《完結御礼》【溺愛中】秘密だらけの俺の番は可愛いけどやることしれっとえげつない~チートな番を伴侶にするまでの奔走物語

嵐華子

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76.むさ苦しい話し合い

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「それで、何があったんです?
レンはどこにいったんですか?」

 笑顔の副団長の後ろにブリザードが見える。

「我らはザッカルード国騎士団として同じく我らが国王陛下より遣わされている。
任務の1つが黒竜の番を奪還し、無傷で魔の森へ帰す事だ。
あんな体でレンはどこに行った?」

 憤怒の形相の団長の後ろには火山の噴火が見える。

 もちろん幻覚だ。
きっと気のせい····と思いたい。

 ちなみに俺はトビと眠っている藍色と緑銀色の竜人を残し、天災を背後に背負う2人と秘密裏にザガドの客室へ無言で戻った。
団長達も無闇にその場で説明を求めたりせず、迅速な対応をした。
トビはそのまま残って誤魔化すらしい。
幸い俺達が奥の部屋で隠れていた事は気づかれていないからこそだ。

 俺は言われた通りにこちらの宮に到着してすぐに風を使ってザガドの方から元側近のラスイードへ連絡を取ってもらったが、副会長として何か打ち合わせるという名のアリバイ工作と元側近の彼を巻き込むつもりだ。

 ザガドはすぐに来ると言って小一時間ほど経っているが、まだ到着していない。
正直誰でも良いから来て欲しい。
部屋に戻ってからずっと部屋の真ん中でむさ苦しいメルが3人突っ立って話している。

「入るぞ」

 来た!
今まで何も感じなかったが、とにかく今はお前が王族のように輝いて見える。
その後ろから厨房でレンに給餌していたジェロムが続く。
途中でたまたま合流したらしい。

 ひとまずむさ苦しい男達でテーブルにつく。
昨日俺とザガド、ジェロムにラスイードの4人で話したあのテーブルだがガタイのいいメルが5人になるとあの時より格段に狭く窮屈に感じる。

「レンと会った。
だがあれは····」
「レンと!?
いつですか!?
随分熱が高かったのに!」
「副団長、落ち着け。
それで今はどこに行った?
無事なのか?」

 副団長がザガドの言葉を遮り、立ち上がる。
はずみで腰掛けていた椅子が後ろに倒れたが全く気にしていない。

 団長はをそんな副団長をたしなめ、騎士団団長として尋ねる。
が、やはりレンを心配して様子を聞き出す様が尋問の時のように威圧的だ。

「ああ、無事だと思う。
誰かにさらわれたり危害を加えられた様子はないし、ここにいた時より体調もいくらか回復しているように見えた。
ただ、あれは····」

 言いにくそうに言葉が途切れる。
恐らくまだレンカの状態で別人だったと言いたいのだろう。
俺は口を挟まず、この後レンカの事をどう説明するべきか、どこまで話すべきなのかを考える。

「あれは恐らく別人だ」
「別人?
どういうことですか?」

 予想通りのザガドの言葉に副団長が疑問を口にする。
そういえばジェロムはさっきから一言も喋らない。

「体はレンだが、中身、というか別人格、というか、とにかく私の知るレンではなかった。
二重人格、という事はないのか?」

 最後の質問は番である俺に向けてのものだろう。
予想通りの展開だ。

「その事ですが····俺も少し前に知りました。
今は便宜上彼をレンカと呼びます。
レンカは15年ぶりに表に出てきたもう1人の人格で、今はレンを死なせないように動いているようです。
レンに対して何か害を与えるつもりはなく、長く表に出るつもりはない、いずれはレンの人格に吸収され、消えると言っていました」
「待て。
レンは14才ではなかったのか」

 あ、そういえば団長にはそう言ってあった。

「俺が聞いた時は体年齢は14才と言ってましたが····そういえば····実年齢はいくつだ?」

 思わず体長モードから警護が抜け、素が出る。
実年齢を聞いたことがなかった。

「グラン····」

 名を呟いたザガドだけでなく、全員から残念な眼差しを向けられるが、不可抗力だ。

「ゴホン!
と、とにかくそういう事で、今レンカが1人で行動していますが何をどうするかは教えられずに転移で消えてしまった為今後の行動は予測出来ません。
俺達は俺達で成すべき事をしろ、自分の事は気にするなと言われました」
「····つまりレン、いえ、にわかには信じられませんが、レンカは自発的な行方不明で見失ったと····」
「うぐ!」

 痛い!
副団長の容赦ない言葉が胸に突き刺さる。

「副団長、グランもレンと知り合って間がない。
人属で番の認識も無い上に訳ありなのは明白だ。
知らない事が多いのは仕方ない」
「く!」

 団長のフォローが更に突き刺さる。
その通りだけれども!
その通りだけれども····あ、何か泣きそう····。

「····そうですね。
立て続けに起きたこの国も介入した事件でグランも番との時間が取れなかったのですから仕方ありませんね」

 チラリと見たザガドを見る目がいくぶん細くなり、ザガドも気まずそうだ。
副団長がかなりご立腹なのは間違いない。
それだけレンを心配しているのだろう。
というか、身内と認識した子供がいきなりの二重人格に年齢不詳、行方不明では仕方ない。
むしろそんな子供(の年齢かはわからないが)を未だに心配してくれている事が有り難いと考えるべきだ。
胸はしっかりえぐられたが。

「それで坊主はどこで何をしてザガド様に出くわしたんだ?」

 考え込むように黙っていたジェロムが話を進める。
ザガドは言いにくそうに、視線をさ迷わせたが意を決して口を開いた。

「それが····兄上の寝所で伴侶のヨハンに····刀を突き刺していた」
「「「「········はぁ!?」」」」

 しばしの沈黙の後、俺達むさ苦しいメル4人の素っ頓狂な声が揃った瞬間だった。


※※※※※※※※※
お知らせ
※※※※※※※※※
全2話の短編小説を昨日から投稿しています。
<【花護哀淡恋】ある初代皇帝の手記>

ハロウィン→墓→ホラー→ミステリー?あれ?みたいな感じでハロウィンからかけ離れた内容の小説が出来上がりました。
よろしければご覧下さい。
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