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ついでに片付けておきました
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その夜、客間で眠っていると、ミケが不吉なことを言い出した。
「テオ、何だか森の方が騒がしいみたいだね」
「騒がしいって……魔物がまたあふれそうだってこと?」
「うん。そのうち森から出てくると思う」
穏やかじゃないな。魔物が森から出てくると言うことは、アウデン男爵領の住民たちに被害が出ると言うことだ。これはどげんかせんといかんな。領地内にいくつも魔境を抱えていると大変そうだな。それもあって、モンドリアーン子爵家と縁を結ぼうと思ったのだろう。
「教えてくれてありがとう。明日、アウデン男爵にそのことを伝えておくよ」
そう言ってミケをギュッと抱きしめた。この抱き心地、癖になりそう。ミケも嫌がることなくおとなしくしている。多分、許されているのだと思う。
翌日、朝食の席で昨夜のことを話した。
「何と、また森から魔物が……」
せっかくの朝食が台無しになってしまったが、手遅れになってしまっては元も子もない。悪い話は早めに出しておいて、対策を打っておくに限る。
「ミケ、どっちの方角か分かるか?」
「あっちの方」
ミケが腕を指した。アウデン男爵は両手を組んで考え込むと、使用人を呼んで何やら指示を出していた。これでひとまずは大丈夫だろう。先手が打てるかどうかは分からないが、後手に回ることはないだろう。
食事のあと、アウデン男爵もすぐに出かけて行った。今頃きっと、あの参謀がしっかりと情報を収集しているはずである。心配はいらないはず。
アウデン男爵家の庭はとても広かった。屋敷こそ、我が家よりも小ぶりだったが、庭の広さはこちらの方が上である。花壇だけではなく、畑もあった。今も庭師がせっせと農作業をしていた。
そんなアウデン男爵家自慢の庭をイーリスに案内してもらいながら一緒に散歩していると、慌てた様子でアウデン男爵がやってきた。
イーリスが不安そうな顔をしている。俺がそっとつないでいる手に力を入れると、力強く、ギュッと握り返してきた。
「テオドール殿、力を貸してくれないか!」
「いいですとも!」
多分、今朝の魔物関係のことだろう。もちろん手を貸すさ。将来の妻の実家が安泰であることはこちらにとっても都合がいいからね。
イーリスもそれを察したのだろう。それを聞いたイーリスの顔は青くなっている。心配そうに俺の顔をのぞいてきたが、まあ問題はないだろう。だって俺、人間をやめたからね。
「調査隊からの報告で、どうやら魔物が徐々に村へと押し寄せているようなのだ。すでに村は防衛体制に入っているので、すぐにどうということはないだろうが、援軍が必要だ。一緒に来てもらいたい」
俺はうなずくと、アウデン男爵の指示に従って村へと向かった。イーリスと夫人は心配していたようだが、俺が「食後の運動がてらに片付けてきますよ」と言うと、「ご武運を」と言って送り出してくれた。レオンは俺の言葉に飛び上がって喜んでいた。
ちなみにレオンはお留守番である。これならアウデン男爵に万が一のことがあっても、アウデン男爵家を維持することができる。モンドリアーン子爵にとっても、すでに子爵夫人として内定しているイーリスが無事なら何とかなるだろう。まあ、守護精霊もいるし、魔王でも出てこない限りは負けないんだろうけどね。
そんな風にミケに言ったら、「神様が出てこない限り、テオが負けるわけないじゃん」と真顔で言われた。そっかー、俺、本当に人間やめちゃったのかー。魔王ですら相手にならないとか、どんだけ!?
そんなこんなで絶賛魔物が接近中の村までやってきた。さすがに魔境の森に近い村だけあって、しっかりとした柵が築かれていた。援軍がすぐに来ると分かっていたこともあり、士気も非常に高かった。
俺たちが到着してからそれほど間をあけずに、斥候から魔物がすぐそこまで接近していると言う報告がきた。それを聞いたアウデン男爵の顔がわずかに曇った。やはり魔物が相手となると、それなりに覚悟をする必要があるようだ。
「テオドール殿、よろしく頼む」
再びアウデン男爵が頭を下げた。俺は一つうなずくと、ミケを肩に乗せ、魔法で天高く舞い上がった。地上からは驚きの声があがっている。そして前方には、魔境の森から出てきた魔物の集団がこちらに向かっているのがハッキリと見えた。
「あれだけ密集していれば、それなりに早く片付きそうだね」
「そうだけど、何かおかしくない? あ、あそこにゴブリンジェネラルがいる! きっとあいつが魔物を引き連れてきたのよ。逃げられたら厄介だよ。慎重に戦った方が……」
「大丈夫。逃がさないから!」
俺はその集団がスッポリと入るほどの巨大なファイアーボールを宙空に生み出すと、それを全力で投げつけた。
ドン、と言う大きな音と共に、辺りに肉を焼いたようないい匂いが漂ってきた。そしてすぐに焦げた肉の匂いへと変わった。
魔物の集団は一匹残らず焦げ肉へと変わっていた。どうやら上手に焼けなかったようである。まあ、ゴブリンの肉は火を通しても食べられないけどね。
一呼吸ののち、下から大きな歓声があがった。
「テオ、何だか森の方が騒がしいみたいだね」
「騒がしいって……魔物がまたあふれそうだってこと?」
「うん。そのうち森から出てくると思う」
穏やかじゃないな。魔物が森から出てくると言うことは、アウデン男爵領の住民たちに被害が出ると言うことだ。これはどげんかせんといかんな。領地内にいくつも魔境を抱えていると大変そうだな。それもあって、モンドリアーン子爵家と縁を結ぼうと思ったのだろう。
「教えてくれてありがとう。明日、アウデン男爵にそのことを伝えておくよ」
そう言ってミケをギュッと抱きしめた。この抱き心地、癖になりそう。ミケも嫌がることなくおとなしくしている。多分、許されているのだと思う。
翌日、朝食の席で昨夜のことを話した。
「何と、また森から魔物が……」
せっかくの朝食が台無しになってしまったが、手遅れになってしまっては元も子もない。悪い話は早めに出しておいて、対策を打っておくに限る。
「ミケ、どっちの方角か分かるか?」
「あっちの方」
ミケが腕を指した。アウデン男爵は両手を組んで考え込むと、使用人を呼んで何やら指示を出していた。これでひとまずは大丈夫だろう。先手が打てるかどうかは分からないが、後手に回ることはないだろう。
食事のあと、アウデン男爵もすぐに出かけて行った。今頃きっと、あの参謀がしっかりと情報を収集しているはずである。心配はいらないはず。
アウデン男爵家の庭はとても広かった。屋敷こそ、我が家よりも小ぶりだったが、庭の広さはこちらの方が上である。花壇だけではなく、畑もあった。今も庭師がせっせと農作業をしていた。
そんなアウデン男爵家自慢の庭をイーリスに案内してもらいながら一緒に散歩していると、慌てた様子でアウデン男爵がやってきた。
イーリスが不安そうな顔をしている。俺がそっとつないでいる手に力を入れると、力強く、ギュッと握り返してきた。
「テオドール殿、力を貸してくれないか!」
「いいですとも!」
多分、今朝の魔物関係のことだろう。もちろん手を貸すさ。将来の妻の実家が安泰であることはこちらにとっても都合がいいからね。
イーリスもそれを察したのだろう。それを聞いたイーリスの顔は青くなっている。心配そうに俺の顔をのぞいてきたが、まあ問題はないだろう。だって俺、人間をやめたからね。
「調査隊からの報告で、どうやら魔物が徐々に村へと押し寄せているようなのだ。すでに村は防衛体制に入っているので、すぐにどうということはないだろうが、援軍が必要だ。一緒に来てもらいたい」
俺はうなずくと、アウデン男爵の指示に従って村へと向かった。イーリスと夫人は心配していたようだが、俺が「食後の運動がてらに片付けてきますよ」と言うと、「ご武運を」と言って送り出してくれた。レオンは俺の言葉に飛び上がって喜んでいた。
ちなみにレオンはお留守番である。これならアウデン男爵に万が一のことがあっても、アウデン男爵家を維持することができる。モンドリアーン子爵にとっても、すでに子爵夫人として内定しているイーリスが無事なら何とかなるだろう。まあ、守護精霊もいるし、魔王でも出てこない限りは負けないんだろうけどね。
そんな風にミケに言ったら、「神様が出てこない限り、テオが負けるわけないじゃん」と真顔で言われた。そっかー、俺、本当に人間やめちゃったのかー。魔王ですら相手にならないとか、どんだけ!?
そんなこんなで絶賛魔物が接近中の村までやってきた。さすがに魔境の森に近い村だけあって、しっかりとした柵が築かれていた。援軍がすぐに来ると分かっていたこともあり、士気も非常に高かった。
俺たちが到着してからそれほど間をあけずに、斥候から魔物がすぐそこまで接近していると言う報告がきた。それを聞いたアウデン男爵の顔がわずかに曇った。やはり魔物が相手となると、それなりに覚悟をする必要があるようだ。
「テオドール殿、よろしく頼む」
再びアウデン男爵が頭を下げた。俺は一つうなずくと、ミケを肩に乗せ、魔法で天高く舞い上がった。地上からは驚きの声があがっている。そして前方には、魔境の森から出てきた魔物の集団がこちらに向かっているのがハッキリと見えた。
「あれだけ密集していれば、それなりに早く片付きそうだね」
「そうだけど、何かおかしくない? あ、あそこにゴブリンジェネラルがいる! きっとあいつが魔物を引き連れてきたのよ。逃げられたら厄介だよ。慎重に戦った方が……」
「大丈夫。逃がさないから!」
俺はその集団がスッポリと入るほどの巨大なファイアーボールを宙空に生み出すと、それを全力で投げつけた。
ドン、と言う大きな音と共に、辺りに肉を焼いたようないい匂いが漂ってきた。そしてすぐに焦げた肉の匂いへと変わった。
魔物の集団は一匹残らず焦げ肉へと変わっていた。どうやら上手に焼けなかったようである。まあ、ゴブリンの肉は火を通しても食べられないけどね。
一呼吸ののち、下から大きな歓声があがった。
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