鬼とドラゴン

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それぞれの帰り道

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 森から出た一行は緊張から解放されて取り留めのない話題で盛り上がった。

「なんか色々あったけど楽しかったね」

 ハナが言う。皆も同感だったらしくそれぞれに相槌をうった。始まりがあれば終わりも当然あるわけで今回の冒険も終焉を迎えつつあった。もう少し歩けば別れ道があって、ハナだけが離れる事になる。それがわかっていてかハナはそこに近づくにつれ言葉数が減り、ふさぎ気味になっていった。ヴァンは何か言葉をかけるべきかと思案したが結局思いつくことができなかった。

「それじゃあ、ハナはここでお別れだね」

 分かれ道でヴァンがハナに告げる。

「うん」

 うつむいたままでハナがこたえる。だがハナは動こうとしなかった。どうしたのかヴァンが尋ねようとしたが、それよりも早くハナの口が開く。

「……あの、アラン……。話があるの。ちょっとだけ良いかな?」

 真剣な表情。ハナの頬は上気して赤く染まっていた。何の用件かわからない者がいるとしたら、そいつはとんでもない間抜けだ。

「……俺?」

 アランは予想していなかった事態に困惑していた。普段であればアランが慌てた表情をしようものならからかってやろうとヴァンは思うのだが、今はそういう空気ではなかった。そして空気を読むならば二人きりにしてやるべきだった。

「それじゃあ僕らは先に行くよ。……また明日」

 ヴァンが歩き出すとサクラも後に続いた。ありがとうとハナの声が聞こえたような気がしたがヴァンは振り返ることはしなかった。
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