9 / 10
パートナーを当てろ!ゲーム編
2.指先から伝わる
しおりを挟む
会場に着くと、まずは着替えを渡された。半ズボンとダボッとしたTシャツだった。
足だけなのになぜ着替える必要があるんだと思ったが、まあ汗をかいたりするかもしれないしと、素直に着替える。
着替えが済むと、ステージ上にある簡易ベッドに寝転ぶよう指示された。ここからは太一とは別行動だ。
ベッドは周りが黒いカーテンで覆われ、完全に周囲の様子が見えないようになっている。カーテンの外に足だけ出るような形で、仰向けで両手を頭上に上げた格好で軽く拘束された。
(手で口を押さえるのはダメってわけか)
しばらくするとイベント開始の時間になったのか、司会者が盛り上げる声が聞こえてきた。
「本日は4組の参加者がいらっしゃいま~す!」
「おおー」
足元の方からどよめきが聞こえてくる。どうやら観客もいるらしい。観客の方からだと4人の足裏だけが見える格好なのだろう。シュール過ぎる光景だ。
(考えないようにしよ⋯)
司会者がルールを説明する。サイトに書いてあったルールと違った点はない。参加者が4組なので、4分耐えれば10万円だ。
(太一、ちゃんと当ててくれるよね。自信満々だったくせに、外したら許さない)
「それでは、最初の観察タイムを始めます! 準備はいいですか~? よーい、スタート!」
司会者の合図と共に、誰かの手が足裏をくすぐってきた。真尋は僅かに眉を寄せ、唇を噛み締める。
太一以外の人に触られても笑ったりしないと言ったが、実際、顔も見えない相手に触られたところで不快感しかない。
(キモいおっさんだとか思えばいいかな。いやでもそれもキモいな⋯)
晒されているのはせいぜい足首くらいまで。足の甲や指も撫で回されるのに耐えていると、司会者の声が聞こえてきた。
「相手がパートナーだってわかっても、ちゃんとくすぐらないとダメですよ~。ズルしたら賞金は出ませんからね~」
太一は、真尋だとわかったら手加減してくれると言っていた。バレないように上手くやってくれれば良いのだが。
最初の1分で声を出してしまう参加者はおらず、人が入れ替わる気配がして、次の観察タイムが始まる。
真尋は先ほどと同様、唇を引き結んで顔を背けていたのだが、
「くっ、⋯っは、あっはははは! 無理無理! ひゃあ~!」
隣の参加者の声が聞こえてきて、ついその方向に視線を向けた。
「あー残念! 笑っちゃいましたね~。ああでも他の参加者の方もいるので、最後まで頑張ってくださいね~」
「いやー! あはははは! くすぐったいぃい!」
もう我慢する必要がなくなったからか、盛大な笑い声が会場に響く。
1人そうなると集中力が一気に削がれ、真尋は唇を噛んだ。
ようやく1分経ったようで、再びローテーションされる。
(あれ⋯? これ⋯)
3番目の人が触れた途端、なぜかドキッと心臓が跳ね、両手を握り締めた。
(最悪⋯)
多分、これは太一の手だ。なんでわかってしまうんだと、自分で自分が嫌になった。
「っ⋯⋯、」
向こうも真尋だというのはわかっているのだろう。手加減するという言葉通り、比較的強い踵の方を中心に、こしょこしょと優しく指が這う。
しばらくして、太一が何か文字のようなものを書いていることに気が付いた。
「?」
(れ⋯? が⋯、ん⋯⋯、ば⋯?)
がんばれ?
わかった途端、盛大に舌打ちしたい気分になった。
(人の気も知らないで⋯っ)
とはいえ、太一もわかっているのなら、後は残り時間耐えるしかない。文句を言うのは賞金をもらってからだ。
この1分でもう一人脱落者が出て、残りは真尋とあと一人。
「それでは、最後の観察タイムです! スタート!」
「っ――!」
ピンッと張った状態で固定された足裏を、こちょこちょと細かく刺激される。あと1分、それだけを考えながら必死に耐えていると、とうとう残っていた参加者の大爆笑が聞こえてきた。
やった、そう思ったところで終了の合図があり、真尋は大きく息を吐いた。
「それでは、参加者の方は自分のパートナーだと思う相手の番号を、お渡しした紙に書いてください」
どうやら、答えは紙に書いて一斉に出すスタイルらしい。
「それでは皆さん一斉にいきましょう。どうぞ! お、さすが皆さん正解ですね。ですがうち3組はパートナーの方が笑ってしまったので、優勝は3番の方となります! おめでとうございます~」
会場からワーッと拍手が湧いた。真尋は、妙な空間だなと冷めた目で天井を眺めながら、早く拘束を解いてくれないだろうかと、ぼんやりと考えていた。
「真尋お疲れ~」
そうしているうちに、カーテンの隙間から太一が入って来る。
「太一、早くこれ取って」
「おう」
拘束を解いてもらうと、スタッフがやって来て賞金の10万円を渡された。
「やったな!」
「うん」
色々と思うことはあるが、なんだかんだ無事に賞金もゲット出来たので、2人で微笑み合っていると、再び司会者の声が聞こえてきた。
「それではここで、残念ながら賞金をゲット出来なかった皆様に朗報です! 今から10分間のサービスタイムに参加すれば、なんと5万円をプレゼント!」
「サービスタイム?」
太一と顔を見合わせる。そんなものの説明はサイトにはなかった。
優勝した自分たちには関係のない話だが、聞くだけ聞いてみようと耳を傾ける。
「サービスタイムは特別なルールはございません。参加される場合はそのままお待ちください。観客の皆様は、サービスタイムに参加出来る方は抽選で5名!2組残れば10名となります~」
何をするのかという重要なところが抜けているが、それでも理解は出来た。つまりは、観客の中から抽選で当たった5人にくすぐられる。それで5万円ということなのだろう。
「うわ⋯」
思わずそう声が漏れる。
「サービスタイムは強制ではありませんからね~。参加されない場合はお帰りくださーい」
司会者がそう説明する中、結局3組中2組がサービスタイムに参加することにしたらしい。ここまで来たら、意地でも賞金をもらって帰ろうということなのだろう。
サクサクと抽選も進められ、ベッドの周りのカーテンも取り払われて、ゲームの時のまま拘束された参加者の周りを、5人の男が取り囲む。
「それでは、サービスタイム、スタート!」
「ギャー! あっはははは! 無理無理ー!」
「ひゃははははは! くすぐったいぃ! あぁあー!」
残った2人は、Tシャツをまくり上げられ、袖から手を入れられて、直接肌をくすぐられていた。足だけなのになぜ着替える必要があるんだと不思議に思っていたが、最初からこのためだったのだ。
「⋯⋯帰るか」
「⋯⋯うん」
真尋は太一に肩を抱かれるようにして、カオスとなった会場を後にした。
足だけなのになぜ着替える必要があるんだと思ったが、まあ汗をかいたりするかもしれないしと、素直に着替える。
着替えが済むと、ステージ上にある簡易ベッドに寝転ぶよう指示された。ここからは太一とは別行動だ。
ベッドは周りが黒いカーテンで覆われ、完全に周囲の様子が見えないようになっている。カーテンの外に足だけ出るような形で、仰向けで両手を頭上に上げた格好で軽く拘束された。
(手で口を押さえるのはダメってわけか)
しばらくするとイベント開始の時間になったのか、司会者が盛り上げる声が聞こえてきた。
「本日は4組の参加者がいらっしゃいま~す!」
「おおー」
足元の方からどよめきが聞こえてくる。どうやら観客もいるらしい。観客の方からだと4人の足裏だけが見える格好なのだろう。シュール過ぎる光景だ。
(考えないようにしよ⋯)
司会者がルールを説明する。サイトに書いてあったルールと違った点はない。参加者が4組なので、4分耐えれば10万円だ。
(太一、ちゃんと当ててくれるよね。自信満々だったくせに、外したら許さない)
「それでは、最初の観察タイムを始めます! 準備はいいですか~? よーい、スタート!」
司会者の合図と共に、誰かの手が足裏をくすぐってきた。真尋は僅かに眉を寄せ、唇を噛み締める。
太一以外の人に触られても笑ったりしないと言ったが、実際、顔も見えない相手に触られたところで不快感しかない。
(キモいおっさんだとか思えばいいかな。いやでもそれもキモいな⋯)
晒されているのはせいぜい足首くらいまで。足の甲や指も撫で回されるのに耐えていると、司会者の声が聞こえてきた。
「相手がパートナーだってわかっても、ちゃんとくすぐらないとダメですよ~。ズルしたら賞金は出ませんからね~」
太一は、真尋だとわかったら手加減してくれると言っていた。バレないように上手くやってくれれば良いのだが。
最初の1分で声を出してしまう参加者はおらず、人が入れ替わる気配がして、次の観察タイムが始まる。
真尋は先ほどと同様、唇を引き結んで顔を背けていたのだが、
「くっ、⋯っは、あっはははは! 無理無理! ひゃあ~!」
隣の参加者の声が聞こえてきて、ついその方向に視線を向けた。
「あー残念! 笑っちゃいましたね~。ああでも他の参加者の方もいるので、最後まで頑張ってくださいね~」
「いやー! あはははは! くすぐったいぃい!」
もう我慢する必要がなくなったからか、盛大な笑い声が会場に響く。
1人そうなると集中力が一気に削がれ、真尋は唇を噛んだ。
ようやく1分経ったようで、再びローテーションされる。
(あれ⋯? これ⋯)
3番目の人が触れた途端、なぜかドキッと心臓が跳ね、両手を握り締めた。
(最悪⋯)
多分、これは太一の手だ。なんでわかってしまうんだと、自分で自分が嫌になった。
「っ⋯⋯、」
向こうも真尋だというのはわかっているのだろう。手加減するという言葉通り、比較的強い踵の方を中心に、こしょこしょと優しく指が這う。
しばらくして、太一が何か文字のようなものを書いていることに気が付いた。
「?」
(れ⋯? が⋯、ん⋯⋯、ば⋯?)
がんばれ?
わかった途端、盛大に舌打ちしたい気分になった。
(人の気も知らないで⋯っ)
とはいえ、太一もわかっているのなら、後は残り時間耐えるしかない。文句を言うのは賞金をもらってからだ。
この1分でもう一人脱落者が出て、残りは真尋とあと一人。
「それでは、最後の観察タイムです! スタート!」
「っ――!」
ピンッと張った状態で固定された足裏を、こちょこちょと細かく刺激される。あと1分、それだけを考えながら必死に耐えていると、とうとう残っていた参加者の大爆笑が聞こえてきた。
やった、そう思ったところで終了の合図があり、真尋は大きく息を吐いた。
「それでは、参加者の方は自分のパートナーだと思う相手の番号を、お渡しした紙に書いてください」
どうやら、答えは紙に書いて一斉に出すスタイルらしい。
「それでは皆さん一斉にいきましょう。どうぞ! お、さすが皆さん正解ですね。ですがうち3組はパートナーの方が笑ってしまったので、優勝は3番の方となります! おめでとうございます~」
会場からワーッと拍手が湧いた。真尋は、妙な空間だなと冷めた目で天井を眺めながら、早く拘束を解いてくれないだろうかと、ぼんやりと考えていた。
「真尋お疲れ~」
そうしているうちに、カーテンの隙間から太一が入って来る。
「太一、早くこれ取って」
「おう」
拘束を解いてもらうと、スタッフがやって来て賞金の10万円を渡された。
「やったな!」
「うん」
色々と思うことはあるが、なんだかんだ無事に賞金もゲット出来たので、2人で微笑み合っていると、再び司会者の声が聞こえてきた。
「それではここで、残念ながら賞金をゲット出来なかった皆様に朗報です! 今から10分間のサービスタイムに参加すれば、なんと5万円をプレゼント!」
「サービスタイム?」
太一と顔を見合わせる。そんなものの説明はサイトにはなかった。
優勝した自分たちには関係のない話だが、聞くだけ聞いてみようと耳を傾ける。
「サービスタイムは特別なルールはございません。参加される場合はそのままお待ちください。観客の皆様は、サービスタイムに参加出来る方は抽選で5名!2組残れば10名となります~」
何をするのかという重要なところが抜けているが、それでも理解は出来た。つまりは、観客の中から抽選で当たった5人にくすぐられる。それで5万円ということなのだろう。
「うわ⋯」
思わずそう声が漏れる。
「サービスタイムは強制ではありませんからね~。参加されない場合はお帰りくださーい」
司会者がそう説明する中、結局3組中2組がサービスタイムに参加することにしたらしい。ここまで来たら、意地でも賞金をもらって帰ろうということなのだろう。
サクサクと抽選も進められ、ベッドの周りのカーテンも取り払われて、ゲームの時のまま拘束された参加者の周りを、5人の男が取り囲む。
「それでは、サービスタイム、スタート!」
「ギャー! あっはははは! 無理無理ー!」
「ひゃははははは! くすぐったいぃ! あぁあー!」
残った2人は、Tシャツをまくり上げられ、袖から手を入れられて、直接肌をくすぐられていた。足だけなのになぜ着替える必要があるんだと不思議に思っていたが、最初からこのためだったのだ。
「⋯⋯帰るか」
「⋯⋯うん」
真尋は太一に肩を抱かれるようにして、カオスとなった会場を後にした。
0
あなたにおすすめの小説
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる