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第7章 恋する騎士

7ー2 兄さん

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 7ー2 兄さん

 「とにかく、なんでこんなところにおられるのか説明してくださいませんか?ルシーディア様」
 「それ、やめてくれるか?」
 ルシーディア様がわたしに告げた。
 「いったはずだ。ここではルシーと呼ばれている」
 「では、ルシー、あなたは、なんでここにいるんですか?」
 わたしが問うとルシーは、答えた。
 「私、いや、僕は、ここで魔道具師の弟子をしている」
 魔道具師の弟子ですか?
 「なぜ」
 問おうとしたわたしの言葉を遮ってルシーが答えた。
 「僕は、王にはならない」
 ルシーは、わたしをひたと見て告げた。
 「僕は、魔道具師になりたいんだ」
 はい?
 わたしがきょとんとしているとルシーの背後から不意に現れた人影ががしっとルシーの肩をつかんだ。
 「何やってる?ルシー」
 「無礼者!手を離せ!」
 わたしは、ルシーの肩を掴んだその男の手を払い、ルシーをかばうようにして前に出た。
 その若い男は、きょとんとしてわたしを見ていた。
 若くて茶色の髪と目をした職人風の男だ。
 わたしの肩にのったマオが唸り声をあげるのを見てその男は、驚いた様子で声をあげた。
 「もしかして猫竜か?」
 「そうだけど・・」
 思いがけない相手の反応にわたしが怯んだ隙にルシーがわたしを押し退けてその男に頭を下げた。
 「すみません、兄さん。知り合いにあったものでつい、話し込んでいました」
 「お前が遅いからまた道に迷ったのかと思って親方が探しに行けってよ」
 ルシーに兄さんと呼ばれた男は、わたしとマオをまじまじと見つめた。
 「どういう知り合いかしらんが、仕事中だぞ、ルシー」
 「はいっ!」
 ルシーは、くるっとわたしを振り向くとそっと呟く。
 「明日、朝、宿屋に迎えに行く。どこに宿をとっているんだ?」
 「えっ・・その、アギタスさんのとこの宿屋に泊まってるんですが・・」
 わたしが答えるとルシーは、くるっと後ろをむいて歩き去ろうとした。
 「ちょ、ルシー、ディア様?」
 「明日、話す」
 それだけ言うとルシーは、兄さんと一緒にその場から去っていった。
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