《完結御礼》【溺愛中】秘密だらけの俺の番は可愛いけどやることしれっとえげつない~チートな番を伴侶にするまでの奔走物語

嵐華子

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71.無関心と雪火

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「レン!」
「ちょ、兄さん!」

 あの竜人がレンに殴りかかる気配を感じて慌てて部屋に飛び込む。
ずっと俺を制止していたトビも同じく慌ててついてきた。

 しかし目にした光景に俺達は唖然とする。

「良いと言うまで入ってくるなって言っておいたはずだけど?」

 憮然とした顔のレンが俯せになって床に転がる竜人2人の頭にかがんで手を置いているが、ばっちいから触るの止めなさいと心から言いたい。

 しかし声をかけてくれるだけで、こちらには全く目もくれないのがちょっと寂しくなる。

 あれ、何となく黒い靄が手元に集まってないか?

 レンの手元には気のせいかと思うくらいの、目を凝らしてやっと見えるか見えないかくらいの黒いもやが漂っている。
近付いて小さな手元を覗き込むが、やはり黒い何かがぼんやり漂っている。

「えーっと、レンカちゃん何してるん?」

 トビが戸惑った様子で俺の疑問を代弁してくれた。
トビも手元を凝視しているから見えているんだと思う。

「必要な物を作ってる」

 応えてはくれたが、表情は無表情に変わってしまった。
その黒目には何の感慨も浮かんでいないし、どういう事かさっぱり理解できない。

「必要な物?
何が必要なんだ?
言ってくれれば俺が用意するから、そんなむさ苦しい頭から手を離さないか?」

 おい、トビはそんな目で見てくるなよ。
少し前にトビに言われた変態の二文字が頭をよぎったぞ。

 レンがチラリと俺を見るから期待で鼓動が速くなるが、すぐに興味を無くしたように小さな溜息を吐かれて平常に戻った。

 そんな様子にトビがレンとレンカを使い分けて話しているのが理解できてしまう。
それくら、今のレン、いやレンカは俺の見知ったレンとは表情や周りへの関心具合がかけ離れている。

「君じゃ無理。
レンの夢見で私の死に絶叫していた時でさえ呪力は得られなかっただろう。
大方初代のコトホギが未だに働いているんだ。
呪力の回収は無理····」
「ちょお待って!
レンカちゃんの死って何!?
何するつもりなん?!」

 トビが慌てたように割って入る。
今度はって、どういう事だ?

「····悪いけどこっちも時間がないし、君達いい加減ちょっと邪魔だよ」

 イラついたらしく可愛らしくも整った眉をしかめる。
しかし相変わらずこちらを見る事はない。

「私の事は大昔に死んだ亡霊とでも思っていればいい。
黙っていられないならさっさと消えてくれないかな。
心配しなくても君達の大事なレンを悪いようにはしないよ。
トビドニアもそれくらいは理解しているだろう」

 ····冷たい。

 底冷えするくらい目も表情も態度も冷たい。
というより当たり前のように俺達に興味がない。
おまけに遠慮もない。

「レンカちゃん、そういうわけにもいかへんよ。
レンちゃんの事は大事な弟弟子やけど、俺にとってレンカちゃんは恩人や。
レンカちゃんがどうしたいんか教えてや」

 そんなレンにもめげずにトビが食い下がる。
いつもの商人らしい人好きのする顔で取り繕う事はしない。
 
「私とはせいぜい何度か会って話したくらいだよね。
レンが不安定過ぎるから面倒見て貰うのに前払いで色々しておいただけだから、君が私に恩を感じる必要もない。
結局は自分の為でしかなかったし、あの時もそう言っておいたはずだ。
そして逆に私が一々君達に丁寧に教える必要性も感じない」

 冷たい黒目の一瞥に今度はさすがのトビも黙る。
心なしか傷ついたような目をしていた。

 レンは藍色の頭に視線を移し、ため息を吐いて心底つまらなそうに呟いた。

「期待外れだね。
次はどうしようかな」

 王族とか言いながら根性無しもいいところだな、とぼやきながら藍色から手を離す。

 次に深緑の頭に視線を移し暫く見つめた後、ほんの少し口角を持ち上げた。
その様が何だか艶やかで、今なら違う性だと言われても素直に納得できそうなほどに色がある。

「この世界の住人にしてはまぁまぁか」

 そう呟くとゆっくりと立ち上がる。
漂っていた黒い靄がハッキリと黒さを増し、雲のような形状でとなって小さな手にまとわりついている。

「レン、それは····」

 何だ、と聞く前にレンが口を開いた。

「おいで、雪火せつか

 瞬間、黒い雲が形を変えた。
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