27 / 96
本編
25話 視線を感じます
私とカイト兄が冒険者ギルドに入ると、早朝ということもあってか、色んな冒険者たちが掲示板のところに屯しており、自分たちに見合う依頼を探している。そこには、私と同年代の子供はいない。ここから見える限り、いるのは10歳くらいの男女混成パーティーくらいだ。
冒険者登録をしてわかったけど、今の時点で私が最年少冒険者で、私と同年代の子供はいない。ここへ来た当初、私は冒険者になるにあたっての初心者講習を受けた。内容自体が私のためになるものばかりだったので、授業を真剣に聞き入れ、内容でいくつか疑問に感じた箇所に関しては、皆のいる前でその都度、申し訳ない気持ちで講師の先生に質問した。そのせいで、講習終了が予定時刻より30分程遅れてしまい、皆に迷惑を掛けてしまったので、その場ですぐに出席者6名(10~13歳)と先生に謝罪したら、皆に怒られるどころか褒められてしまった。講習を終えて、トーイたちが大勢の冒険者たちと話していたので、みんなに講習での出来事を話すと、私の納得のいく答えが返ってきた。
・初心者講習は、誰もが知ってて当たり前のことばかり。そのため、出席者側の殆どにやる気がなく、毎回眠っている人が続出している。先生側はその理由もわかるけど、舐められては困るので、その都度注意を入れるため、喧嘩に発展する場合がある。
・出席者側も真剣に聞き入れることもあるけど、講師側に滅多に質問しない。理由は簡単、その質問自体が知ってて当たり前のものであった場合、ギルド側に名前を覚えられ、評価を落とす可能性があり、ランクが上がりにくくなると思い込んでいる。
今回、私が一番前の席を確保し、真剣に授業に臨み、わからない箇所はその都度質問していたことで、居眠り者はゼロだった。私の質問内容が他の出席者の思っていたものと酷似していたので、質問する手間が省けた。その結果、これまでの講習の中でも最高の終わり方になったので、先生側も出席者側も褒めてくれたみたい。
私は4歳で何も知らなくて当然だし、積極的に質問したことで、両方からかなりの好印象を与え、周囲の雰囲気を緩和させたようだ。初日の登録以降、どういうわけか講習時の私の様子が皆に知れ渡っていたようで、私が訪れると、年齢に関係なく、皆が笑顔となり、多くの人々が挨拶も兼ねて、私の頭を撫でていく。
そして、今日も…
「お~ユミル~~早いな~~」
「本当ね~今日も頑張ってね~~~」
「最年少冒険者さん、魔物と遭遇したら真っ先に逃げるか、近場の冒険者に知らせるようにね」
今日も今日で、私はみんなに頭を撫でられている。
う~ん、なんだか恒例になってきている気がする。
「はい、頑張ります!!」
そんな私を見て、カイト兄も笑顔だ。
「はは、いつもの日常の始まりだな」
「うん、今日も一日頑張るよ!!」
とりあえず、私たちは依頼の貼られている掲示板へと、足を運ぶ。
「新しい依頼が入ったのかな?」
私は登録時の講習で、冒険者についての説明を受けた。冒険者には、[強S・A・B・C・D・E・F弱]の7つのランクがあり、一階の大掲示板には、各ランクに分けられた7つの区画があり、冒険者たちは自分の現ランクと一つ上のランクを受注できる。
私の場合なら、FとEランクだ。
「そうだろうな。あそこまで群がるってことは、高い報酬の依頼が入ったんだ。位置的に、DとEランクかな。まあ、今の俺とユミルには厳しいから、焦らず無難なFランクの依頼から遂行して、ポイントを稼いでいこう」
カイト兄の目標は、Eランクに位置するゴブリン討伐依頼を1人で達成させること。そのためにも、攻撃力の向上が必須事項だ。普通、冒険者はスキル[剣術][身体強化]などで攻撃力を向上させるけど、カイト兄は剣術しか持っていないから、[身体強化]がない分をどうやって補うかで、今も悩んでいる。
……なんだろう?
何か、ねっとりとした視線を感じる。
これって、敵意?
視線の元を探しキョロキョロしていると、2階から私を見ている10歳くらいの女の子と、目が合った。ここ1階は一部吹き抜けになっているから、2階の廊下から1階を覗ける。
多分、この視線はあの子だ。
水色の髪と瞳、お洒落で貴賓ある服装、貴族かな?
「アイリス、どうしました?」
彼女は誰かに話しかけられたのか、後方を向く。
「お父様、探している子供はあの子でしょうか? 隣に、カイトさんもいます」
ここからだと、会話が聞こえないよ。
あ、今度は30代のおじさんがこっちを見てきた。
優し気な顔で、怖い雰囲気を出していない。
「ああ、間違いありませんね。カイト君から聞いた幼女は、彼女のことでしょう。私たちが行くと目立ちますから、館内放送を流して、我々のいる部屋へ来てもらいましょう」
「はい」
周囲が騒ついているせいもあって、2人の話している内容がこっちまで聞こえてこない。
「カイト兄、2階にいる10歳くらいの女の子が、私を見て何か言ってる」
「あれは、街長のマーカス様と次女のアイリス様じゃないか!! そうか、俺があの件の報告も兼ねて、ユミルのことを話したから、もう様子を見にきたのか」
カイト兄は、スラム地区の状況を街長様に報告する義務がある。ラピスが目覚め、危険な状態を脱し、健康に問題ないと判明したのが昨日、だからカイト兄はリアテイル様の書いた手紙を持って、街長様の邸へと赴いた。
街長様がこの件を知ったら、解決に導いた私の存在を気にかけ、冒険者ギルドを通じて、話し合いの場をセッティングしてくると、リアテイル様やトマス爺、トーイも言っていたけど、昨日の今日でもう会いにきたってことかな。
でも、街長様はわかるけど、どうしてその子供が冒険者ギルドへ来たの?
冒険者登録をしてわかったけど、今の時点で私が最年少冒険者で、私と同年代の子供はいない。ここへ来た当初、私は冒険者になるにあたっての初心者講習を受けた。内容自体が私のためになるものばかりだったので、授業を真剣に聞き入れ、内容でいくつか疑問に感じた箇所に関しては、皆のいる前でその都度、申し訳ない気持ちで講師の先生に質問した。そのせいで、講習終了が予定時刻より30分程遅れてしまい、皆に迷惑を掛けてしまったので、その場ですぐに出席者6名(10~13歳)と先生に謝罪したら、皆に怒られるどころか褒められてしまった。講習を終えて、トーイたちが大勢の冒険者たちと話していたので、みんなに講習での出来事を話すと、私の納得のいく答えが返ってきた。
・初心者講習は、誰もが知ってて当たり前のことばかり。そのため、出席者側の殆どにやる気がなく、毎回眠っている人が続出している。先生側はその理由もわかるけど、舐められては困るので、その都度注意を入れるため、喧嘩に発展する場合がある。
・出席者側も真剣に聞き入れることもあるけど、講師側に滅多に質問しない。理由は簡単、その質問自体が知ってて当たり前のものであった場合、ギルド側に名前を覚えられ、評価を落とす可能性があり、ランクが上がりにくくなると思い込んでいる。
今回、私が一番前の席を確保し、真剣に授業に臨み、わからない箇所はその都度質問していたことで、居眠り者はゼロだった。私の質問内容が他の出席者の思っていたものと酷似していたので、質問する手間が省けた。その結果、これまでの講習の中でも最高の終わり方になったので、先生側も出席者側も褒めてくれたみたい。
私は4歳で何も知らなくて当然だし、積極的に質問したことで、両方からかなりの好印象を与え、周囲の雰囲気を緩和させたようだ。初日の登録以降、どういうわけか講習時の私の様子が皆に知れ渡っていたようで、私が訪れると、年齢に関係なく、皆が笑顔となり、多くの人々が挨拶も兼ねて、私の頭を撫でていく。
そして、今日も…
「お~ユミル~~早いな~~」
「本当ね~今日も頑張ってね~~~」
「最年少冒険者さん、魔物と遭遇したら真っ先に逃げるか、近場の冒険者に知らせるようにね」
今日も今日で、私はみんなに頭を撫でられている。
う~ん、なんだか恒例になってきている気がする。
「はい、頑張ります!!」
そんな私を見て、カイト兄も笑顔だ。
「はは、いつもの日常の始まりだな」
「うん、今日も一日頑張るよ!!」
とりあえず、私たちは依頼の貼られている掲示板へと、足を運ぶ。
「新しい依頼が入ったのかな?」
私は登録時の講習で、冒険者についての説明を受けた。冒険者には、[強S・A・B・C・D・E・F弱]の7つのランクがあり、一階の大掲示板には、各ランクに分けられた7つの区画があり、冒険者たちは自分の現ランクと一つ上のランクを受注できる。
私の場合なら、FとEランクだ。
「そうだろうな。あそこまで群がるってことは、高い報酬の依頼が入ったんだ。位置的に、DとEランクかな。まあ、今の俺とユミルには厳しいから、焦らず無難なFランクの依頼から遂行して、ポイントを稼いでいこう」
カイト兄の目標は、Eランクに位置するゴブリン討伐依頼を1人で達成させること。そのためにも、攻撃力の向上が必須事項だ。普通、冒険者はスキル[剣術][身体強化]などで攻撃力を向上させるけど、カイト兄は剣術しか持っていないから、[身体強化]がない分をどうやって補うかで、今も悩んでいる。
……なんだろう?
何か、ねっとりとした視線を感じる。
これって、敵意?
視線の元を探しキョロキョロしていると、2階から私を見ている10歳くらいの女の子と、目が合った。ここ1階は一部吹き抜けになっているから、2階の廊下から1階を覗ける。
多分、この視線はあの子だ。
水色の髪と瞳、お洒落で貴賓ある服装、貴族かな?
「アイリス、どうしました?」
彼女は誰かに話しかけられたのか、後方を向く。
「お父様、探している子供はあの子でしょうか? 隣に、カイトさんもいます」
ここからだと、会話が聞こえないよ。
あ、今度は30代のおじさんがこっちを見てきた。
優し気な顔で、怖い雰囲気を出していない。
「ああ、間違いありませんね。カイト君から聞いた幼女は、彼女のことでしょう。私たちが行くと目立ちますから、館内放送を流して、我々のいる部屋へ来てもらいましょう」
「はい」
周囲が騒ついているせいもあって、2人の話している内容がこっちまで聞こえてこない。
「カイト兄、2階にいる10歳くらいの女の子が、私を見て何か言ってる」
「あれは、街長のマーカス様と次女のアイリス様じゃないか!! そうか、俺があの件の報告も兼ねて、ユミルのことを話したから、もう様子を見にきたのか」
カイト兄は、スラム地区の状況を街長様に報告する義務がある。ラピスが目覚め、危険な状態を脱し、健康に問題ないと判明したのが昨日、だからカイト兄はリアテイル様の書いた手紙を持って、街長様の邸へと赴いた。
街長様がこの件を知ったら、解決に導いた私の存在を気にかけ、冒険者ギルドを通じて、話し合いの場をセッティングしてくると、リアテイル様やトマス爺、トーイも言っていたけど、昨日の今日でもう会いにきたってことかな。
でも、街長様はわかるけど、どうしてその子供が冒険者ギルドへ来たの?
あなたにおすすめの小説
聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!
碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった!
落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。
オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。
ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!?
*カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚
mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。
王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。
数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ!
自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。
異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
異世界に召喚されたけど、従姉妹に嵌められて即森に捨てられました。
バナナマヨネーズ
恋愛
香澄静弥は、幼馴染で従姉妹の千歌子に嵌められて、異世界召喚されてすぐに魔の森に捨てられてしまった。しかし、静弥は森に捨てられたことを逆に人生をやり直すチャンスだと考え直した。誰も自分を知らない場所で気ままに生きると決めた静弥は、異世界召喚の際に与えられた力をフル活用して異世界生活を楽しみだした。そんなある日のことだ、魔の森に来訪者がやってきた。それから、静弥の異世界ライフはちょっとだけ騒がしくて、楽しいものへと変わっていくのだった。
全123話
※小説家になろう様にも掲載しています。
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~
ふゆ
ファンタジー
私は死んだ。
はずだったんだけど、
「君は時空の帯から落ちてしまったんだ」
神様たちのミスでみんなと同じような輪廻転生ができなくなり、特別に記憶を持ったまま転生させてもらえることになった私、シエル。
なんと幼女になっちゃいました。
まだ転生もしないうちに神様と友達になるし、転生直後から神獣が付いたりと、チート万歳!
エーレスと呼ばれるこの世界で、シエルはどう生きるのか?
*不定期更新になります
*誤字脱字、ストーリー案があればぜひコメントしてください!
*ところどころほのぼのしてます( ^ω^ )
*小説家になろう様にも投稿させていただいています