転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護

文字の大きさ
63 / 96
本編

61話 選別方法に問題あり

私の伝統魔法の効果で、雨は止み、今は晴天。

フリマが営業を再開したのかはわからないけど、シンさんやあの女の子のこともあるので、今日は行くのを控えよう。ホテルで貰った王都の散策MAPを見ると、まだ寄っていないお店が、この近くに1店だけある。

「トーイ、次はここかな」
「近くだね。けど、そこは……」
「何かあるの?」
「いや、何でもないよ。とりあえず、行ってみよう」

トーイの言葉の意味がわからないけど、お店へレッツゴーだ!
さっきのお店で昼食を食べて、元気満タン。
次こそは、私好みの伝統ある物品を!

「営業停止中!? なんで~~」

お店に到着したら、シャッターが降りていて、大きな紙が貼り出されている。

【お客様方には大変申し訳ありませんが、度重なる事故の原因が解明するまで、本店の営業を停止させて頂きます】

「事故?」
「1週間くらい前、魔道具の暴走が計3度も起きた。暴走以外にも、棚が急に倒れてきたり、ガラスが急に破損したりと、おかしな事が続いているんだ。それも、お客様の目の前でね」

うわ、それは最悪だ。
店にとって、大きな損害になる。

「怪我人は?」
「幸いにもゼロ。原因を究明するため、店を閉めているようだね」

トーイは、それを知っていたんだね。ここは異世界だから、そういった不可解な現象も起こるものなんだ。

「案外、幽霊や精霊の仕業だったりして」
「あはは……どうだろうね」

あれ? 一瞬、トーイが動揺した。
……怪しい。
無関係な事件なら、些細な動揺なんて絶対に見せないはずだ。

「もしかして、関わってる?」
「まさか、関わってないよ!」

私はトーイをじ~~~っと見続けると、急に目を背ける。

「はい、確定!」
「え?」

私は意識を集中させ、周囲の気配を探る。
そして、とんでもない場所で、彼らを発見する。

私は聖域で訓練したこともあり、スキル《反射》をある程度使いこなせるようになった。力のベクトル、世界に存在するあるゆるものに応用可能だ。微量の魔力を風に含め、そのベクトルを利用して、風を店の中へと侵入させて、隠れている気配を探る事ができるようになった。

「トーイ」
「な、何かな?」
「このお店に、カーバンクルがいるよね?」

私はトーイを見続ける。

「あはは、君の警護用に隠れているのさ」
「ふ~~ん、それじゃあ、どうしてお店の天井裏に1体いるの? 私を警護するなら、普通外でしょ?」

「あ~~そっか~~、そこまで使いこなせるようになったのか~~。言わないとダメ?」
「人様に迷惑を掛けているのだから教えて。もしかして、ここも復讐リストに入っているの?」

トーイは、静かに頷く。

精霊カーバンクルを100年間苦しめた貴族が、王都に潜んでいる。彼らが自分たちを聖域に閉じ込めた貴族の血筋に対して、強い恨みを抱いているのは、私も知っているけど……このお店ってそんなに大きくない。

本当に、血縁者がいるの?

「このお店を経営する商会の一族は貴族で、現当主は元凶の血縁者だから、復讐リストに入っている…いや、《いた》が正解かな」

そうなると、もう除外されているわけね。
リストに入っているのなら、私からは何も文句を言えない。
100年分の恨みは、相当なものだからね。

「経営するこの店で、《魔道具暴走》や《ガラス破壊》という事故を起こすことで、一族の心根を測った結果、《善》と判断したから、今はもう何もしていない」

「魔道具暴走って大丈夫なの?」

「勿論、暴走と言っても、規模をかなり抑えているから、怪我人もいないよ。ただ、現在何もしていないにも関わらず、不幸がずっと起き続けているのさ。それが気になって、1体だけ残って調査しているんだ」

なるほど、そういう理由だったのね。

精霊が意図的に事故を起こしている以上、人間側が調査しても、何も掴めない。そのせいで、店の営業再開が遅れているだけかと思ったけど、不幸が起き続けている原因って何だろう?

私も気になるよ。

それに、トーイの表情や言葉遣いに、楽観性を感じるのが気に入らない。商売の場合、些細なことであっても、変な噂になり、それが致命傷になりかねない場合だってあるのに。

ちょっと、トーイを試してみよう。

「こんな目立つ場所で事故を意図的に起こし、店をずっと閉めていたら、かなりの損害が出るよ?」

「事故と言っても、ちょっと脅かしただけ。大袈裟だな~」

トーイが笑って、私を宥めようとしている。
あ、これダメなやつだ。
精霊は商売をしないから、軽い事故としか考えていない。
事の重大性をわからせてあげよう。

「大袈裟じゃないよ。公衆の面前で、そんな行為をしたら、客足が遠のいて、最悪店が潰れ、商会自体が倒産、家庭崩壊もありうる」

「家庭崩壊? 少し脅かしただけで?」

いくら血縁者とはいえ、心根が善と判断された人たちに、そんな大きな不幸を与えるのは可哀想だ。取り返しのつかない事態に陥っていないといいけど。

「店が倒産に陥った場合の負債額ってね、かなりの額面なんだよ。そこから挽回できる人って、いくら貴族であっても、そういないと思う。小さな不幸であっても、他人が絡むことで、大きな不幸に発展する場合もある。これで善と判断した人々を死なせてしまったら、精霊王様だって怒ると思う」

トーイの顔が真っ青だ。
自分たちの仕出かした行動に、不安を感じている証拠だ。

「まさかとは思うけど、人の生活状況を考えずに不幸を与えてない?」
「選別するための些細な不幸だから、人の生活なんて考える必要ないでしょ」

トーイでこの考えだと、他の子たちも、きっと同じだ。
今のうちに、指摘しておこう。

「些細な不幸をもたらした結果が、《これ》に発展したんだよ」
「あ…」

私は営業停止の張り紙を指差すと、トーイはやばいと思ったのか、身体を震わせている。

「勿論、貴方たちの復讐したい気持ちもわかる。でも、選別方法に問題ありだよ。もし、この商会が倒産して、責任者の当主が自殺でもしたら、その人の家族は原因を探る。精霊カーバンクルの仕業だと気づいたら、今度はその人たちがカーバンクルを恨み、復讐してくる。今、貴方たちがやっているように」

復讐は連鎖する。
このままだと、お父さんたちの言った通りになるかも。

「長は、この状況を把握しているの?」
「いや…細部までは把握していないと…」
「うっわ、最悪。早急に、言ったほうがいい。というか、私から言おうか?」
「待って! 王都中に点在する皆に、今の店の状況を説明するから!」

長の反応が気になる。
この先、どうなるのかな?
感想 49

あなたにおすすめの小説

聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった! 落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。 オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。 ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!? *カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。 王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。 数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ! 自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

異世界に召喚されたけど、従姉妹に嵌められて即森に捨てられました。

バナナマヨネーズ
恋愛
香澄静弥は、幼馴染で従姉妹の千歌子に嵌められて、異世界召喚されてすぐに魔の森に捨てられてしまった。しかし、静弥は森に捨てられたことを逆に人生をやり直すチャンスだと考え直した。誰も自分を知らない場所で気ままに生きると決めた静弥は、異世界召喚の際に与えられた力をフル活用して異世界生活を楽しみだした。そんなある日のことだ、魔の森に来訪者がやってきた。それから、静弥の異世界ライフはちょっとだけ騒がしくて、楽しいものへと変わっていくのだった。 全123話 ※小説家になろう様にも掲載しています。

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~

ふゆ
ファンタジー
 私は死んだ。  はずだったんだけど、 「君は時空の帯から落ちてしまったんだ」  神様たちのミスでみんなと同じような輪廻転生ができなくなり、特別に記憶を持ったまま転生させてもらえることになった私、シエル。  なんと幼女になっちゃいました。  まだ転生もしないうちに神様と友達になるし、転生直後から神獣が付いたりと、チート万歳!  エーレスと呼ばれるこの世界で、シエルはどう生きるのか? *不定期更新になります *誤字脱字、ストーリー案があればぜひコメントしてください! *ところどころほのぼのしてます( ^ω^ ) *小説家になろう様にも投稿させていただいています