10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護

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5章 猫の恩返し

69話 フェスタ終了、表彰式からの…

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今、私、ユウキ、リット、アレスの4人は、フェスタ最終日の閉幕式に出席している。周囲には、スパイ捜索や見世物に参加した猫たちもいて、今回のご褒美の一つとして、私の作った[猫用イカ焼き]をがっついているわ。フェスタが終わり次第、調理器具を製作してもらい、たこ焼きと明石焼をご馳走するねと言ったら、全員が雄叫びをあげてしまい、周囲から注目を浴びてしまった。

今回のフェスタ、猫たちが裏で暗躍してくれたおかげで、全てが上手くいったわ。昨日の夜、ルウリから聞いたけど、裏で暗躍していたスパイは全部で5名、偵察用の猫たちが5名を見つけ出して、ずっと監視し、戦闘能力の高い猫とルウリが協力して5名を捕縛し、彼らの持つ情報を搾取してから街の治安騎士たちに引き渡し、その情報の全てをアマンガムさんに教えている。

それにしても、フェスタの閉幕式でイベントの表彰式でもあるせいか、周囲には大勢の人々で賑やかだ。

初日の大騒動以降、フェスタは盛況さを取り戻し、大勢の観光客が大樹マナリオとその社を見学し、感嘆の息を漏らしていた。やはり、日本の神社仏閣と庭園はこの世界にないようで、かなり珍しい光景みたい。観光客の大半は社を見学し終えると、猫たちの見世物へとやって来る。猫カフェの宣伝、譲渡会も兼ねているので、こっちもかなり盛況となり、見せ物に参加している猫から、なんと6匹の猫が新たな飼い主の元へ行ってしまった。日本と違い手続きなどはないので、その場でもらわれていく。5匹全員リリアムの街内で飼われることになるので、永遠の別れというわけじゃないのだけど、それでも少し寂しくなる。当初は猫カフェ目的で私のもとへ集まったのに、人に飼われながら、猫カフェへ行くという高望みする子も現れ、今回それを本当に実現させたのだから凄いわ。

メインイベント[未知なる食材]、こっちは想定以上の盛り上がりとなり、料理を振る舞ったのは、200名中40名(というかそこで打ち切られた)、肉を使い切ることにしているので、大勢の味見人たちがタダで料理を食していき、貧民や平民の人たちはほくほく顔となり、中には満足気にお腹をぽんぽんと叩いている人もいたわ。

フェスタは大成功を収め、いよいよ表彰式となり、メインイベントの上位が今発表される。オルバイン辺境伯が主催者テントから出てきて、舞台上へ上がっていく。

「諸君、今年はフェスタ初日で大騒動が起きてしまった。この騒動を起こした犯人に関しては、既にとある者たちの活躍により捕縛し尋問も行ったことで、犯行動機も判明している。王都の高位貴族が関わっているので、今日か明日にでも王都へ連行し、いずれ然るべき厳罰が下されるだろう」

開口早々、辺境伯様の放った言葉で、皆が大きくどよめく。フェスタ期間中、騒動の原因に関しては何も語られてこなかったから、これが人為的に引き起こされた事件で、すぐに解決されたという二重の意味で驚いているんだわ。

昨日の夜になって、スパイ5名中2名が、こっちの件に関わっていることをルウリから少し聞かされた。偵察任務中の猫が偶然怪しい人物を発見し、それをルウリに連絡したことで追跡し捕縛することができた。ルウリは、「王都の高位貴族が深く関わっている」と言っただけで、それ以上のことは、私、ユウキ、リットに何も話してくれなかった。リットがどうしても気になったのか、詳しく追求しようとしたら、『君たちには、まだ早い。君たちの心の成長と共に付随して、情報を教えていくよ』と言ったので、私たちはそこで諦めた。

今の私はまだ弱い。
もっと強くなって、従魔たちやベイツさんに認めてもらわないといけないわ。

「さて、話は変わるが、ここ2週間、私のもとへ大量の共通した投書が持ち込まれていたのだが、あの時点ではフェスタの件もあり、対処を先送りにしていた。だが、この騒動が起こり、その犯人を捕縛するだけでなく、テンタクルズオクトパスのヌメリ除去という大快挙を成し遂げてくれたことで、投書で寄せられていた意見を今この場で反映しようと思っている」

え、どういうこと? 投書って何?
佳作や入選が、これから発表されるんじゃないの?
隣にいるリットを見ると、妙に納得した顔をしているわ。
あれ程、お父さんのことを応援していたのに、なんで怒らないの?

「あれをこの場で言うんだ。う~ん、悔しいけど、そっちの方が遥かに評価も高いし仕方ないか。口コミでお父さんの料理も広まったし、十分な宣伝効果もあったからいいかな。賞金だけ惜しいけど」

リット、そんな簡単に引き下がっていいの? 周囲にいる人々の多くも、互いに相談し合い納得している。殆どの人々が理解しているようだけど、私にはわからないよ。ユウキは、投書の内容を知っているのかな?

「投書? ……ああ、そう言うことか」

ユウキは周囲を軽く見ただけで、何かを察したわ。

「あ、ユウキもわかった?」
「ああ、わかったよ」

ちょっと、二人だけで納得しないでよ!!
う~、何故かあちこちから視線を感じるのだけど?

「今回のフェスタ、多くの人々が参加者の料理を食べたこともあり、その味は既に口コミで街中に広がり、十分な宣伝効果を得ているから、40名の参加者たちの目的も達成しているはずだ。また、今回表彰式を行わない代償として、翌年の選ばれた者たちに進呈される賞金を、通常の2倍に引き上げることを誓おう!!」

通常の2倍!?
そんな約束事をしてまで、ここで投書の意見を反映させたいの!!

最後の2倍が効いたのか、周囲の人々が良い意味で異様に騒ぎ出した。賞金が2倍になると言っても、全員が貰えるわけじゃない。今回の料理で選ばれる人だっているのに、皆が拍手喝采で領主様の判断を誉めているわ。

みんなは、それでいいの?

「皆からの了解も得たようで安心したよ。それでは、投書に書かれている願いをこの場で叶えよう!!」

今から、何が起こるのだろう?
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