俺の人生をめちゃくちゃにする人外サイコパス美形の魔性に、執着されています

フルーツ仙人

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番外 三十 マルチバース異世界編 猟師のダリオとバグ有テオドール

おまけの補足

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□まえがき

出すか悩んだのですが、脱出直後のふたりと巨大スライムえっちになります。
大丈夫そうな方はお進み下さい。
異世界編の雰囲気を壊したくない方は閲覧推奨しません。
ハピエンです!


□□□


 無事国境の街道近い森林帯まで逃れて、まずダリオがしたのは鏡の妖精の無事の確認(拗ねてたけれど少し声が上ずっていたので大丈夫のようだ。引っ込んでしばらく出てこないと言っていた)と、後はテオドールの怪我がどうなったかだった。
「テオ、矢が……たくさん、刺さってたが、今は治ってるのか?」
「全回復したので問題ありません」
「そうか……」
 巨大スライム化したテオドールの方を恐る恐る触れながら、ダリオは言葉がうまく出てこなかった。
「その、よくわかんねーけど、言葉も流暢に喋れるようになったし、転移とかできるし、強くなったし、凄いな……」
「はい。だりおさんをぼく、守れます!」
 ちょっと興奮すると言葉がやや怪しくなるようだ。ダリオは以前のうまく喋れないテオドールの片鱗を感じて苦笑した。
 テオドールは元気だ。
 もしかしたら、彼自身はあまり苦に感じていないのかもしれない。あるいは痩せ我慢かもしれないし、本人に聞いてみないとわからない。
 ただ、ダリオは。
 あの時、最初に、ぅゅ、と悲鳴が聞こえた。
 ダリオは複合弓の威力を知っていたから、本当に自分が代わりに貫かれ、引き裂かれてしまいたかった。
 その後、何度も鋭く硬い貫通音がしたのを覚えている。合間に抑えようとして抑えきれない苦痛の声が漏れ聞こえてきた。
 テオドールが、悲鳴を我慢しているのがわかった。ぅゅ、ヴ、っという声が次第に間隔が広くなり、小さくなって、とうとう聞こえなくなる。最中、ずっとテオドールは我慢していた。
「ッ、……ッッッ」
 ダリオの頬を静かに雫が伝う。
「い、痛かった、だろ……」
 俺が泣いてどうすんだよ、と思った。そんなの俺の自己満足じゃねーかと。
 本当はテオドールが元気なら蒸し返すのもどうかと思ったが、同じことを繰り返されてもいけない。話し合う必要がある。それなのに、しょっぱなからすでに大失敗だ。
 泣きたいわけではないし、テオドールにかけたい言葉は他にあるのに、どうしてこうなっちまうんだ、と自分が情けなくなる。
 馬鹿野郎、とも言えなかった。
「テオ、悲鳴我慢してた……痛かっただろ……ごめんな……守ってやれなくて、本当にごめんな……」
 悲しいのか悔しいのか分からないままに、拳をテオドールの表皮に当てて、ずりずりと額を押しつけてしまう。
「だりおさん、泣かないで……」
 テオドールがおろおろするように表面から手を生やして、ダリオをそっと抱きしめるように隙間を作った。触っていいのか分からない風に本当に恐る恐る囲ってくる。
「ぼく……ぼく、だりおさんを悲しませたくないから、我慢しました……前、だりおさんに、お願いされたから……」
 そうだ、バスケットの中で干からびて隅っこに丸まっていたから、どうにか叱らずに、今度はダリオの言いつけを守らなくていいから、テオドールが元気でいてくれるのが一番嬉しいとお願いしたのだ。
 お願いを、聞いてくれようとしたのか。
 悲鳴を聞かせたら、ダリオが悲しむと思って、我慢すればなかったことになると。
 そんなの余計に悲しいだろ、とダリオは情緒がぐちゃぐちゃになる。
 テオドールだってわかってるじゃねーか。わかってて、他に選択がない中で、彼なりに最善を考えて、必死に実行した。してくれたのだ。
 めちゃくちゃ頑張ってくれたのに、やっぱり叱るなんて俺にはできねーよ、とダリオは無言で額を押しつけた。黙ったまま、次々に熱い雫が頬を滑り落ちてくる。
 ここでテオドールの必死の努力を無為にしてしまうようなことなど言えるわけがない。
「だりおさん……だりおさんが泣いてる……ぼく、僕、また間違えました……」
「違うよ……テオは、あの時、できることを一生懸命考えて、すげぇ頑張ってくれたよ。ありがとうな。でも、痛かっただろ? 俺は、テオが痛かったのが悲しくて、自分が許せねぇだけだよ……テオ、本当に頑張った。偉かったな……」
 ただ、前も言ったけど、俺より、自分のこと優先してくれ……とダリオはなんとか伝えた。
 もう二度とあんなことはしないでほしい。
 テオドールが返事をしないので、またやりそうだなこいつ、と思う。
「テオが痛くて辛いと、俺もここが……胸のあたりが痛くて辛くなる。俺、泣いてしまうから、できるだけお互いにそうならねーようにしような……」
 結局、提案にとどまった。ダリオだって、テオドールの立場なら同じことをしたかもしれない。
 自分にできないことをやれとは強硬に言えず、強く叱ることができなさ過ぎる。
「ぼく……強くなったから、大丈夫ですよ……」
「ん……」
 そこは少し安堵してもいいのかな、とダリオは考えて力を抜いた。
 それがわかったのか、テオドールもそろそろとダリオを抱き締めてくる。
 なんだか、とても安心した。
「テオ……大好きだ……」
 鼻を鳴らしながら、ダリオはテオドールにくっついて伝えた。
 そのまま、少し熱に浮かされたように顔を上げて視線が絡みあう。
 大きくなったテオドールは、どこが目で、どこが口なのかよくわからない巨大な虹色の肉塊になっていたが、目が合い、見つめ合っていると感じられた。
「だりおさん……ぼくのこと、怖くないですか……?」
 また聞いてきたな、と思った。急に大きくなって流暢に喋りだした時もテオドールは尋ねてきたのだ。あの時は恐れるように、しかし今は確かめるように質問する。
 ダリオは頬を寄せ、大きなゼラチン質を撫でながら、怖くねーよ、と言った。
「そうだな。あの時はそれどころじゃなくて深く考えずに受け入れたが、でかくなるし、喋るのすげぇスムーズになって、ちょっとびっくりした……」
 テオドールは黙って聞いている。
「でも、怖くねぇよ。テオは俺のこと守ろうとしてくれた。小さい時も、大きくなっても、おんなじだろ……」
「ダリオさん……」
「ただ、無茶はしないでほしい……俺のことあんまり泣かさないでくれ……」
「はい、ダリオさん」
 ぅゆ、ぅゅ、とテオドールの手のような部分がダリオの周りでもどかしそうに動いた。
「ダリオさん……僕、ダリオさんに、触りたいです……触ってもいいですか?」
 よくわからない体構造をしているのに、上目遣いでおねだりされていると感じた。小さいテオドールにまるでそうされているみたいに。
 いいぞ、と言いかけて、ダリオはふと、触るって……? とぼんやりする。
「触るって……どこに……」 
 もうやんわり抱きしめられていて、ただ遠慮を感じるから、ギュッとしたいのかなぁと思った。
「僕、ぼく……ダリオさんの全部に触りたいです……」
 ぼーっとして、それから、エッ?! とつながった。
「痛いことしません。ぼく、ダリオさんにやさしく触りたい」
 またテオドールの言葉は乱れ始めていた。
 村人たちが祭りの時に手を取り合って夜の茂みに消えていくあれと同じことを望まれているのでは、とダリオは思い当たって、カーッと顔も頭も熱くなった。
 ダリオはただでさえ一次接触は少ない生活を二十数年送ってきている由緒正しい童貞なのだ。
「あっ、い、いいけど……いいけど、だ、ダメッ」
「だめ……」
「だ、だって、テオは赤ちゃんだろ?! あの、大人になってから……」
「僕は、もう自立してます……元々赤ちゃんじゃない……ダリオさんと同じくらい……大きくなったし、大人です」
「えっ、あ、そ、そうか……え、同じくらい?」
 テオドールに言わせると、人間の成人個体くらいには生まれてから時間経過しているらしい。
「ああ、じゃあ、いいの、か……?」
 懸念事項が取り除かれて、ダリオは肩の力が抜けた。
「ダリオさん……ダリオさんは嫌じゃないですか……?」
 ぞろ、と指先のように触手がダリオの項の襟足生え際を撫ぜて、ゾクッ、と甘い快感が背筋を上から下に走り抜ける。
 ここ、外、そとだし……テオの初めてを外で……いいのか……とダリオはあさってな心配を始める。
「ダリオさんが嫌なことしたくないです……だりおさんがすき……だりおさん教えて」
「い、嫌じゃない……」
 ダリオはそう答え、これは正確ではないと言い直した。
「俺も……おれも、テオのこと好き……だいすき……おれもテオに触られたい……」
 だって、俺、俺……こんなに人から、人じゃねーけど、喋ってるやつで、こんなにたくさん優しくされたことない……酷いことしなくて、何も差し出せって言って来なくて、俺の意見聞いてくれて、大切にされたことない……
 ますますダリオは頭が熱夢に浮かされたようになって、心臓は早鐘を打つし、体はふわふわするような状態になった。
「こんなところでダリオさんにできないので、ぼく……僕の領域にお連れしますが、よろしいでしょうか」
 テオドールなりに緊張しているのか、幼げだったのが一転、妙にしゃちほこばった口調になっている。
「え……あ……うん」
 テオもやっぱり、他の怪異みたいに、妙な空間への連れ去りができるんだな、とダリオは頷いた。他の怪異と違い、ちゃんとダリオの了承を取ってくるし、全然怖くない。
 そうして連れ込まれた上下左右不明の真っ暗な空間で、たくさんたくさんテオドールに触られて、ダリオもテオドールに触り返した。服はもう半分以上脱がされて、腕や肩にかろうじて引っかかっているくらいだ。胸や腰をテオドールの触手が宝物に触れるように這って行く。
「んっ、んちゅ、む、」
 キスなのだと思う。ぺたりとテオドールの体をベッドか椅子のようにして座り、ダリオは夢中でキスした。舌のようなものがやさしく伸ばされて、一生懸命お互いに擦り合わせたり、吸ったりしてみる。
 もうずっとこうしていたい。
「ダリオさん……」
 テオドールはすりすりと体を寄せてくる。甘えん坊だ。体は大きいけれど可愛い。
「テオ、どうした……?」
「僕、したいことがあります」
 どうもテオドールは、村人の″交尾″とやらを見ていたらしく、ダリオとそれをしたいとお願いしてきたのだ。性急かなとは思ったが、ダリオもふわふわのトロトロでもっと深くつながりたくて「うん」と抱きついた。
 今回のつがい云々騒動で、ダリオは割と不可抗力な酷い目に遭ったと思う。しかもテオドールが一度は死んでしまったとショックを受けたから、したいことはできる内にする、という気持ちになっていたのである。
「ダリオさん、怖かったら教えて下さい……ぼく、ダリオさんに酷いことしたくない。いちばんやさしくしたい」
 テオドールの気持ちが嬉しい。
「ん、だいじょうぶ……嫌だったら言う……話せなかったら、押し返したら止まってくれるか?」
「ダリオさんがちょっとでも苦しいのしたら僕止めます」
「テオ、ありがとうな」
 大好き過ぎて、ダリオは、ぴと、とテオドールにもう一度抱きついた。そのダリオの体をテオドールは抱きしめ、さざ波のように震わせる。
 口の中にも、後孔にもテオドールが入ってきて、ダリオの様子を見ながら少しずつ愛撫した。
 ダリオはたまらなくなる。ダリオが押し返すほどではないが少しでも嫌がると、テオドールの方が落ち込むくらいに「ごめんなさい」「痛いですか?」「怖いですか?」と逐一確認してきた。
 ぼくはこうしたいですが、ダリオさんは構いませんか、と本当に慎重だ。  
 後孔には特に気をつけてくれて、指先のような部分で、少し入っては抜いて、また少しだけ入るといったことを繰り返す。
「ダリオさん、綺麗です……」
 世界で一番美しいものであるかのようにテオドールは言う。ダリオは恥ずかしくなった。裸に剥かれたことがではない。褒められ慣れなくて、こんな風に宝物扱いされるのが分不相応に感じてとても恥ずかしい。
「ておぉ……」
 継ぎ足すように、潤滑剤を注がれて行く。細く柔軟性のあるものが出たり入ったりして、くちゅりと濡れた水音が響いた。
 いやらしい気持ちになる。
 あ、おれ、テオとしてるんだ……とダリオは腹の奥がキュンキュンして体が熱くなった。先程から、ひくん、ひくん、と性器が頭をもたげて、桃色の亀頭からだらしなくよだれを零しては幹を伝わせてしまう。
 トロトロになった先っぽを撫で回されて、ダリオは引き絞られるように腰ががくがくした。
「ひっ、ぁ、ああっ」
 また少しだけ細いものが入ってきて、触られるとじんわり気持ちの良いところをかすめられる。また引き抜かれてしまった。
 もどかしい。足りない。
「テオ……ッ……」
 テオの指がいい。細いのもうやだ。もっと太いの。
 お腹の側の気持ちいいところ、テオのでいっぱいして。
 自ら左右に足を開いて、正面から腕を回し、奥まったそこに自分の指を這わせた。
 とろりと仕込まれた潤滑剤が溢れてくる。
 指を差し込んで、自分でクチュクチュ掻き回した。
 温かくてやわらかい。もう十分だ。
 くぱあと左右に割り開いて、テオ、と自分でも驚くほど甘い声で呼んだ。
「来てくれ」
 おねがい、と請うた。
 そうしたら、太くて大きいのが挿入って来て、ダリオは眼の前がパチパチと白んだ。
 通過されるだけで気持ちいい。
 ぞりぞりと腹側の悦点を擦られるたび、腰が跳ね上がった。
 押し込まれると、尿の漏れるように気持ちいいのが甘く堆積して、ぐぅっと体が浮く。
「あっ、ぁぁっ……イっちゃう、いっちゃう……!!」
 もう何を言ってるのか分からない。
 ぐりぐりしちゃダメェえっ、そう叫んだのか脳内だけで喚いていたのか。
 テオドールが止まらなかったので、恐らく思っただけなのだろう。
 雷に打たれて通電するような凄まじい快感と、ふわっと浮いて落下するような真っ白の闇が訪れた。
 それがぎゅうぎゅうと締め付けながら、絶頂して一瞬自我が死ぬような状態だったのだと、後から気づく。
「きもち、きもちぃよお、てお……」
 泣きながら抱きついて、身をよじり、絡み合って悶える。
「だりおさん……」
 ッは、と熱を帯びて溜息を吐くようなテオドールのそれは、幼さを払拭し、一気に成熟したかのような慈しみと情欲に濡れていた。
「てお、すき……もういなくなっちゃやだ……」
「ダリオさん、お約束します。ダリオさんを悲しませないようにします、離れません」
 ふたりは離れがたくてまた口づけ、あむあむと互いの舌を貪りあった。
 離れると、だいすき、ておだいすき、だりおさん、ぼくもすき、と急くように伝えあい、またキスする。
 しあわせで、嬉しくて、もう二度と理不尽に引き裂かれて離れたくなかった。


 それからふたりは、ダリオが落ち着くまでテオドールが甲斐甲斐しくケアしてくれて、現実に戻ってくると、色々あってひとところに住むことになる。
 自給自足カフェを開いたり、人間に嫉妬したテオドールが自分も人型になって騒動を起こしたりするのは、先だってのとおりまた別のお話である。




 補足終わり。
 
 
 
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