転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護

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本編

66話 突然の来客

オリエント子爵家の庭にて、シャロンさんたちと再会。

そこから話し合いの場となるリビングへと歩いていく道中で、シャロンさんの両親が不在であることを伝えられる。

昨日、2人は王城へ高価な食器類の運搬業務を受け持っていたけど、突然の事故と襲撃で中止となる。営業停止と聞いていたけど、それは王都の店限定で、それ以外の運搬業務などは、現在も継続していることを、シャロンさんから教えられた。

元はと言えば、カーバンクルの仕出かした些細な不幸が原因で襲撃に遭っているため、イマリはシャロンさんの護衛に徹して、他のカーバンクルたちが両親の護衛にまわっている。その両親が帰ってくるまでの間、トーイ、イマリ、メイリンさんが私たちを護衛しないといけない。

リビングへと通されると、すぐに冷たい飲み物とお菓子が出されたので、私たちはそれらをいただく事にする。精神年齢は25歳だけど、身体が4歳のせいか、ついつい美味しい物を見ると、身体が自然と反応してしまう。

「このブッセ、超美味し~~~い!」
「うん、美味いね」

私とトーイは、何も気にすることなく、手でブッセを掴み食べているけど、アイリス様はしっかりとした手順があるのか、上品にナイフとフォークを使い、ブッセを食べている。

よくよく見ると、シャロンさんも彼女と所作が似ている。あれが、食事する際の貴族の作法なのか。今後、私も3人の作法を見習って、食事すべきかな。今は公式の場でもないから、アイリス様も何も言わないのだろう。

「シャロン、シン、単刀直入に言うわね」
「何かしら?」「なんだ?」

アイリス様から話しかけるのは良いけど、何を言うつもり?

「ユミルは転生者で、前世を合わせると29歳の幼児よ」

ぐ、ここでプラスした年齢を言わないでほしい。

「ぐふ!」「ぶは!」

このタイミングで言い放ったものだから、2人は食べ物を喉に詰まらせて、急いでドリンクを飲む羽目になる。

「いきなり、爆弾発言しないでよ!」
「さっきのお返しよ」
「やったのはユミルで、僕とシャロンは何もしていないぞ」

家庭的な女の子と言ったのが、相当恥ずかしかったんだね。

「ユミル、貴方は転生者なの?」

「はい。日本という国で、25年間生きていました。前世、国内の各地方に古くから伝わる伝統に興味があったので、伝統に関わる先生のもとで働いていました」

「だから、神様から伝統魔法を授かったのね。4歳のわりに、共通語を流暢に話せるなと不思議に思っていたけど納得だわ」

正確に言うと、少し違うけどね。

「君の…」

シンさんが何か言いかけたところで、リビングの扉からのノック音が聞こえ、店で会った執事ロハスさんが入ってきて、シャロンさんの耳もとで何かを語りかけると、彼女の顔色が急速に変化する。

「先ぶれもなしに来たの?」

先ぶれ? 予約という意味だったよね?
誰が来たのかな?

「何故、殆ど面識のない彼が、ここへ来るのよ?」

話している途中、シャロンさんは何故か私とトーイ、アイリス様をチラチラと見てくる。

「わかった、私が行くわ。先ぶれもない唐突の訪問で、その目的が不純すぎる。そんな無礼な奴は、誰であろうと追い出す!」

なんか不穏な雰囲気、誰が来たの? 
アイリス様やメイリンさんも、不思議に思っている。

シャロンさんが立ち上がった時、リビングの入口付近から、男性の声が聞こえてくる。
なにやら、メイドさんの焦りの声も聞こえてくるけど。

「勝手に上がらないで下さい! シャロン様は、大切なお客様方と…」
「私は、その大切な客に用がある!」

アイリス様やシャロン様と同じくらいの子供が、メイドの女性を無理矢理納得させて、リビングにズカズカと入ってくる。護衛らしき男性もいるけど、何も語らず、リビング入口付近で、寡黙に佇む。

「アイリス。久しぶりだな」
「ファルナーク様! どうして、ここに!?」

アイリス様が驚きの声を上げて立ち上がる。
2人は知り合い?

「この近辺を馬車で通ったら、君の姿を見かけたから、急いで挨拶に来た」
「挨拶って…ここはオリエント子爵家です! 挨拶したいのなら、きちんと手順を…」

「普段なら、私とてそうするさ。だが、君の場合、用が済めば、すぐにタウセントへ帰るだろう? ここで逃せば、次に会えるのがいつになるのかわからないからね。今回は無礼を承知で、強引に入らせてもらった」

この人、なんなの? 
無礼を承知で入ってきたと言っているけど、強引過ぎる。
何の目的で、アイリス様に近付いてきたの?

「うん? シンはともかく、見慣れぬ客人もいるようだね。私は、ファルナーク・ディオグランデ。ここオリエント子爵は、我々ディグランド家の分家でもあるから、少々の無茶は許されるのさ」

ディオグランド家?
それって、オリエント子爵家の本家になるよね? 
あ、カーバンクルたちの復讐対象者だ!


○○○


私の目の前に、カーバンクルたちの復讐対象者がいる。

長やトーイたちが、ひた隠しにしていた貴族の名前を、こんな形で知ることになるとは、世間は狭いというかなんというか。

でも、この無礼な公爵令息のおかげで、平民の私が本家の名前を知っていても、きちんとその理由を答えられるから、誰かに怪しまれることもない。ファルナーク様もシャロンさんと同様、スキルと魔法を封印されているのかな? 何かに追い詰められているような感じを見受けられない。

本家の公爵令息ということは、確実にカーバンクルのことを知っているはずだ。一応、私とトーイも自己紹介したけど、その時の彼女は笑顔で、憎悪も滲み出ていなかったせいか、シャルナーク様は私たち2人を見ても、ただのシャロンさんのお友達としてしか見ていない。

「アイリス、何故断った?」

ファルナーク様は飲み物を飲み、一息ついたところでアイリス様に話しかけてきたけど、肝心な箇所が抜けているせいで、彼女以外誰も理解できないでいる。シャロンさんとシンさんも、どう問い掛ければ正解か戸惑っている。

「お話中、すいません。ファルナーク様、質問いいですか?」
「何かな、ユミル」
「アイリス様に、デートのお申し込みでもされたのですか?」

4歳児の私なら、こんな質問も許されるはず。
私がど直球な質問をしたせいで、全員の視線が私に集まる。

「ユミルは面白いね。私相手に、そんな素直な質問をされたのは初めてだよ。まあ、知られても構わないか。3ヶ月前、殿下の誕生日会が催され、私はそこでアイリスと出会い、恋に落ちた。いわゆる一目惚れというやつさ」

「一目惚れ! それも、王家の誕生日会で!? 物語のような素敵な展開ですね」

私は咄嗟に言ってしまったけど、ファルナーク様の隣にいるシャロンさんも、余計な事を言おうとしたのか、シンさんが慌てて、彼女の口を塞いでいる。

「私はね、この出会いは運命だと思い、父と母に進言し、お許しを得たことで、カルバイン子爵家に彼女との婚約を申し出た」

「「「婚約!?」」」

今度は我慢できなかったのか、私と同時に、シンさんとシャロンさんも叫んでしまう。
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