《完結御礼》【溺愛中】秘密だらけの俺の番は可愛いけどやることしれっとえげつない~チートな番を伴侶にするまでの奔走物語

嵐華子

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72.消えるレンカ

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「レンカちゃん、それ使って今度はなにするん。
またあの時みたいに1人で勝手に立ち回るんちゃうの」

 トビが初めて見せた厳しい顔でレンの左腕を掴む。
いや、何かを警戒しているのか?

 レンの右手には黒い雲から変化した一振りの細身の剣が握られている。
俺のよく知る形状ではない。
剣の柄と艶のある鞘は黒く鍔は鈍色だが、恐らく刃に合わせているだろう鞘は少し反りがあって薄く細い。

「できる範囲の事をするまでだ。
レンの事は悪いようにしないとさっきも言ったよね」

 レンが不機嫌さを隠そうともせずに掴まれた腕を一瞥する。

「離せ」

 可愛らしい顔でトビを睨むが、トビも引かない。

「アカン。
レンちゃんの事だけやない。
レンカちゃんの事も俺は放っとけへん。
前もそうやけど、その刀使ったら倒れるだけやすまへんのとちゃうん」

カタナ?
剣ではなく?
そういえば、海を跨いだ遠国には刀という片刃の剣があると昔聞いた気がする。

 倒れるだけじゃすまないって、何があるんだ?!
一瞬少し前までの苦しそうな顔のレンが頭に浮かぶ。

「そうならないようにいささか心もとないけど今度は必要な物をちゃんと集めた。
私の手持ちのジュリョクは15年前のあの時に使い切っているし、あの時は私の手持ちのだったから直接的に私に返しがきただけ。
さすがに今のこの体の状態が悪すぎるのは考慮している」
「やったら大人しくしといてや!」

 トビは堪らずといった様子で声を荒げる。
何に対してかはわからないが、焦っているのだけはわかる。
しかしレン、いや、レンカは意にも介していない。

「それはレンかゼノに言うべきだ。
前回はともかく今回はレンのやる事をサポートするつもりしかない。
そもそも本来なら表に出る事もなくレンと完全に同化するまで眠っているはずだったのを叩き起こしたのはゼノだし、叩き起こされるような事をしでかしているのはレンだ。
しかも目覚めてみればレンの記憶をどう掘り返してみようが、夢見で未来をどう探ろうが私の干渉無しではレンは死に一直線だ。
挙げ句にが手放したコトホギ宿してる男はいるわ、あっちの世界の患者が異世界間をどちらの神の了承も無く渡った上によりにもよってが封じた者まで引っさげてるわ、渡りの反動で持病を再発してるわ、呆れ果てる事態の多発にむしろ私の方が大人しく無視しておきたくなる状況なんだよ」

 ゼノリア神も言っていたが、コトホギって言う何かを宿してるのって俺の事だよな?
夢見で未来を探るって、未来を視る異能って事か?
かつての私って、あの白い子供の事だろうか?

「やったら····」
「それでもそうするわけにもいかない。
君がレンだけじゃなく私を案じてくれているのはわかっているけど、だからと言って一々君や今日会ったばかりの男にとっくに死んでる私が義理立てする理由も無ければもう時間もない。
私の事は恐らくゼノがそこの男にいくらかは話したようだからソイツに聞け。
聞いたからと言って私に何らかの情は傾けるな。
そう遠くない内に私はレンの記憶の一部となって消える。
傾けるだけ無駄だ」

 俺は完全に蚊帳の外で話が進んでいるし、そこの男呼ばわりされて耳と尻尾が垂れ下がりそうだったがレンカの最後の一言に絶句する。
レンが死に一直線とかレンカが消えるとか、何なんだ。
レンとレンカが別人らしいのは2人の話から何となくわかったが話の内容は混乱しかない。
それに俺にとってはレンもレンカも同じ番なんだ。

 俺はレンの夢で見た恐らくレンカが死んだ時のあの光景を思い出して総毛立つ。

 トビは違う理由だろうが同じようにこれ以上の言葉は出てきそうになく、口をつぐんでしまった。

 掴まれていた力が緩んだのだろう。
手を振りほどいた瞬間いつもの金色の光が現れ、小さな体を包む。
レンの魔法だ。

「レン!」
「レンカちゃん!」

 光の中で踵を返した小さな体に制止しようと俺達が伸ばした手は宙を切った。
レンの姿はもう無かった。

「「何事だ(です)!?」」

 直後、ただならぬ気配を感じたのだろう団長達がけたたましく入って来たが、俺もトビも途方に暮れて2人を見返すだけだった。
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