転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護

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本編

79話 敷地内から響く謎の声

ゴーストたちの罵りに我慢の限界を迎え、来訪神となって怒りのまま奴らと戦い、気づけば私の周囲から、奴らがいなくなっていった。

「何処いった~~~! 怨念たち~~~」

逃げたはずがない。
包丁で、全員を傷つけたからね。

一応、怨念だけを討伐したいと願い攻撃したけど、まさかそれが叶って成仏した?

「ユミル~こっちこっち」

振り向くと、トーイの後方に人族の色のない透明な大人ゴーストが大勢いるけど、私の標的たちがいない。

「漆黒の奴らは?」
「ここにいる人たち全員が、その漆黒だったゴーストだよ」
「え?」

後方にいるのは間違いなくゴーストで、私を見て震えている。
あれが? 本当に?

「どうやら、怨念だけを討伐できたようだね」

「そうなの? その思いで攻撃したけどさ、全然手応えがないよ」
「来訪神、その魔法は可能性に満ちている。僕も驚きでいっぱいさ」

あの透明なゴーストたちの殆どが人間族で、少数ながら獣人さんたちもいる。

「トーイ、大丈夫なの?」
「もう、皆理性を取り戻しているようだから問題なし。だから、魔法を解除して」

トーイがそう言うのなら、魔法を解除しよう。
……あれ?

鬼の仮面を消した途端、ゴーストたちがすっごく驚いているけど、なんで?

「ふふふ、よっぽど、あの仮面を被った人と君が同一人物だとは思えないようだ。君は気づいていないようだけど、鬼気迫る仮面で怒った時、その怒りが神気に入り込み、ゴーストたちは気圧されたようだね」

全然、自覚がない。

ステータスを詳しく読んだことで、来訪神になると、魔力が一時的に神気に変化するとあったけど、私の感情がその神気に影響を与えていたってことか。

だって、あんなに《よこせよこせ》と宣うものだから…なんにせよ、これからは気をつけよう。

「みんな、怖がらせてごめんね。もう、何もしないよ…『よこせ』と言わない限りね」

私の言葉で、ゴーストたちがビクッと怯む。
もしかして、怨念に侵されている時の記憶があるのかな?
可愛く笑顔で言ったつもりなんだけど、ちょっと傷つきます。

「ほら、君らも言うことがあるでしょ?」

トーイがゴーストたちに語りかけると、皆私のもとへ来る。

ゴースト一同「「「身体をよこせと言ってすいませんでした~~~」」」

ゴースト全員が4歳児に対して、一斉に土下座謝罪している。さっきまで連帯感皆無だったのに、謝罪と土下座タイミングが完全に同じだ。これは私の怒りを鎮めるため、前もって話し合っての行動っぽい。

「ユミルがゴーストたちを追い回している間に、僕の方から事情を聞いておいた」

トーイによると、ゴーストたちには自我こそあったものの、怨念の力が強すぎて、身体を制御できず、内心で私に謝罪していたけど、身体が勝手に動いてしまい、どうしようもなかったとのこと。

「理解できたけどさ、このゴーストさんたち、さっきから土下座したまま頭を上げてくれない」

「それだけ君の力を恐れている証拠。僕の方から、話を進めていくよ」
「お願いします」

来訪神の力って、そんなに凄いの?
ゴーストたちにとって、天敵のような存在なのかな?

伝統魔法って、どの程度の攻撃力があるのか、詳しい記載がないから困る。今回、怨念だけを討伐したいと思い、怒りのまま戦ったけど、希望通りに実現している。

成功しているのは嬉しいけど、全然実感が湧かない。
この魔法って、私の心の持ちようで成功するの?

「ストレートに聞くけど、君らはディオグランデ公爵家と関係しているのかな?」

ゴーストたちが一斉に頭を上げて、トーイを凝視する。

「どうやらビンゴのようだ。僕らは、ディオグランデの血を受け継ぐ者たちに地獄を味合わせるため、今証拠を集めているのさ」

トーイは、カーバンクルの名前を出していない。
相手から、その名前を引き出させるつもり?

ゴーストたちはトーイの視線に合わせるため一斉に立ち上がり、彼女を驚きの表情で凝視するも、何から話せばいいのか戸惑っているように思える。

『少女たちよ。あの貴族共に、どんな恨みを抱いている?』

何処からか、男性の声が聞こえてくる。
何者?


○○○


敷地内全体から響いてくる声、敷地内の何処から聞こえてくるの?

「恨み…ね。証拠をこちらから提示することは可能だけど、それを見たら、君らをこのまま放置しておけない。最悪、ユミルの力で君ら全員を成仏させる」

普通、そこはトーイ自身の力で成仏させると言うべきなんだけど? まあ、突っ込まないでおきましょう。

『我々に、引き返す道など存在しない! 奴らに引導を渡すまでは、成仏できない! 君の提示物が我々の認めるものであるなら、こちらも奴らに恨みがある以上、事情を話し、協力することを誓おう』

声だけで、かなりの恨みがあると伺える。この人たちの言うディオグランデ家への恨みって、現当主へのもの? それとも、過去の人たちを指すのかな?

私としては、協力関係を築きたい。
こちらで100%信頼できるものといえば、アレしかない。

「了解。それじゃあ、今からお見せしよう」

トーイの身体が輝き、カーバンクルの姿に戻ると……近くにいたゴーストたちと謎の声が、一斉に『カーバンクル様!』と叫ぶ。

『私とロカの呪縛が粉々に砕け散った以上、いずれ現れるとは思いましたが……どうやって、契約内容に抵触されないまま、あの呪縛を破壊したのです?』

先代長の名前はロカ、それを知っていて、【私とロカの呪縛】と言ったけど、もしかして……。

「へえ~、君はあの家の関係者か」

トーイの言う通り、声の主は間違いなく関係者だ。私の予想通りなら、カーバンクルたちの最も憎むべき対象かもしれない。彼女も関係者と察知し、警戒モードに入る。

「君の正体は後で聞くとして、まずは質問に答えよう。ここにいるユミルが、その呪縛を解き放ってくれたんだよ」

今度は私に、視線が集中する。

『馬鹿な!! こんな小さな幼児が!? いや、先程の奇怪な魔法の持ち主なら…』
「ユミルは、カーバンクルに愛されし加護者だ。君らも、さっきの力を見たよね? 彼女は、神から特別な魔法を授かった。その魔法を使い、呪縛を破壊してくれたのさ」

私への視線が凄い。

『わかりました、信じましょう。ここに、カーバンクル様がいらっしゃること、そして先程の幼女の姿が何よりの証拠』

良かった、納得してくれたようだ。私の鬼化した姿で、納得してくれたのは複雑だけど。

「信じてくれてなにより。僕たちは王族と協力関係を築いている。あとは証拠を見つけ出し、王族に裁いてもらう」

あれ? 
王族という言葉を出したら、なんかゴーストたちの雰囲気が変わった。

『カーバンクル様、それは些かぬるいのでは?』

これは怒っている?
まあ、気持ちはわかるよ。

「それは、僕も同じ思いさ。でもね、アレから100年経過しているせいで、血縁者たちも契約者から枝分かれして、何の事情も知らない善人もいれば、全てを理解している悪人もいるんだよ」

『私は子供を作った覚えなどない!』

え…やっぱり、この声の主って……。

普通ならとっくに天寿を全うしているけど、未練を残した幽霊として存在しているのなら、声の主の正体はあの人しかいない。
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