転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護

文字の大きさ
67 / 96
本編

65話 お姉さんが一肌脱ぎましょう

翌朝、私とトーイは馬車に乗り、オリエント子爵家に向かっているのだけど、そこには2人の同行者がいる。

それは、アイリス様とメイリンさんだ。

アイリス様は緊張した面持ちでぎこちなくしており、普段とのギャップがあり過ぎて、私もトーイも驚いている。


どうしてこうなったかと言うと……。


昨日、私たちはホテルに帰還して、マーカス様達にその日に起きた出来事を話すと、マーカス様がアイリス様も私たちに同行するよう、当主として命じたのだ。

「私も行くのですか!? でも、主催者側との話し合いが…」

「それは、私だけで行います。あなたは、王都に友といえる者がいませんからね。この機会に、オリエント家の令嬢やユズリハ男爵家の令息とお友達関係を築いてきなさい」

友だちゼロ。
それは、寂しい響きだよ。

「先方には、私が今日中に連絡を入れておきましょう。これは、親として当主としての命令です」

「そんな~~」

「あちら側はユミルの転生の件をまだ知りませんが、それも今日で明るみになるでしょう。せっかく、カーバンクルやユミルという共通した話題があるのですから、楽しく話し合ってきなさい」

貴族って何を言われても動揺しないよう教育されているはずなのに、あの時のアイリス様は心底嫌そうな顔をしていた。

「メイリンさん、近い年齢の令嬢や令息と話し合えるのなら、普通嬉しいですよね? 子爵令嬢同士なのだから、気軽に話せるのに」

あそこまで嫌がる理由は何かな?

「アイリス様は小さい頃から、医療関係の書物を好んで読んでおられ、茶会などに出席しても、自身の興味に引っ掛かる話題にしか反応しません」

もしかして、今住んでいるタウセントの街でも、かなりお友だちが少ないのでは?

「当初は、御令嬢方もお声をかけてくれたのですが、つれない返事ばかりしているため、今では名声もあって、声をかけにくい状況なんです」

なるほど、大人とばかり話し合っているから、目上とのコミュニケーションが抜群でも、近い歳頃の人たちに対しては、軽いコミュ症になっているわけか。

それなら、今回の出会いをキッカケにして、コミュ症を解消させないとね。

「アイリス様、私みたいに普通に会話すればいいんですよ。普通に」

「気楽に言わないで。タウセントと違って、王都の貴族って、気位が高いし、あまり好きになれないの。自慢話や最近流行しているファッションの話とか、どうでもいい話ばかりするから辟易するのよ」

うーん、10歳児とは思えない会話だ。

シンさんはともかく、シャロンさんも話し難い女性と言ってたから、このまま話し合いに突入しても、最悪誰も喋らないかもしれない。

現在、馬車の中でも、アイリス様は憂鬱そうな表情で、外を眺めている。このままだといけないので、前世で経験豊富な私が一肌脱ぐとしましょう。


○○○


オリエント子爵邸、敷地面積はカルバイン子爵邸と同じくらい、商会を経営しているためか、庭園にかなりの力を入れており、植えられている草木や花々の景観が、見惚れるレベルだ。

私たちがオリエント邸に到着すると、シャロンさんとシンさんが出迎えてくれた。

ふふふ、早速出鼻を挫いてあげよう!

「シャロンさん、シンさん、おはよ~~~」

私は、教わったばかりの貴族の礼儀をぶっちぎりに無視して、幼児らしく両手を振る。メイリンさんは私の意図を察してくれたのかスルーしてくれたので、案の定、アイリス様が慌てて注意を入れてくる。

「こら、ユミル! 仮にも、貴方はカルバイン子爵家のメイド見習いなんだから、教わった礼儀で挨拶しないといけないでしょ!」

「もう、お友達だからいいかなと思って」 

「そんなわけないでしょ! 平民ならともかく、貴族同士の場合は、きちんと礼儀正しく挨拶するものよ!」

アイリス様と一緒に暮らしてわかったけど、彼女って面倒見の良い女の子なんだよね。それをわかってもらえれば……。

「2人とも、ごめんなさい」

さて、シャロンさんとシンさんは、こんな彼女を見て、何を思うかな?

「ふふ、イマリから聞いた通りだわ。ねえ、シン」
「ああ。殿下の誕生会で見た時とは別人だな」
「え…」

シャロンさんを護衛するカーバンクルのイマリが、2人にアイリス様の良さを教えてあげてたのかな?

「ええ。『素のアイリスは、結構家庭的で面倒見の良い女の子だよ』『研究者モードになると、冷めた女にみられがちだけどね』『ユミルといると、仲の良い姉妹に見える』『ユミルのお姉さん的存在。あ、これ全部トーイから聞いたことだから』ていう感じて、色々話してくれたわ」

「な…な…とーーーーい!」

アイリス様は恥ずかしさで顔を真っ赤にしたまま、私の横にいるトーイを睨む。なんか、睨んでいる彼女も可愛い。

「僕は事実を言ったまでだよ」
「な…な」

こういう褒められ方に慣れていないのか、彼女は恥ずかしさのせいで、俯いたまま何も言わなくなる。

「ふふふ、改めて自己紹介ね。私はシャロン・オリエント、11歳。家庭的な貴方となら、良い友人関係を築けそうだわ」

アイリス様の意外な一面を見れたのが余程嬉しかかったのか、シャロンさんは満面な笑みを浮かべている。

「僕はシン・ユズリハ、11歳。男爵令息で、シャロンとは幼馴染ということもあって、普段からこういった話し方だが構わないだろうか?」

2人から自己紹介されたこともあり、アイリス様は顔を上げる。

「アイリス・カルバイン、10歳よ。2人共、普段通りで話し合いましょう。もう…まさかこんな流れで自己紹介する羽目になるなんて…」

「こういった流れでの自己紹介も面白いわね。私やシンも、貴方が来ることを聞いて、結構緊張していたのよ。ところが、まさか貴方もあんなガチガチに緊張しているとは思わなかったわ」

あらら、2人にも伝わっていたんだ。

「そして、その後のユミルへのお叱りが面白い。意外な一面を見れたよ」
「シン、他の人たちに言わないでね」
「僕は言わないが…」

彼はチラッとシャロンさんを見ると、彼女はイタズラ的な笑みを浮かべて、どうしよっかな~と呟く。

「ちょっと、シャロンも言わないでよ!」

どうやら、互いの気まずさが完全に消え去ったようで、今では3人とも古くからの親友であるかのように話し合えている。

うん、掴みは成功だね。

メイリンさんも私を見て笑顔となり、口の動きだけで『ありがとうございます』と言ってくれているのがわかった。
感想 49

あなたにおすすめの小説

聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった! 落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。 オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。 ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!? *カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。 王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。 数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ! 自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

異世界に召喚されたけど、従姉妹に嵌められて即森に捨てられました。

バナナマヨネーズ
恋愛
香澄静弥は、幼馴染で従姉妹の千歌子に嵌められて、異世界召喚されてすぐに魔の森に捨てられてしまった。しかし、静弥は森に捨てられたことを逆に人生をやり直すチャンスだと考え直した。誰も自分を知らない場所で気ままに生きると決めた静弥は、異世界召喚の際に与えられた力をフル活用して異世界生活を楽しみだした。そんなある日のことだ、魔の森に来訪者がやってきた。それから、静弥の異世界ライフはちょっとだけ騒がしくて、楽しいものへと変わっていくのだった。 全123話 ※小説家になろう様にも掲載しています。

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~

ふゆ
ファンタジー
 私は死んだ。  はずだったんだけど、 「君は時空の帯から落ちてしまったんだ」  神様たちのミスでみんなと同じような輪廻転生ができなくなり、特別に記憶を持ったまま転生させてもらえることになった私、シエル。  なんと幼女になっちゃいました。  まだ転生もしないうちに神様と友達になるし、転生直後から神獣が付いたりと、チート万歳!  エーレスと呼ばれるこの世界で、シエルはどう生きるのか? *不定期更新になります *誤字脱字、ストーリー案があればぜひコメントしてください! *ところどころほのぼのしてます( ^ω^ ) *小説家になろう様にも投稿させていただいています