【非公式】くすぐりサークル

さくら優

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【非公式】くすぐりサークル編

1.裏サークルを見つけた

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朝比奈 佑樹(あさひな ゆうき)
山城 玲司(やましろ れいじ)

   ✦✦✦

大学の入学式の時、式場を出ると、様々なサークルが勧誘をしていた。
結局佑樹はどこのサークルにも入らなかったけれど、そこでとある噂を耳にした。

うちの大学にはいくつか非公式の怪しいサークルがあり、それを探すための裏サイトが大学のHP内に存在している、と。

興味を持った友人たちが探していたようだったけれど、結局見つからず、噂はただの噂なんだろうと思われた。

けれどその数日後、その内の1人が、その非公式のサークルのSNSを先輩から教えてもらった。

佑樹も教えてもらったそれを、自室のベッドに寝転がり、ドキドキしながら開いてみる。

すると確かにそこには、怪しい、というか、エッチなサークルの名前が色々書かれていた。
貼られているリンクを目で追っていくと、その内の1つに目が留まる。

くすぐりサークル。

佑樹は、ゴクッと唾を飲み込み、そのリンクを押した。

TLの投稿を見ると、本の感想なんかが多いようだ。それも、くすぐりをテーマにした漫画や小説の。

最新の投稿は1ヶ月前。佑樹も知っている漫画の感想だったので、いいねを押してその日はそのまま画面を閉じた。


   ✦✦✦

翌日、佑樹が反応を返したことで、例のアカウントから返信が来た。

興味があったら、今度サークルのメンバーで集まるから来ないか、という内容だった。

場所と日時、それから、簡単な決まり事のようなものが書かれていた。

女人禁制であること、無理矢理な行為はしないこと、誰にも言わずに1人で来ること。

最後の1つはちょっと気になるが、向こうも顔も知らない相手を誘っているので、それなりに警戒はしているのだろう。

日時は次の土曜の午後。大学の構内だ。
これが、夜に怪しい店とかなら行かないのだが。

返信は特に不要なようだったので、とりあえず土曜まで様子を見ることにした。


   ✦✦✦

土曜日。
佑樹は、指定の場所の近くまで来ていた。

「どうしよう⋯」

ここまで来たはいいものの、やっぱりなかなか勇気が出ない。
向こうは何人いるのかもわからないし、どんな人たちなのかもわからないのだ。女人禁制と書かれていたので、男しかいないことははっきりしているが。

ちょっと早めに来たので、その部屋に入っていく人とかがいないだろうかと見ていたが、先ほどから誰も通らない。

やっぱり帰ろうか、そう思い始めた時、

「何してるの?」
「っ!?」

後ろから声をかけられ、大げさに肩を揺らす。

「あ、ごめん。そんな驚かすつもりじゃなかったんだけど」
「い、いえ⋯。すみません⋯」
「⋯もしかして、SNSに反応くれた子?」
「!」

あっさりバレて目を泳がせる。まあこんなところに他に用事がある人もいないだろうし、当然か。

「来てくれたんだ~。嬉しいな」

その人は、おいで、と優しく肩を抱いてくる。
促されるままに、佑樹は部屋に入ってしまった。

「おつ~。返事くれた子来てくれたよ~」

中に入ると、そこには2人の男性がいた。

「来てくれたって、玲司お前、無理矢理連れてきたんじゃないだろうな?」
「そんなことしないって。すぐそこで会ったから一緒に来ただけだし」
「大方、迷ってたところを玲司に見つかったんでしょ」

まさに言い当てられてしまい、佑樹は俯く。

「自己紹介がまだだったね。俺は山城玲司。3年」
「えっと、朝比奈佑樹です。1年です」

玲司は人当たりの良さそうな雰囲気の、典型的なイケメンという感じだ。女の子にモテそうだな、というのが佑樹の第一印象だった。

後の2人も自己紹介をしてくれる。背が高いスポーツマン風の人が翔平、美人系の人が知夏ちか。一気に苗字までは覚えきれなかった。3人とも3年らしいが、そんなことよりも3人ともイケメンなことに驚きを隠せない。

促されてソファに座ると、玲司も隣に腰掛けた。

「佑樹君、お茶でいい?」
「は、はい。ありがとうございます」

緊張気味に答えると、隣で玲司がふふっと笑った。

「そんな緊張しなくてもいいのに」
「いや、するだろ普通」

正面に座っている翔平が突っ込む。一見無口で怖そうに見えるが、さっきから1番佑樹のことを気遣った発言をしてくれていた。

「はい、お茶どうぞ。大丈夫だよ、玲司はチャラくて空気読まないけど、人の嫌がることする奴じゃないから」
「それ褒めてる?」
「さあ?」

知夏はお茶を置くと、佑樹の斜め前、翔平の隣に座った。

「1年か~。どう? 大学慣れた?」
「はい、だいぶ慣れてきました」

佑樹の緊張をほぐすためか、玲司は色々話を振ってくれた。3人の話は面白くて、気付けば佑樹はすっかりリラックスして普通に会話していた。

「そういえば、あの漫画、佑樹君も読んだの?」
「あ⋯、えっと、はい」
「面白いよね~。あれ」
「SNSの感想は、全部こいつが書いてるんだよ」
「そうなんですか?」
「だってこの2人なんも投稿してくれないから」
「何書けっていうんだよ。こんなサークルで」
「まあでも、おかげで佑樹君が来てくれたんだし、たまには役に立つんじゃない?」

話がだんだん本質に触れてきて、佑樹はまた少しずつ緊張し始める。隣にいた玲司には、すぐにそれがわかってしまったようだ。

「あれ? せっかくリラックスしてたのに、また緊張してきちゃった?」
「えっ、や、あの⋯」
「玲司、意地が悪い」
「今日はおしゃべりするだけなのか、はっきりしないといつまでも緊張しちゃうでしょ」

知夏の言う通りだった。佑樹は別に、今日はこのまま解散でも構わない。先輩たちは優しいし、いい人たちのようなので、こうして話が出来ただけでも良かったと思うし、出来るならまた会いたいと思っている。

「まあ、それもそうか」

玲司は、ソファの背凭れに肘を付いて、佑樹の顔を見つめる。

「佑樹君は、今日どうして来てくれたの?」
「えっ⋯、えと⋯」
「興味があっただけ? それとも、⋯誰かとしたことある?」

その質問に、佑樹はふるふると首を横に振る。

「あの⋯、興味は、あったんですけど、でも、こういうのって、その、みんな、女の子相手の方がいいのかなって⋯」
「ああ。まあ確かに、そのままエッチな流れになることも多いからね。男女の方が多いかも」

ここに来たのは、女の子はいないからというのが大きかった。まさかこんなにイケメンの先輩しかいないとは思わなかったが。

「そっかぁ。じゃあ、試してみる?」
「!」

顔を覗き込まれ、心臓がドクッと脈を打つ。

多分、今ここで断っても先輩たちは笑って、そうだよね~急にはちょっと無理だよね~とか言ってくれるだろう。またおいで、とも言ってくれるかもしれない。けれど、次に来てもきっと、今みたいに優しく問いかけてくれることはないような気がする。

今なら、ほんのちょっと頷くだけで⋯

佑樹は顔を真っ赤にしながら、小さく頷いた。
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