73 / 76
5章 猫の恩返し
69話 フェスタ終了、表彰式からの…
しおりを挟む
今、私、ユウキ、リット、アレスの4人は、フェスタ最終日の閉幕式に出席している。周囲には、スパイ捜索や見世物に参加した猫たちもいて、今回のご褒美の一つとして、私の作った[猫用イカ焼き]をがっついているわ。フェスタが終わり次第、調理器具を製作してもらい、たこ焼きと明石焼をご馳走するねと言ったら、全員が雄叫びをあげてしまい、周囲から注目を浴びてしまった。
今回のフェスタ、猫たちが裏で暗躍してくれたおかげで、全てが上手くいったわ。昨日の夜、ルウリから聞いたけど、裏で暗躍していたスパイは全部で5名、偵察用の猫たちが5名を見つけ出して、ずっと監視し、戦闘能力の高い猫とルウリが協力して5名を捕縛し、彼らの持つ情報を搾取してから街の治安騎士たちに引き渡し、その情報の全てをアマンガムさんに教えている。
それにしても、フェスタの閉幕式でイベントの表彰式でもあるせいか、周囲には大勢の人々で賑やかだ。
初日の大騒動以降、フェスタは盛況さを取り戻し、大勢の観光客が大樹マナリオとその社を見学し、感嘆の息を漏らしていた。やはり、日本の神社仏閣と庭園はこの世界にないようで、かなり珍しい光景みたい。観光客の大半は社を見学し終えると、猫たちの見世物へとやって来る。猫カフェの宣伝、譲渡会も兼ねているので、こっちもかなり盛況となり、見せ物に参加している猫から、なんと6匹の猫が新たな飼い主の元へ行ってしまった。日本と違い手続きなどはないので、その場でもらわれていく。5匹全員リリアムの街内で飼われることになるので、永遠の別れというわけじゃないのだけど、それでも少し寂しくなる。当初は猫カフェ目的で私のもとへ集まったのに、人に飼われながら、猫カフェへ行くという高望みする子も現れ、今回それを本当に実現させたのだから凄いわ。
メインイベント[未知なる食材]、こっちは想定以上の盛り上がりとなり、料理を振る舞ったのは、200名中40名(というかそこで打ち切られた)、肉を使い切ることにしているので、大勢の味見人たちがタダで料理を食していき、貧民や平民の人たちはほくほく顔となり、中には満足気にお腹をぽんぽんと叩いている人もいたわ。
フェスタは大成功を収め、いよいよ表彰式となり、メインイベントの上位が今発表される。オルバイン辺境伯が主催者テントから出てきて、舞台上へ上がっていく。
「諸君、今年はフェスタ初日で大騒動が起きてしまった。この騒動を起こした犯人に関しては、既にとある者たちの活躍により捕縛し尋問も行ったことで、犯行動機も判明している。王都の高位貴族が関わっているので、今日か明日にでも王都へ連行し、いずれ然るべき厳罰が下されるだろう」
開口早々、辺境伯様の放った言葉で、皆が大きくどよめく。フェスタ期間中、騒動の原因に関しては何も語られてこなかったから、これが人為的に引き起こされた事件で、すぐに解決されたという二重の意味で驚いているんだわ。
昨日の夜になって、スパイ5名中2名が、こっちの件に関わっていることをルウリから少し聞かされた。偵察任務中の猫が偶然怪しい人物を発見し、それをルウリに連絡したことで追跡し捕縛することができた。ルウリは、「王都の高位貴族が深く関わっている」と言っただけで、それ以上のことは、私、ユウキ、リットに何も話してくれなかった。リットがどうしても気になったのか、詳しく追求しようとしたら、『君たちには、まだ早い。君たちの心の成長と共に付随して、情報を教えていくよ』と言ったので、私たちはそこで諦めた。
今の私はまだ弱い。
もっと強くなって、従魔たちやベイツさんに認めてもらわないといけないわ。
「さて、話は変わるが、ここ2週間、私のもとへ大量の共通した投書が持ち込まれていたのだが、あの時点ではフェスタの件もあり、対処を先送りにしていた。だが、この騒動が起こり、その犯人を捕縛するだけでなく、テンタクルズオクトパスのヌメリ除去という大快挙を成し遂げてくれたことで、投書で寄せられていた意見を今この場で反映しようと思っている」
え、どういうこと? 投書って何?
佳作や入選が、これから発表されるんじゃないの?
隣にいるリットを見ると、妙に納得した顔をしているわ。
あれ程、お父さんのことを応援していたのに、なんで怒らないの?
「あれをこの場で言うんだ。う~ん、悔しいけど、そっちの方が遥かに評価も高いし仕方ないか。口コミでお父さんの料理も広まったし、十分な宣伝効果もあったからいいかな。賞金だけ惜しいけど」
リット、そんな簡単に引き下がっていいの? 周囲にいる人々の多くも、互いに相談し合い納得している。殆どの人々が理解しているようだけど、私にはわからないよ。ユウキは、投書の内容を知っているのかな?
「投書? ……ああ、そう言うことか」
ユウキは周囲を軽く見ただけで、何かを察したわ。
「あ、ユウキもわかった?」
「ああ、わかったよ」
ちょっと、二人だけで納得しないでよ!!
う~、何故かあちこちから視線を感じるのだけど?
「今回のフェスタ、多くの人々が参加者の料理を食べたこともあり、その味は既に口コミで街中に広がり、十分な宣伝効果を得ているから、40名の参加者たちの目的も達成しているはずだ。また、今回表彰式を行わない代償として、翌年の選ばれた者たちに進呈される賞金を、通常の2倍に引き上げることを誓おう!!」
通常の2倍!?
そんな約束事をしてまで、ここで投書の意見を反映させたいの!!
最後の2倍が効いたのか、周囲の人々が良い意味で異様に騒ぎ出した。賞金が2倍になると言っても、全員が貰えるわけじゃない。今回の料理で選ばれる人だっているのに、皆が拍手喝采で領主様の判断を誉めているわ。
みんなは、それでいいの?
「皆からの了解も得たようで安心したよ。それでは、投書に書かれている願いをこの場で叶えよう!!」
今から、何が起こるのだろう?
今回のフェスタ、猫たちが裏で暗躍してくれたおかげで、全てが上手くいったわ。昨日の夜、ルウリから聞いたけど、裏で暗躍していたスパイは全部で5名、偵察用の猫たちが5名を見つけ出して、ずっと監視し、戦闘能力の高い猫とルウリが協力して5名を捕縛し、彼らの持つ情報を搾取してから街の治安騎士たちに引き渡し、その情報の全てをアマンガムさんに教えている。
それにしても、フェスタの閉幕式でイベントの表彰式でもあるせいか、周囲には大勢の人々で賑やかだ。
初日の大騒動以降、フェスタは盛況さを取り戻し、大勢の観光客が大樹マナリオとその社を見学し、感嘆の息を漏らしていた。やはり、日本の神社仏閣と庭園はこの世界にないようで、かなり珍しい光景みたい。観光客の大半は社を見学し終えると、猫たちの見世物へとやって来る。猫カフェの宣伝、譲渡会も兼ねているので、こっちもかなり盛況となり、見せ物に参加している猫から、なんと6匹の猫が新たな飼い主の元へ行ってしまった。日本と違い手続きなどはないので、その場でもらわれていく。5匹全員リリアムの街内で飼われることになるので、永遠の別れというわけじゃないのだけど、それでも少し寂しくなる。当初は猫カフェ目的で私のもとへ集まったのに、人に飼われながら、猫カフェへ行くという高望みする子も現れ、今回それを本当に実現させたのだから凄いわ。
メインイベント[未知なる食材]、こっちは想定以上の盛り上がりとなり、料理を振る舞ったのは、200名中40名(というかそこで打ち切られた)、肉を使い切ることにしているので、大勢の味見人たちがタダで料理を食していき、貧民や平民の人たちはほくほく顔となり、中には満足気にお腹をぽんぽんと叩いている人もいたわ。
フェスタは大成功を収め、いよいよ表彰式となり、メインイベントの上位が今発表される。オルバイン辺境伯が主催者テントから出てきて、舞台上へ上がっていく。
「諸君、今年はフェスタ初日で大騒動が起きてしまった。この騒動を起こした犯人に関しては、既にとある者たちの活躍により捕縛し尋問も行ったことで、犯行動機も判明している。王都の高位貴族が関わっているので、今日か明日にでも王都へ連行し、いずれ然るべき厳罰が下されるだろう」
開口早々、辺境伯様の放った言葉で、皆が大きくどよめく。フェスタ期間中、騒動の原因に関しては何も語られてこなかったから、これが人為的に引き起こされた事件で、すぐに解決されたという二重の意味で驚いているんだわ。
昨日の夜になって、スパイ5名中2名が、こっちの件に関わっていることをルウリから少し聞かされた。偵察任務中の猫が偶然怪しい人物を発見し、それをルウリに連絡したことで追跡し捕縛することができた。ルウリは、「王都の高位貴族が深く関わっている」と言っただけで、それ以上のことは、私、ユウキ、リットに何も話してくれなかった。リットがどうしても気になったのか、詳しく追求しようとしたら、『君たちには、まだ早い。君たちの心の成長と共に付随して、情報を教えていくよ』と言ったので、私たちはそこで諦めた。
今の私はまだ弱い。
もっと強くなって、従魔たちやベイツさんに認めてもらわないといけないわ。
「さて、話は変わるが、ここ2週間、私のもとへ大量の共通した投書が持ち込まれていたのだが、あの時点ではフェスタの件もあり、対処を先送りにしていた。だが、この騒動が起こり、その犯人を捕縛するだけでなく、テンタクルズオクトパスのヌメリ除去という大快挙を成し遂げてくれたことで、投書で寄せられていた意見を今この場で反映しようと思っている」
え、どういうこと? 投書って何?
佳作や入選が、これから発表されるんじゃないの?
隣にいるリットを見ると、妙に納得した顔をしているわ。
あれ程、お父さんのことを応援していたのに、なんで怒らないの?
「あれをこの場で言うんだ。う~ん、悔しいけど、そっちの方が遥かに評価も高いし仕方ないか。口コミでお父さんの料理も広まったし、十分な宣伝効果もあったからいいかな。賞金だけ惜しいけど」
リット、そんな簡単に引き下がっていいの? 周囲にいる人々の多くも、互いに相談し合い納得している。殆どの人々が理解しているようだけど、私にはわからないよ。ユウキは、投書の内容を知っているのかな?
「投書? ……ああ、そう言うことか」
ユウキは周囲を軽く見ただけで、何かを察したわ。
「あ、ユウキもわかった?」
「ああ、わかったよ」
ちょっと、二人だけで納得しないでよ!!
う~、何故かあちこちから視線を感じるのだけど?
「今回のフェスタ、多くの人々が参加者の料理を食べたこともあり、その味は既に口コミで街中に広がり、十分な宣伝効果を得ているから、40名の参加者たちの目的も達成しているはずだ。また、今回表彰式を行わない代償として、翌年の選ばれた者たちに進呈される賞金を、通常の2倍に引き上げることを誓おう!!」
通常の2倍!?
そんな約束事をしてまで、ここで投書の意見を反映させたいの!!
最後の2倍が効いたのか、周囲の人々が良い意味で異様に騒ぎ出した。賞金が2倍になると言っても、全員が貰えるわけじゃない。今回の料理で選ばれる人だっているのに、皆が拍手喝采で領主様の判断を誉めているわ。
みんなは、それでいいの?
「皆からの了解も得たようで安心したよ。それでは、投書に書かれている願いをこの場で叶えよう!!」
今から、何が起こるのだろう?
167
あなたにおすすめの小説
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!
白夢
ファンタジー
何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。
そう言われて、異世界に転生することになった。
でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。
どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。
だからわたしは旅に出た。
これは一人の幼女と小さな幻獣の、
世界なんて救わないつもりの放浪記。
〜〜〜
ご訪問ありがとうございます。
可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。
ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。
お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします!
23/01/08 表紙画像を変更しました
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!
無能令嬢、『雑役係』として辺境送りされたけど、世界樹の加護を受けて規格外に成長する
タマ マコト
ファンタジー
名門エルフォルト家の長女クレアは、生まれつきの“虚弱体質”と誤解され、家族から無能扱いされ続けてきた。
社交界デビュー目前、突然「役立たず」と決めつけられ、王都で雑役係として働く名目で辺境へ追放される。
孤独と諦めを抱えたまま向かった辺境の村フィルナで、クレアは自分の体調がなぜか安定し、壊れた道具や荒れた土地が彼女の手に触れるだけで少しずつ息を吹き返す“奇妙な変化”に気づく。
そしてある夜、瘴気に満ちた森の奥から呼び寄せられるように、一人で足を踏み入れた彼女は、朽ちた“世界樹の分枝”と出会い、自分が世界樹の血を引く“末裔”であることを知る——。
追放されたはずの少女が、世界を動かす存在へ覚醒する始まりの物語。
転生したので好きに生きよう!
ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。
不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。
奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。
※見切り発車感が凄い。
※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる