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世界冒険編/第一章
第九話 S級魔獣
しおりを挟む「それじゃ…行ってくるね…!」
「あぁ、せめて勝ってこいよ」
と言いルルを送り出したディル。
あいてはA級7位のノルモフ・バロホウ。一見ただの太ったおじさんに見えるが、A級7位ともなるとさすがに魔力量が多いな。あれはルルの2倍か3倍はあるぞ。…で、あいつも至高術式もちか…。少し厄介だな。
「はじめっっっ…!!!」
その声とともに、ルルが捉えていたノルモフの姿は、いつしか残像となり、その0.1秒も立たぬうちに、ルルの視界はノルモフの拳でいっぱいであった。
「…っ!」
一般の人から見るとまさに神業と言っていいだろう。目で追えぬその攻撃をなんとルルは交したのである。そして避けると同時にルルは反撃を開始する。
「豪華水天…っ!『氷雲』…!」
右手をノルモフの顔に被せると、ルルは魔法を唱えた。その魔法は、ノルモフの顔周辺の空気を冷気に変えたあと、氷に変えた。
「…っ!!」
これは想像以上だ!ルル・ヘイドシッタ面白い…!わしの打撃をかわし反撃までしてくるとは…っ!
─だが。
決闘場のアリーナ全域に及ぶほどの、大きな炎が現れた。
「豪華炎天…『爆刹』…」
爆風によりルルも容易く吹き飛んだ。
選手控え席で、ルルとノルモフの決闘を見るディル。
豪華天か…。一般人からすれば強い魔法だな。習得していたとはいえ、意外と精度いいなルル。これなら豪華天の上位種も習得できるかもな。しかし対戦相手のノルモフも習得者か…。
豪華天。一般の魔法とは違い、豪華天という魔法の中に、数多の魔法が込められており、自身の実力で扱える魔法が自在に使えるというものである。しかし、強さや精度、回数は個人の魔力にも反映したりと、一筋縄にはいかない魔法である。
「同じシリーズだとはいえ、明らかなる差。どう足掻いても足らぬ力だっ…!」
ルルに近づき腹部にアッパーを決め、今度は上に吹き飛んだ。
「弱い弱い」
一気に上昇し、トドメを刺そうとするノルモフ。
「豪華炎天『炎撃』!」
拳に炎が待とう。
おわりだな。ルル・ヘイドシッタ─っ…!?
「騎士道…!ヘイドシッタ流至高式!必激!」
ルルはノルモフの首を狙った。咄嗟に防御魔法を唱えるもそれは不発。
「っ!爆砕剣!」
アリーナ上空で大爆発が起こり煙からは一人の人間が落ちてくる。
ノルモフだ。
地面にぶつかりノルモフは動かない。
「ノルモフ戦闘不能。よってルル・ヘイドシッタの勝利…!」
「うぉぉぉぉおおお!!」
よ、よかった…これでA級7位!
「よくやったなルル。ほぼ一流だよ」
「ほぼって…!そこは一流でいいじゃん!」
そして冒険者協会本部。
「決闘勝敗により、貴官をA級7位に任命する!」
「あ、ありがとうございます!」
任命式が終わったその時。
「アンベル課長!た、大変です…っ!」
切羽詰まったように扉を開け室内に入ってくる協会の人。
「なんだ!任命式中だぞ!すまぬなルル殿」
「い、いえ…」
「それで?なんでそんなに急いで」
「…っS級魔獣がベータンスレイ王国とフレイ王国の両国国境沿いに出現しましたっっ!!」
その言葉を聞いた瞬間場にいた全ての者の顔が凍った。
S級魔獣。それは数百万いると言われる魔獣の中で16体しか確認されていない最強の魔獣である。魔獣の強さを図るMは8.0~8.9でありA級魔獣の32倍の力を持つ。
「Mはなんだ!」
「Mは8.8です…」
「なんということだ…。これは一大事だ…A級冒険者ルルよ。今すぐそこに向かってはくれんか…。あぁあと、君とよくいる冒険者。君と絡んでるからには同じA級と見た。歯が立たないかもだが、質より量だ。その冒険者にも伝えといてくれ。じゃあ頼んだぞ、、」
アンベルはG級ともあるディルのことを知らないようだ。
「は、はい」
「え?なんだよそれ。面倒くさそ」
通信魔法で会話するルルとディル。
「お願いだってー、協会のお偉いさんが言ってるんだよー?」
「んなもん知らんよ。報酬出んの??」
「でるでる、多分だけど、、」
「まぁ出なかったら辞めるだけ。いいよ、後で行ってあげる」
ディルはなにか企みがあるようだ。
「ほんと!?じゃあ私は先行ってるね!」
「あぁ」
フレイ王国側国境沿い。
「絶対に王都方面に行かせるなー!」
全長数百メートルのS級魔獣、因果蘇化はベータンスレイ王国からフレイ王国王都方面へと進行していた。
フレイ王国軍の兵士達が、魔法を放ち近づかせないようにしている。
「バロー隊長!全く歯が立ちません!!」
「くそっ!冒険者の到着はまだか!」
とその時、
「ただいま到着!S級9位ランド・ハウゲン参上!」
「おぉ、やっと来たか!君は第二のほうか?」
「はい!第二冒険者機構S級9位におまかせあれ!」
世界には複数の冒険者組織があり、ディル達が所属している広域冒険者協会、ランドが所属している第二冒険者機構、そして大冒険者連盟がある。
そして1番強い冒険者組織は協会と言われている。
「行ってこい!」
バローは、相当ランドに期待しているようだ。
「はぁぁぁぁあああ!」
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