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12.はじめての料理

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やんややんやと言いながらキッチンへ移動する。


「料理も、錬成とほぼ同じです。
違うのは、使う道具が様々あることです。

錬成の場合は、完成したアイテムがまた次の錬成に使えますが、料理はアイテムにスキルを使えるのは一回だけの物が多いです。

逆に、完成しても素材扱いで効果がつかないのものもありますね。
そして、同じ組み合わせの材料でも使う道具が違うと完成品は変わります」


「……なるほど?」


うん、あんまり分からない。


「錬成は、先ほどの《アパー草の水薬》を次の調薬でまた素材として使えますが、料理はそうできないこともあります。
しかし、同じにんじんとじゃがいもを使っても、使う道具が、鍋かフライパンか直火か蒸し器か、などで完成品が変わります」


「なるほど分かった!」


「こちらの食品庫は時間経過が止められているので好きなものを使ったくださいね~」


「そんな素晴らしい道具があるの!?」


「大きな店や裕福な家庭にはそこそこありますよ。そう珍しいものではありませんね」


見た目はまんま冷蔵庫で、中を見ると見覚えのある食材が並んでいた。


「麻婆豆腐が食べたい気分だな~
どうやったら作れそうだろう?」


「麻婆豆腐とは、何ですか?」


「あら? スピカちゃん知らないの?」


「ええ、知りません。
私が知らないということは、ベガさまも知らなかったと思われますが……」


「でも、【森羅の叡智】を持っている人は全てのものが作れるんだよね?」


「スキルとして作れるだけで、作り方を知っているかどうかは別問題なのではないでしょうか?」


「スキルはあるけどレシピはない、みたいな?」


「そうだと思います」


「まぁ、何とか作れるでしょ。
最悪スキル無しで作ればいいさ!」


レッツクッキング~スタート!


「まず、材料ね! 
豆腐とひき肉と玉ねぎ、にんじん。
で、調味料が……レトルトとかないよねぇ……味噌と七味と、砂糖、酒、醤油! 
よし、調味料ちゃんと揃ってるじゃん!」


「あの、そんなにたくさんの素材を使うのですか?」


スピカちゃんがめっちゃ不思議そうに見てくるけど。


「そりゃそうでしょ。麻婆豆腐だもん」


まずはスキルで作れるかどうか知りたいから、全部の素材を妥当な量ずつフライパンに入れてみた。
私がいつも作るくらいの量ね。


では、スキルをぽちっと。


ぽふん
また気の抜けた音がして。



《麻婆豆腐》レア度★★★
あんまり辛くない。おいしい。
効果:炎耐性+15



「ちゃんと麻婆豆腐できるじゃん!」


単純に喜ぶ私を気にすることも出来ないくらい、スピカちゃんは驚いていた。




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