竜の国のカイラ~前世は、精霊王の愛し子だったんですが、異世界に転生して聖女の騎士になりました~

トモモト ヨシユキ

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第13章 暗黒の大地へ

13ー10 魔王

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 13ー10 魔王

 「キルハ様、助けてくださったんですね」
 わたしは、キルハ様にお礼を言った。
 「ありがとうございます」
 「ばかばかしい!」
 キルハ様がぷいっとそっぽを向いた。
 「そっちがあまりにもしょうもないことに巻き込まれているからでしょう」
 キルハ様が怒ったように言い放った。
 「仮にもわたしに勝利したくせに、あんな連中にいいようにされてだらしない!」
 「まあ、そうなんですが」
 わたしは、頭を掻いた。
 「あそこで下手にやっつけちゃうといろいろ後がややこしくて。ついつい受け身になってしまっちゃいました」
 「バカじゃないの?」
 キルハ様が言葉をあらげた。
 「この世界を滅ぼせるほどの力を持っているくせにいじめられてるなんて!」
 「そうなのか?」
 ライモンドがわたしに訊ねた。
 「強いとは思っていたんだが、まさか世界を滅ぼせるような力を持っているのか?」
 「そんなわけがないでしょう!」
 わたしは、慌てて反論した。
 「わたしは、聖女アニノマス様の騎士。世界を滅ぼすことなんてありえません!」
 「否定するの、そこかよ!」
 ライモンドがかなりひいた様子でわたしを見ていた。
 キルハ様がわたしを睨んで悔しそうに告げた。
 「もしも、その力を私が得ていたなら」
 キルハ様が呟く。
 「こんなことにはなってはいなかったのに!」
 はい?
 わたしがきょとんとしているとキルハ様が静かに話した。
 「カイラ。あなたならまだ逃れられる。悪いことはいわないからさっさとこの地から逃げなさい」
 はい?
 キルハ様は、続けた。
 「もうすぐこの世界は、終わるのよ。暗黒大陸で魔王が生まれたから」
 「なんでそんなこと、キルハ様が?」
 わたしが問うとキルハ様が答えた。
 「魔王は、私と共に生まれて共に生きていたから。私は、魔王をよく知っているの。あの子は、私の」
 キルハ様は、一瞬、声をつまらせた。
 「私の双子の弟だから」
 魔王がキルハ様の双子の弟?
 わたしは、ぽかんとしてしまった。
 突拍子もない話しに私が言葉も失っているとライモンドがきいた。
 「あんたの弟が魔王になったってのか?」
 「ええ」
 キルハ様が答えた。
 「こうならないために私は、絶対に聖女にならなければならなかった。だけど、ダメだった」
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