたいです!」
「一緒に、頑張りましょうね」
アストリアが、笑顔で答えた。
デニスとルシアの案内で、農作業の視察や一般農民の住宅を訪問するなどの日程を終えたアストリアとエーベルは、宿舎となるクライン家への道を馬車で進んでいた。
「民の意見を直接聞くことができて、良かったでしょう?」
アストリアがエーベルに尋ねる。
「ああ、やはり現場の声を聞くのが一番だな。しかしアストリア、お前は本当に変わったな」
エーベルが声をかけるアストリアは、少し照れくさそうに微笑んだ。
「変わったと言うより……変わらなくては、生き残れない。そういう思いがあるんです。常に変わり続けて、汚れたものは捨て、新しい栄養を取り入れる。それが、本当に生きてる、ってことなんじゃないでしょうか」
エーベルは窓の外を眺め、言葉を選びながら話し始めた。
「アストリア……思っていた以上に、お前は強い子だったんだな。そして、ただ戻ってきたわけじゃない。お前はこれから、この国を引っ張っていく不思議な力を持っている」
アストリアは驚きながら顔を上げた。
「お兄様、そんな……私一人ではまだ、何もできません」
「一人じゃないさ」
エーベルは優しく言った。
「お前が民のために動きたいなら、兄妹で力を合わせて、この国をより良い場所にしていこうと思う。それが、王室の生きる新しい道だ。これからも、こうして民と向き合う機会を作っていこう」
「はい、お兄様」
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