【完結】平民として慎ましやかに生きようとするあいつと僕の関係。〜平民シリーズ③ライリー編〜

華抹茶

文字の大きさ
26 / 34

25 2人で分け合おう

しおりを挟む


午後の授業も終えて文官棟へと向かう。

「ライリーさん!」

その途中でヴィンに会えた。笑顔で駆け寄ってくるヴィン。ああ、可愛い!

僕も駆け寄ってそのままの勢いでぎゅーっと抱きしめる。あぁ…癒される~。

「あ、あの。恥ずかしいですからっ。」

知らない。恥ずかしがってて。僕は堪能している最中だから。

ヴィンの温もりを堪能して寮へと戻る。ヴィンももちろん僕の部屋に招き入れる。あんな平民部屋になんて返すもんか。

やっと2人きりだ。邪魔者なんていない2人だけの空間。

ソファーに腰掛けてヴィンを膝の上に乗せる。そしてぎゅっと抱きしめてまたヴィンを堪能する。

「ライリーさん、今日クラスメイトから初めて声をかけられました。」

「なんて言われたの?」

食堂での一件が原因だろうが、どう声をかけたのか気になる。

「まずはライリーさんとの仲を聞かれました。恋人だと答えると周りは一気に騒がしくなって。喧喧囂囂、とでも言うのでしょうか。」

想像できる。というか僕も同じ経験したし。

「すると周りの方は信じられないと怒り出しました。嘘をつくなと。どんな手を使ったんだと。」

「は?何そいつら。ぶっ飛ばしたいんだけど。」

「まあまあ。落ち着いてください。それで私も言い返したんです。」

え?ヴィンが言い返した?本当に?

「私の目は『個性の一つ』です。これが私です。
他人の見た目だけでその人を決めつけるそういう見方はやめられた方がよろしいかと思います、と。」

ふふっと笑うヴィン。

「私も驚きました。こんな事絶対言えなかったのに。私は変わったんです。ライリーさん、貴方のお陰です。ありがとうございます。…大好きです。」

あああ!可愛い!!大好きだって!!僕も大好き!!

堪らなくて抱きしめる腕に力が篭る。

そのままソファーに押し倒してキスをした。興奮した僕は、ヴィンの服のボタンを外しながら舌を絡めてヴィンの口内をしっかりと味わう。

するりと手を服の中に侵入させて、可愛いヴィンの乳首をくりくりと弄り出す。すると「ん…」と甘い声が漏れてくる。

首すじを舐めてそのまま胸を舐めようとしたところで、「ダメです」と止められてしまった。

「…なんで?嫌?」

「…そうではありません。このままだと食事に間に合いませんよ。それにお風呂もまだですし…。」

そんなとろんとした顔で言われても。僕は興奮してしまって股間がもうツラい…。

「…後でしましょう。私もしたいです。でも、せめてお風呂に入ってから。ね?」

むう。そんな可愛くおねだりされたら言うこと聞くしかない。

「わかった。でも後で覚悟してね。」

また可愛い唇にちゅっとキスを1つ。


とりあえず大きくなったをトイレで抜いて食事をしに行った。



食堂に行けばまたザワザワと騒がしい。見せつけるようにしてヴィンの腰を抱いていく。

「あのっ!」

そんな僕たちの前に立ちはだかる1人の男。

「…ライリー様。恋人だと仰るその男ですが、ライリー様を騙しています!絶対魅了の魔法でも使ってるはずです。目の色が違うのがその証拠です!目を覚ましてください!そんな男に騙されないで!」

は?何だコイツは?死にたいのか?

騙されてる?魅了の魔法をかけられてる?目の色が違うのがその証拠?

ふざけるな。ふざけるなよ!

「目の色が違うから魅了の魔法が使える?そもそも魅了の魔法なんて御伽噺だ。その証拠は?僕が魅了の魔法にかかった証拠は?ヴィンがそんな魔法を使える証拠持ってこいよ。そんな物ないんだろう?だってヴィンはそんな事出来るわけないからな。」

確かにヴィンは魔眼の持ち主だ。だけど魅了なんて使えない。出来るのは人の魔力を視ることだけ。

「僕がヴィンを好きになったのは僕自身の意志だ。ヴィンという人間に惚れたんだ。顔や目の色なんかじゃない。ヴィンという人間だから好きになったんだ!お前達みたいに人を見た目で判断したわけじゃない!肩書きで判断したわけじゃない!」

怒りが収まらない。よくもヴィンを。僕のヴィンを。

「僕のヴィンをそれ以上侮辱するな。僕はお前を絶対に許さない。ヴィンを侮辱する奴はどんな奴だって絶対に許さない!」

そのままその男の横を通り過ぎる。あーイライラする!!勝手なことばっかり言いやがって!


テーブルについて食事を取ろうにも怒りが収まらなくて食べる気にならない。

「…ライリーさん。」

ふっと顔を上げると困った顔のヴィン。

「大丈夫です。私は大丈夫。私は何を言われても平気です。だってライリーさんがいますから。私をわかってくださる方がいるだけで十分です。」

「ヴィン…。」

あんなこと言われたのに大丈夫なわけない。僕だってこんなに怒りで煮えたぎってるのに、言われた張本人が大丈夫なわけ、ないだろ。

するとヴィンがおでこをコツンと当ててきた。

頬に当てられたヴィンの手があったかい。気持ちいい。

「私のために怒ってくださってありがとうございます。その怒りを私にも分けてくださいませんか?ライリーさんだけの気持ちじゃなくて私にも分けてください。そうすればその怒りも半減するでしょう?」

ね?名案。と言ってふふって笑ってくれたヴィン。

そうだね。うん。名案。怒りだけじゃなくて、嬉しいも楽しいも全部分け合おう。2人で。

「ありがとうヴィン。もうそれだけで僕の怒りは収まったよ。…でも1つお願いしてもいい?それだけで僕はご機嫌になれるから。」

「? なんですか?」

「僕にあーんして。」

肉を刺したフォークを持って悪戯っぽく言えば、きょとんとしてからの満面の笑み。

「わかりました。仕方ないですね。」

僕から肉が刺さったフォークを受け取って、「あーん」ってしてくれる。

ぱくって食べればもう僕の機嫌は急上昇だ。だって皆が見てる前であーんってしてくれたんだ。嬉しくないわけないじゃないかっ!最高だ!

それで僕もお返しにあーんしてあげたら、戸惑いながらもぱくって食べてくれて更に僕の機嫌は急上昇。

ああ、もう幸せだなぁ!

「だーかーらー!! 甘いんだよ!! 少しは慎みを持てよ!!」

「…アーロン、羨ましいからって怒んないでよ。」

「羨ましいわけじゃないっ!! いい加減にしろっ!!」

「あはははは!」


さっきのイライラは何処かに吹き飛んで、今は笑い声だけが響いてる。


きっとまたヴィンは何かを言われると思う。本当に許し難いことだけど、僕はそんな悪意からヴィンを守る。

2人でいろんな気持ちを分け合おう。ずっと。




* * * * * *

(ヴィンセントの心の声)

「…殴られそうになったなんて言わなくてやっぱり良かった。もし言ってたら…。ひえっ。」

しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

天啓によると殿下の婚約者ではなくなります

ふゆきまゆ
BL
この国に生きる者は必ず受けなければいけない「天啓の儀」。それはその者が未来で最も大きく人生が動く時を見せる。 フィルニース国の貴族令息、アレンシカ・リリーベルは天啓の儀で未来を見た。きっと殿下との結婚式が映されると信じて。しかし悲しくも映ったのは殿下から婚約破棄される未来だった。腕の中に別の人を抱きながら。自分には冷たい殿下がそんなに愛している人ならば、自分は穏便に身を引いて二人を祝福しましょう。そうして一年後、学園に入学後に出会った友人になった将来の殿下の想い人をそれとなく応援しようと思ったら…。 ●婚約破棄ものですが主人公に悪役令息、転生転移、回帰の要素はありません。 性表現は一切出てきません。

【本編完結】処刑台の元婚約者は無実でした~聖女に騙された元王太子が幸せになるまで~

TOY
BL
【本編完結・後日譚更新中】 公開処刑のその日、王太子メルドは元婚約者で“稀代の悪女”とされたレイチェルの最期を見届けようとしていた。 しかし「最後のお別れの挨拶」で現婚約者候補の“聖女”アリアの裏の顔を、偶然にも暴いてしまい……!? 王位継承権、婚約、信頼、すべてを失った王子のもとに残ったのは、幼馴染であり護衛騎士のケイ。 これは、聖女に騙され全てを失った王子と、その護衛騎士のちょっとズレた恋の物語。 ※別で投稿している作品、 『物語によくいる「ざまぁされる王子」に転生したら』の全年齢版です。 設定と後半の展開が少し変わっています。 ※後日譚を追加しました。 後日譚① レイチェル視点→メルド視点 後日譚② 王弟→王→ケイ視点 後日譚③ メルド視点

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか

まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。 そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。 テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。 そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。 大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。 テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。 ※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。

贖罪公爵長男とのんきな俺

侑希
BL
異世界転生したら子爵家に生まれたけれど自分以外一家全滅という惨事に見舞われたレオン。 貴族生活に恐れ慄いたレオンは自分を死んだことにして平民のリオとして生きることにした。 一方公爵家の長男であるフレドリックは当時流行っていた児童小説の影響で、公爵家に身を寄せていたレオンにひどい言葉をぶつけてしまう。その後すぐにレオンが死んだと知らされたフレドリックは、以降十年、ひたすらそのことを悔いて生活していた。 そして十年後、二人はフレドリックとリオとして再会することになる。   ・フレドリック視点は重め、レオン及びリオ視点は軽め ・異世界転生がちょいちょい発生する世界。色々な世界の色々な時代からの転生者の影響で文明が若干ちぐはぐ。 ・世界観ふんわり 細かいことは気にしないで読んでください。 ・CP固定・ご都合主義・ハピエン ・他サイト掲載予定あり

処理中です...