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25 2人で分け合おう
しおりを挟む午後の授業も終えて文官棟へと向かう。
「ライリーさん!」
その途中でヴィンに会えた。笑顔で駆け寄ってくるヴィン。ああ、可愛い!
僕も駆け寄ってそのままの勢いでぎゅーっと抱きしめる。あぁ…癒される~。
「あ、あの。恥ずかしいですからっ。」
知らない。恥ずかしがってて。僕は堪能している最中だから。
ヴィンの温もりを堪能して寮へと戻る。ヴィンももちろん僕の部屋に招き入れる。あんな平民部屋になんて返すもんか。
やっと2人きりだ。邪魔者なんていない2人だけの空間。
ソファーに腰掛けてヴィンを膝の上に乗せる。そしてぎゅっと抱きしめてまたヴィンを堪能する。
「ライリーさん、今日クラスメイトから初めて声をかけられました。」
「なんて言われたの?」
食堂での一件が原因だろうが、どう声をかけたのか気になる。
「まずはライリーさんとの仲を聞かれました。恋人だと答えると周りは一気に騒がしくなって。喧喧囂囂、とでも言うのでしょうか。」
想像できる。というか僕も同じ経験したし。
「すると周りの方は信じられないと怒り出しました。嘘をつくなと。どんな手を使ったんだと。」
「は?何そいつら。ぶっ飛ばしたいんだけど。」
「まあまあ。落ち着いてください。それで私も言い返したんです。」
え?ヴィンが言い返した?本当に?
「私の目は『個性の一つ』です。これが私です。
他人の見た目だけでその人を決めつけるそういう見方はやめられた方がよろしいかと思います、と。」
ふふっと笑うヴィン。
「私も驚きました。こんな事絶対言えなかったのに。私は変わったんです。ライリーさん、貴方のお陰です。ありがとうございます。…大好きです。」
あああ!可愛い!!大好きだって!!僕も大好き!!
堪らなくて抱きしめる腕に力が篭る。
そのままソファーに押し倒してキスをした。興奮した僕は、ヴィンの服のボタンを外しながら舌を絡めてヴィンの口内をしっかりと味わう。
するりと手を服の中に侵入させて、可愛いヴィンの乳首をくりくりと弄り出す。すると「ん…」と甘い声が漏れてくる。
首すじを舐めてそのまま胸を舐めようとしたところで、「ダメです」と止められてしまった。
「…なんで?嫌?」
「…そうではありません。このままだと食事に間に合いませんよ。それにお風呂もまだですし…。」
そんなとろんとした顔で言われても。僕は興奮してしまって股間がもうツラい…。
「…後でしましょう。私もしたいです。でも、せめてお風呂に入ってから。ね?」
むう。そんな可愛くおねだりされたら言うこと聞くしかない。
「わかった。でも後で覚悟してね。」
また可愛い唇にちゅっとキスを1つ。
とりあえず大きくなった僕をトイレで抜いて食事をしに行った。
食堂に行けばまたザワザワと騒がしい。見せつけるようにしてヴィンの腰を抱いていく。
「あのっ!」
そんな僕たちの前に立ちはだかる1人の男。
「…ライリー様。恋人だと仰るその男ですが、ライリー様を騙しています!絶対魅了の魔法でも使ってるはずです。目の色が違うのがその証拠です!目を覚ましてください!そんな男に騙されないで!」
は?何だコイツは?死にたいのか?
騙されてる?魅了の魔法をかけられてる?目の色が違うのがその証拠?
ふざけるな。ふざけるなよ!
「目の色が違うから魅了の魔法が使える?そもそも魅了の魔法なんて御伽噺だ。その証拠は?僕が魅了の魔法にかかった証拠は?ヴィンがそんな魔法を使える証拠持ってこいよ。そんな物ないんだろう?だってヴィンはそんな事出来るわけないからな。」
確かにヴィンは魔眼の持ち主だ。だけど魅了なんて使えない。出来るのは人の魔力を視ることだけ。
「僕がヴィンを好きになったのは僕自身の意志だ。ヴィンという人間に惚れたんだ。顔や目の色なんかじゃない。ヴィンという人間だから好きになったんだ!お前達みたいに人を見た目で判断したわけじゃない!肩書きで判断したわけじゃない!」
怒りが収まらない。よくもヴィンを。僕のヴィンを。
「僕のヴィンをそれ以上侮辱するな。僕はお前を絶対に許さない。ヴィンを侮辱する奴はどんな奴だって絶対に許さない!」
そのままその男の横を通り過ぎる。あーイライラする!!勝手なことばっかり言いやがって!
テーブルについて食事を取ろうにも怒りが収まらなくて食べる気にならない。
「…ライリーさん。」
ふっと顔を上げると困った顔のヴィン。
「大丈夫です。私は大丈夫。私は何を言われても平気です。だってライリーさんがいますから。私をわかってくださる方がいるだけで十分です。」
「ヴィン…。」
あんなこと言われたのに大丈夫なわけない。僕だってこんなに怒りで煮えたぎってるのに、言われた張本人が大丈夫なわけ、ないだろ。
するとヴィンがおでこをコツンと当ててきた。
頬に当てられたヴィンの手があったかい。気持ちいい。
「私のために怒ってくださってありがとうございます。その怒りを私にも分けてくださいませんか?ライリーさんだけの気持ちじゃなくて私にも分けてください。そうすればその怒りも半減するでしょう?」
ね?名案。と言ってふふって笑ってくれたヴィン。
そうだね。うん。名案。怒りだけじゃなくて、嬉しいも楽しいも全部分け合おう。2人で。
「ありがとうヴィン。もうそれだけで僕の怒りは収まったよ。…でも1つお願いしてもいい?それだけで僕はご機嫌になれるから。」
「? なんですか?」
「僕にあーんして。」
肉を刺したフォークを持って悪戯っぽく言えば、きょとんとしてからの満面の笑み。
「わかりました。仕方ないですね。」
僕から肉が刺さったフォークを受け取って、「あーん」ってしてくれる。
ぱくって食べればもう僕の機嫌は急上昇だ。だって皆が見てる前であーんってしてくれたんだ。嬉しくないわけないじゃないかっ!最高だ!
それで僕もお返しにあーんしてあげたら、戸惑いながらもぱくって食べてくれて更に僕の機嫌は急上昇。
ああ、もう幸せだなぁ!
「だーかーらー!! 甘いんだよ!! 少しは慎みを持てよ!!」
「…アーロン、羨ましいからって怒んないでよ。」
「羨ましいわけじゃないっ!! いい加減にしろっ!!」
「あはははは!」
さっきのイライラは何処かに吹き飛んで、今は笑い声だけが響いてる。
きっとまたヴィンは何かを言われると思う。本当に許し難いことだけど、僕はそんな悪意からヴィンを守る。
2人でいろんな気持ちを分け合おう。ずっと。
* * * * * *
(ヴィンセントの心の声)
「…殴られそうになったなんて言わなくてやっぱり良かった。もし言ってたら…。ひえっ。」
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