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18 王都に行こう
しおりを挟む「はい、これで依頼完了報告は終了です。お疲れ様でした。またよろしくお願いします。」
あんな事があったのに、ヴィンは相変わらずギルドで働いている。嫌なら辞めていいって言ったけど、働く事が楽しいから辞めたくないって。
ギルドの皆もヴィンが無事だった事に喜んでくれた。それから僕とヴィンが恋人になった事も皆に言った。
だからヴィンに手を出した奴は許さないって言って。
かなりギルドの皆には冷やかされたけど、逆に皆の目の前でヴィンにキスしたら冷やかしは止まった。
ノリノリで面白くないんだそうだ。
ヴィンは真っ赤になって倒れそうになってた。それがまた可愛くてもう一度キスしそうになったけど、本当に気を失いかねないから我慢した。我慢した僕偉い。
「本当にお前とライアスはそっくりだな。誰が見ていようがお構いなしかよ。」
「何、デイビットさん羨ましいの?」
「たわけ。恥を知れ恥を。」
「そんなものとっくにどっかに置いてきたよ。」
誰が見ていようが僕には関係ない。可愛いものを愛でて何が悪いんだよ。
だから父さんがあんなにも母さんにいちゃつく理由がわかった。
うん。愛でたいものはいつだって愛でたいんだよね。わかる。
確かにヴィンと恋人になる前の僕は恥ずかしいと思ったりもしたけど、想いが通じ合った今は恥ずかしくない。堂々と愛でたいから。ヴィンは僕のものっていうアピールで牽制する意味もある。
それから1ヶ月程いつもの日常を過ごして。
「じゃ明日から1週間は王都に行くから。よろしくね。」
「おう。アシェルによろしくな。」
明日から家族皆で王都に行く。もちろんヴィンも一緒に。
騎士団からたまには来て欲しいと言われて。僕達に会いたいって人が多いらしい。
それと兄ちゃんも具合が悪くなったらしく、お見舞いと観光も兼ねて。
別に観光しなくてもいいけど、ヴィンはまともに王都を出歩いた事がないからついでにって感じ。
それに僕の親友のアーロンから手紙が送られてきた。
『何勝手に学園辞めてんだよ!!王都に来い!!』
内容はこれだけ。本当にこれだけ。
それでアーロンに会う約束も取り付けて王都へ行くことになった。
「私は王都へ行ってもいいのでしょうか。」
「ん?なんで?」
「…トルバート家の事もありますし、ウェインライト家の事もありますし…。」
「関係ないでしょ。もうヴィンは勘当されて平民になってるし、家とも縁が切れてるんだから。別に追放になってるわけでもないし。」
まだ家の事が気になっているのかとても不安な顔をしている。もし何処かで出会したとしてヴィンに危害を加えるつもりなら僕は容赦しないけど。
侯爵家だろうが関係ない。ヴィンの事は絶対に守る。
その日の夜は不安になってるヴィンを宥めるためにいちゃいちゃして過ごした。ヴィンが可愛すぎて辛い。
翌日、転移門を潜って王都へとやって来た。
まずは兄ちゃんの所へと向かう。
「…ごめんね、気持ち悪くて起き上がれなくて。」
「兄ちゃん無理しないで。ゆっくりしててよ。」
真っ青な顔色をしていて本当に辛そうだった。妊娠するとこんな風になるんだ。
もしヴィンも妊娠したらこうなるのかな。…そうなった時はちゃんと支えてあげよう。
「アシェル様、お久しぶりです。お腹の子、とてもいい魔力をされてますね。アシェル様に似ています。おそらくですが、魔力量もかなり多いかもしれません。」
「ヴィンセント、そんな事もわかるのか!?」
「なんとなくですが。」と照れくさそうにするヴィン。そんな事までわかるとかヴィンの魔眼本当に凄いな。
「もしそうだったらアシェルの様な魔法使いになるかも知れないな。楽しみだ。」
にこやかに兄ちゃんのお腹に手を当てるアーネスト。
現金かも知れないけど、ヴィンと恋人になってからはアーネストのことが前ほど嫌いじゃなくなった。もちろん兄ちゃんは大事だし大好きなのは変わらないけど、それ以上にヴィンの事が大切になったからだと思う。
兄離れ、というか僕のブラコンが少し落ち着いた感じだ。
「しかしライリーとヴィンセントが恋人になったとはな。」
「ふふ。僕はそんな気がしてましたよ。アーネスト様。」
…兄ちゃんにはなんとなくバレてたのか。さすが兄ちゃん。
手紙でも伝えてたけど、再度ガンドヴァに注意する様伝えて僕たちは宿へ向かった。
宿は父さんと母さん、僕とヴィンで部屋を取った。しかもそれなりに高級な宿だ。防音もしっかりしてるしね。これ大事。
「こんなに立派な宿に泊まるとは思っていませんでした。」
侯爵家で育った人間とは思えないセリフだ。本来ならこんな所慣れてるはずなのに。
これからいっぱいいろんな事を経験させてあげよう。僕がそんなヴィンの初めてを一緒に過ごせるなんて役得だ。そう思うことにした。
夕食を皆で食べた後は部屋でゆっくりして過ごす。またヴィンとは一緒にお風呂に入ってイチャイチャした。
家だと一緒にお風呂に入るなんて出来ないからね。こういう時こそ存分に楽しまないと。
ヴィンはとにかく恥ずかしがってて可愛かった。
そんなヴィンを存分に愛でた翌日。僕とヴィンはアーロンに会いに王都内のカフェへ向かった。
「ライリー!この白状者!」
「アーロン、久しぶり!」
先に着いた僕たちはメニューを眺めながら何を注文しようか相談していると僕を呼ぶ懐かしい声が聞こえた。
アーロン・メリフィールド侯爵令息。兄ちゃんが学園に入学する為に後ろ盾になってくれたメリフィールド侯爵様の孫だ。
子供の時からメリフィールド家とは付き合いがあって、僕とアーロンはとても仲良くなった。同い年っていうのもあって。
「…ところでその人は誰?」
ぴったりとカフェでは不自然なくらいくっついてる僕とヴィンを見て、意味がわからないという顔で聞いて来た。
「彼はヴィンセント。僕の恋人。可愛いでしょ?」
肩を抱いて頬にキスをして可愛い恋人を紹介する。
「は?え?待て待て待て待て。お前はあのライリーか!? 兄ちゃん以外はどうでもいいとか言ったり、周りに全く興味のなかったライリーか!? ライリーの皮を被った偽物じゃないのか!?」
「恋は人を変えるんだよ。」
散々な言い草だ。間違ってはないけど。
信じられない。と呆然としながら席に着く。
「あの、初めまして。ヴィンセントと申します。」
「あ、アーロン・メリフィールドです。よろしく。」
アーロンの目はどういう事か説明しろって訴えている。学園であった婚約破棄騒動から順に説明してやった。ついこの前のヴィンが襲われた事は省いて。
「…なるほど。学園を辞めた理由はそういう事か。」
「そ。今はまたソルズの街で冒険者やってるよ。」
全員揃ったことでメニューを注文する。ヴィンは甘いものも好きだからケーキも3個合わせて注文する。
「多くありませんか?」
「ん?ヴィンが食べられなかったら僕が食べるから心配しないで。ヴィンは好きな物を好きなだけ食べたらいいから。…あ、これも良さそう。今度これ注文しよっか。」
「……お前本当にあのライリーかよ。」
失礼な。可愛い恋人を愛でてるだけだよ。
「ヴィンセントはあのトルバート家の子息だったのか。」
「アーロン知ってるの?」
「一応は。同じ侯爵家だし。それなりに腹黒いというか上へ行くためには何でもするというか。噂は色々ね。」
なるほどね。だから余計にヴィンの事が邪魔だったのか。
「ライリーはもう学園に戻るつもりはないのか?」
「ない。ヴィンと離れたくないから。」
「…お前本っ当にあのライリーか?」
失礼な。僕が側にいない間にヴィンに変な虫が寄って来たらどうしてくれる。
「はぁ。まぁいいや。幸せそうならそれで。」
「ありがとアーロン。ヴィンが可愛すぎて、僕すんごい幸せだから。」
僕にそう言われて真っ赤になったヴィンが可愛くて抱きしめてしまう。はぁ…ヴィン可愛い。
「……色々衝撃的すぎてついていけない。」
それからヴィンにケーキを食べさせながら雑談して、アーロンに白い目で見られながらも楽しい時間を過ごした。
「ま、元気そうで安心したよ。たまには王都に来いよ。また会おう。」
アーロンに手を振って別れた。
もしまだ学園に居たらもうそろそろ3学年生か。卒業まで一緒に色々しようって言ってたのにな。ごめんねアーロン。
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