《完結御礼》【溺愛中】秘密だらけの俺の番は可愛いけどやることしれっとえげつない~チートな番を伴侶にするまでの奔走物語

嵐華子

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99.旧帝国内乱の首謀者

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 キョロに連れられた先はペネドゥルの離宮にある客室の屋根の上だ。
キョロは意識しない限り目視出来ない上空に飛翔してからここに降り立った。
ラスイードが風と水蒸気で目隠しして屋根伝いに部屋に入ったから部屋の前の見張りには気づかれていない。

 トビはずっと客室で見張りをやり過ごしながら商会員と連絡を取って城下を調査していたらしい。

「レンは見つかったのか?!」

 まずは当然、城下に行ってしまったらしいレンの安否確認だ。
トビは渡された証拠資料を受け取って目を通している。
にしてもうちの陛下が今回の潜入の指揮をトビに任せたみたいだが、それだけ信用されてるって事だよな?
やっぱただの商会の副会長じゃないんじゃないか?

「見つけた時の信号弾は上がってるみたいや。
うちの商会でも戦闘力高い奴が向かったから心配いらへん。
性格は軽いけど医者の知識も少しはあるしこういう時の為に人属の子供用の薬も持たせてる」
「····軽いのか」
「まぁまぁ軽いけど、レンちゃんを襲ったりはせえへんから殺気は抑えてや」

 竜人達よ、人を残念そうな目で見るな。

 それよりも、とトビが話を切り出した。

「大きな問題点がいくつか出てきたで」
「問題点?」

 俺の言葉に珍しく真面目な顔で頷く。

「1、食糧難。
これは今すぐやあらへんけど、作物の不作が数年続いてて、ここ半年は配給も止まってるからそろそろ表面化してきそうや。
あと次の問題点にも繋がってくるねんけど、竜人と獣人の中でも逞しいタイプの国民が行方不明になっていってるらしく作物の作り手に支障をきたしてるみたいや。
兵士に掛け合っても調査されてないらしいで。
2、その行方不明者や。
その研究記録見る限りペネドゥルがかなりの数を拐ってるんちゃうやろか。
獣人や竜人を使い捨ての兵器にしようとするんやったら逞しい方がえぇはずや。
鎖国で人の出入りはそこそこ厳しく管理されてるし、商会仲間の裏話でも聞いた事あらへんから外部犯ちゅうのは可能性が低い。
3、麻薬中毒者の急増。
ここ数ヶ月は廃人レベルの中毒者が増えてて、城から放逐されてるって噂になってるみたいや。
行方不明やった人が麻薬中毒になって帰って来てる場合もあるねんて。
特に竜人の中毒者が1番手に負えんみたいで、昔白竜が住んでたっていう山に閉じ込めてるらしいわ。
既に何人かは亡くなってる。
4.王族への強い反感。
行方不明やら麻薬中毒患者やら亡くなる人が増えてきてるとこに食糧難が表面化しつつあるみたいやし、公の配給もない、王様も伴侶と眠りだしてて職務放棄となったら多分何かのきっかけで簡単に暴動が起きるで」
「そんな····」
「何ショック受けてんの。
自分ら兄弟がそれぞれしでかした事へのつけやん。
そう遠くないうちにこうなるんわかってたやろ」
「····あぁ」
「今更陛下にすがるのは無しですからね」

 ラスイードが顔をしかめて横槍を入れる。
これまでのザガドを思えばラスイードの一抹の不安もわかる気がする。

 にしても商会が城下に入ってこれだけ短時間で情報仕入れてくるって、どんな団体だよ。
表に出てこない会長も含めて気になるぞ。

「わかっている。
宣言を曲げたりはしない。
それに再び俺の側近になる事を選んでくれたジェロムを助けないわけないだろう」
「ジェロムは強いのか?」
「純粋な戦闘力だけでいうなら竜化する前の陛下に少し劣る程度に強いですよ。
陛下は護衛役をしていた従兄には負けるとおっしゃってましたが、戦闘力は我が国随一です。
従兄は何年か前にいなくなりましたが。
ですからもしジェロムがあの麻薬で凶暴化して少しでも竜化してしまえばザガド様と私と2人がかりでも手に負えるかわかりません。
最悪殺して止めるしかないでしょうね。
救いは魔法が使えない事です。
使えない者は凶暴化しても使えませんから」
「それはさっさと見つけへんとまずいか。
レンちゃんはジェロムのおっちゃんの事を気に入ってるみたいやし、レンカちゃんもわざわざ夢見で助けようとしてたしな」
「気に入っただと····」

 俺を差し置いてむさ苦しいメルをレンが····はっ、そういえばジェロムもレンに給餌していたが、あの時レンはジェロムに給餌されたがって····そういう事なのか?!

「兄さん、レンちゃんは気に入ってても兄さんが思うような感情を持ってへんから勝手に落ち込むんやめてや。
まぁでも、おっちゃんに何かあったら間違いなくレンちゃんはぶちぎれる。
レンカちゃんとは違うけど、2人は根本的なとこはよう似てんねん。
自分の体調なんか何も考えんとおっちゃんを助けるやろうし、悪手だろうと最短で事態を終息さす方向で梶を切りかねへん」
「副会長、あなたの思う悪手とは?」
「現況のペネドゥルと国王を言葉そのまま殺す事や」

 トビの言葉にザガドは絶句した。

「副会長はあの子が人を殺せると?」

 ラスイードは冷静だな。

「可能性の話やで」
「トビ、過去にそういうことがあったのか?」
「レンちゃんもレンカちゃんもまだ人を殺した事はあらへんから安心してや」

 俺の言葉に、いや、多分俺の表情に緊張感があったのか、苦笑いを浮かべる。
だが····。

「殺しそうにはなった、か?」
「知らへん方がええ事もあるで?」
「教えてくれ」

 間髪入れずに頼むとトビがため息を吐く。

「15年前、リドラビルで起きた内乱と王の代替わりは当然知ってるやろ。
あれはレンカちゃんの仕業やけど、発端はレンちゃん。
いや、ある意味俺か。
あの時リドラビルの皇子から俺を庇ってレンちゃんは大怪我したけど、その時相手を殺しそうになった。
ギリギリのところで爺さんが止めるん間に合ったから殺してへんよ。
半死半生やったけど。
ほら、魔力拘束具付けられたのに魔力でフルボッコにしたって言うてたやつ。
その後レンカちゃんが完全にレンちゃんを意識の奥に引き込んで体の主導権握って2日で当時のあの国を潰した。
レンカちゃんも予め爺さんと約束させてなかったら当時の皇帝も腐敗してた貴族も殺してたんちゃうかな。
手っ取り早くて無駄がないのに、とかぼやいてたから。
当時のレンちゃんは精神的には幼過ぎて物の善悪がついて無かったし、レンちゃんの知識の根源になってるっぽいレンカちゃん自身は多分····理由ははっきりしてへんけど当時は今より荒れ狂ってた。
ただレンカちゃんも爺さんは特別な存在やったから、仕方なくレンカちゃん的には手間をかけて無血の内乱に持ってったっちゅうんが正しい。
俺がレンちゃんの夢見と刀の事を知ったんもその時や」
「「「····」」」

 やばい、どこからつっこんでいいのかわからん。
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