転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護

文字の大きさ
81 / 83
本編

79話 敷地内から響く謎の声

しおりを挟む
ゴーストたちの罵りに我慢の限界を迎え、来訪神となって怒りのまま奴らと戦い、気づけば私の周囲から、奴らがいなくなっていった。

「何処いった~~~! 怨念たち~~~」

逃げたはずがない。
包丁で、全員を傷つけたからね。

一応、怨念だけを討伐したいと願い攻撃したけど、まさかそれが叶って成仏した?

「ユミル~こっちこっち」

振り向くと、トーイの後方に人族の色のない透明な大人ゴーストが大勢いるけど、私の標的たちがいない。

「漆黒の奴らは?」
「ここにいる人たち全員が、その漆黒だったゴーストだよ」
「え?」

後方にいるのは間違いなくゴーストで、私を見て震えている。
あれが? 本当に?

「どうやら、怨念だけを討伐できたようだね」

「そうなの? その思いで攻撃したけどさ、全然手応えがないよ」
「来訪神、その魔法は可能性に満ちている。僕も驚きでいっぱいさ」

あの透明なゴーストたちの殆どが人間族で、少数ながら獣人さんたちもいる。

「トーイ、大丈夫なの?」
「もう、皆理性を取り戻しているようだから問題なし。だから、魔法を解除して」

トーイがそう言うのなら、魔法を解除しよう。
……あれ?

鬼の仮面を消した途端、ゴーストたちがすっごく驚いているけど、なんで?

「ふふふ、よっぽど、あの仮面を被った人と君が同一人物だとは思えないようだ。君は気づいていないようだけど、鬼気迫る仮面で怒った時、その怒りが神気に入り込み、ゴーストたちは気圧されたようだね」

全然、自覚がない。

ステータスを詳しく読んだことで、来訪神になると、魔力が一時的に神気に変化するとあったけど、私の感情がその神気に影響を与えていたってことか。

だって、あんなに《よこせよこせ》と宣うものだから…なんにせよ、これからは気をつけよう。

「みんな、怖がらせてごめんね。もう、何もしないよ…『よこせ』と言わない限りね」

私の言葉で、ゴーストたちがビクッと怯む。
もしかして、怨念に侵されている時の記憶があるのかな?
可愛く笑顔で言ったつもりなんだけど、ちょっと傷つきます。

「ほら、君らも言うことがあるでしょ?」

トーイがゴーストたちに語りかけると、皆私のもとへ来る。

ゴースト一同「「「身体をよこせと言ってすいませんでした~~~」」」

ゴースト全員が4歳児に対して、一斉に土下座謝罪している。さっきまで連帯感皆無だったのに、謝罪と土下座タイミングが完全に同じだ。これは私の怒りを鎮めるため、前もって話し合っての行動っぽい。

「ユミルがゴーストたちを追い回している間に、僕の方から事情を聞いておいた」

トーイによると、ゴーストたちには自我こそあったものの、怨念の力が強すぎて、身体を制御できず、内心で私に謝罪していたけど、身体が勝手に動いてしまい、どうしようもなかったとのこと。

「理解できたけどさ、このゴーストさんたち、さっきから土下座したまま頭を上げてくれない」

「それだけ君の力を恐れている証拠。僕の方から、話を進めていくよ」
「お願いします」

来訪神の力って、そんなに凄いの?
ゴーストたちにとって、天敵のような存在なのかな?

伝統魔法って、どの程度の攻撃力があるのか、詳しい記載がないから困る。今回、怨念だけを討伐したいと思い、怒りのまま戦ったけど、希望通りに実現している。

成功しているのは嬉しいけど、全然実感が湧かない。
この魔法って、私の心の持ちようで成功するの?

「ストレートに聞くけど、君らはディオグランデ公爵家と関係しているのかな?」

ゴーストたちが一斉に頭を上げて、トーイを凝視する。

「どうやらビンゴのようだ。僕らは、ディオグランデの血を受け継ぐ者たちに地獄を味合わせるため、今証拠を集めているのさ」

トーイは、カーバンクルの名前を出していない。
相手から、その名前を引き出させるつもり?

ゴーストたちはトーイの視線に合わせるため一斉に立ち上がり、彼女を驚きの表情で凝視するも、何から話せばいいのか戸惑っているように思える。

『少女たちよ。あの貴族共に、どんな恨みを抱いている?』

何処からか、男性の声が聞こえてくる。
何者?


○○○


敷地内全体から響いてくる声、敷地内の何処から聞こえてくるの?

「恨み…ね。証拠をこちらから提示することは可能だけど、それを見たら、君らをこのまま放置しておけない。最悪、ユミルの力で君ら全員を成仏させる」

普通、そこはトーイ自身の力で成仏させると言うべきなんだけど? まあ、突っ込まないでおきましょう。

『我々に、引き返す道など存在しない! 奴らに引導を渡すまでは、成仏できない! 君の提示物が我々の認めるものであるなら、こちらも奴らに恨みがある以上、事情を話し、協力することを誓おう』

声だけで、かなりの恨みがあると伺える。この人たちの言うディオグランデ家への恨みって、現当主へのもの? それとも、過去の人たちを指すのかな?

私としては、協力関係を築きたい。
こちらで100%信頼できるものといえば、アレしかない。

「了解。それじゃあ、今からお見せしよう」

トーイの身体が輝き、カーバンクルの姿に戻ると……近くにいたゴーストたちと謎の声が、一斉に『カーバンクル様!』と叫ぶ。

『私とロカの呪縛が粉々に砕け散った以上、いずれ現れるとは思いましたが……どうやって、契約内容に抵触されないまま、あの呪縛を破壊したのです?』

先代長の名前はロカ、それを知っていて、【私とロカの呪縛】と言ったけど、もしかして……。

「へえ~、君はあの家の関係者か」

トーイの言う通り、声の主は間違いなく関係者だ。私の予想通りなら、カーバンクルたちの最も憎むべき対象かもしれない。彼女も関係者と察知し、警戒モードに入る。

「君の正体は後で聞くとして、まずは質問に答えよう。ここにいるユミルが、その呪縛を解き放ってくれたんだよ」

今度は私に、視線が集中する。

『馬鹿な!! こんな小さな幼児が!? いや、先程の奇怪な魔法の持ち主なら…』
「ユミルは、カーバンクルに愛されし加護者だ。君らも、さっきの力を見たよね? 彼女は、神から特別な魔法を授かった。その魔法を使い、呪縛を破壊してくれたのさ」

私への視線が凄い。

『わかりました、信じましょう。ここに、カーバンクル様がいらっしゃること、そして先程の幼女の姿が何よりの証拠』

良かった、納得してくれたようだ。私の鬼化した姿で、納得してくれたのは複雑だけど。

「信じてくれてなにより。僕たちは王族と協力関係を築いている。あとは証拠を見つけ出し、王族に裁いてもらう」

あれ? 
王族という言葉を出したら、なんかゴーストたちの雰囲気が変わった。

『カーバンクル様、それは些かぬるいのでは?』

これは怒っている?
まあ、気持ちはわかるよ。

「それは、僕も同じ思いさ。でもね、アレから100年経過しているせいで、血縁者たちも契約者から枝分かれして、何の事情も知らない善人もいれば、全てを理解している悪人もいるんだよ」

『私は子供を作った覚えなどない!』

え…やっぱり、この声の主って……。

普通ならとっくに天寿を全うしているけど、未練を残した幽霊として存在しているのなら、声の主の正体はあの人しかいない。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~

ふゆ
ファンタジー
 私は死んだ。  はずだったんだけど、 「君は時空の帯から落ちてしまったんだ」  神様たちのミスでみんなと同じような輪廻転生ができなくなり、特別に記憶を持ったまま転生させてもらえることになった私、シエル。  なんと幼女になっちゃいました。  まだ転生もしないうちに神様と友達になるし、転生直後から神獣が付いたりと、チート万歳!  エーレスと呼ばれるこの世界で、シエルはどう生きるのか? *不定期更新になります *誤字脱字、ストーリー案があればぜひコメントしてください! *ところどころほのぼのしてます( ^ω^ ) *小説家になろう様にも投稿させていただいています

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

今日からはじめる錬金生活〜家から追い出されたので王都の片隅で錬金術店はじめました〜

束原ミヤコ
ファンタジー
マユラは優秀な魔導師を輩出するレイクフィア家に生まれたが、魔導の才能に恵まれなかった。 そのため幼い頃から小間使いのように扱われ、十六になるとアルティナ公爵家に爵位と金を引き換えに嫁ぐことになった。 だが夫であるオルソンは、初夜の晩に現れない。 マユラはオルソンが義理の妹リンカと愛し合っているところを目撃する。 全てを諦めたマユラは、領地の立て直しにひたすら尽力し続けていた。 それから四年。リンカとの間に子ができたという理由で、マユラは離縁を言い渡される。 マユラは喜び勇んで家を出た。今日からはもう誰かのために働かなくていい。 自由だ。 魔法は苦手だが、物作りは好きだ。商才も少しはある。 マユラは王都の片隅で、錬金術店を営むことにした。 これは、マユラが偉大な錬金術師になるまでの、初めの一歩の話──。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

処理中です...