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第11章 交流戦

11ー5 恋してるかも

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 11ー5 恋してるかも

 ルシーディア様は、わたしをとても上手にリードしてくれた。
 わたしは、はじめてダンスが楽しく思えていた。
 「今日は、マオはどうしたの?」
 踊りながらルシーディア様がわたしに訊ねた。
 わたしは、答えた。
 「マオは、王宮の庭を散歩してますわ。あの子は、あまり賑やかな場は、好きじゃないんです」
 「そうなの?」
 ルシーディア様がにこっと笑った。
 「なら、今夜は君を独り占めできるのかな?」
 うん?
 急に曲調が変わってゆったりとしたものになる。
 ルシーディア様は、わたしを抱き寄せると耳元で囁いた。
 「今夜の君は、ここにいる誰よりもきれいだ」
 ルシーディア様の声にわたしは、体がびくっと震える。
 すぐに呼吸を整えてわたしは、返事をした。
 「そんなわけは、ないでしょう?リータ様や、セシリア様たちもおられるのに」
 「いや」
 ルシーディア様は、わたしのことを覗き込むように見つめた。
 「君は、世界中の誰よりも美しい」
 はい?
 わたしは、頬に血が集まってくるのを感じていた。
 ルシーディア様は、その夜、最後の曲が終わるまでわたしを離さなかった。
 わたしは、なんだかふわふわした気持ちで踊り続けていた。
 でも。
 リータ様がすごい怖い顔をしてわたしを見ているのには気づいていた。
 マジで怖い。
 美人が怖い顔をすると迫力があるし。
 ほんとに勘弁してほしい。
 わたしは、ルシーディア様の腕の中で考えていた。
 これから交流戦が終わるまでの一週間の間、耐えられるかな。
 
 パーティが終わってわたしは、王宮の客間に通された。
 うん。
 すごい贅を凝らしたお部屋だ。
 さすが王宮。
 わたしは、部屋つきのメイドさんに手伝ってもらってドレスを脱ぐとほっと吐息をついた。
 おそらくムスタファ王国の一団もこの王宮に宿泊している筈だった。
 わたしは、できるだけこれから一週間、王宮を一人で出歩かないようにしようと心に誓っていた。
 できるだけ厄介ごとは、避けたいものだ。
 わたしが湯をつかって夜着に着替えた頃、窓からふらっとマオが帰ってきた。
 「マオ!」
 わたしは、マオに声をかけた。
 「どこに行ってたの?」
 マオは、ふらふらとベッドに近寄るとそっと飛び乗った。
 そして、毛繕いをすると丸まってちらっとわたしの方をうかがった。
 うん?
 なんか変だし。
 「どうしたの?マオ」
 「うん」
 マオは、ほぅっと吐息を漏らした。
 「あたし、もしかしたら恋してるのかも」
 マジですか?
 
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