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もしや、23歳にもなって……?※

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「そ、そんなっ! あっ……!」

 キリアンは、いきなりわたくしをベッドにうつ伏せにした。じゃらりと足枷のくさりが鳴りひびき、傷がずきりと痛む。
 彼は、大きな手でわしづかみにしたおしりを高くあげて、肩を上から押さえつけた。
  胸がベッドにへばりついて、秘めたるソコが彼の目の前に隠すことなく、ぱっくりと開かれてしまう。

「……。アイラ……」

 キリアンは、恋する女性の名前を切な気に呼び、「ここが女の人の……。アイラのもこんな風なのか? 酒場でおっさんたちが言っていたが……、ここか?」など呟きながら、わたくしの粒や、膨れた左右にある花びらを、興味深くつんつんつついて来る。

 ん? ─── あら? 思っていたのと違うわ?

「あ、や……、だっ!」

 わたくしは、まるで教材になった気分になる。

  もうちょっと、凌辱とか悪い男風を気取っているのなら、そんな風に無垢な少年のような言動はやめて欲しい。


 そう思いながらも、ビンカンなそこを不器用に恐る恐るいじられ、慣れて来たのかぐりぐり押し込んだり、さすったりつまんだりし始めたキリアンの指使いに反応して、腰がはねて、まるでねだるかのようにおしりが揺れる。

 何を思ったのか、おしりを撫でまわし始めてパンっと音がなるほど叩いたのである。しかも二度も。全く痛くはなかったけれど、屈辱と羞恥で頭がぐるぐる回っていた。


 キリアンが少々狼狽えたものの、涙を流すわたくしに対して、「泣いてんのか?  い、痛かったか?  初めてだもんな……。か、かわいいなお前……、じゃなくて、えっと……。な、泣くな!」
「……、すぐすませるからなっ!  が、がが、我慢してくれっ」そう謝罪にもならない言い訳を自分に言い聞かせるかのように、おしりを叩くのをやめた後、秘めていた場所をもう一度、くぱっと開いてある場所に指をぴとりとつけたのであった。

「ココに入れるのか?」

 と、触った場所は、彼が入れたいだろう場所の後ろ側。思わずびくりと体が震えた。

「ち、違いますっ!」

 そんな不浄の場所に入れられてはたまらないと思い、わたくしはキリアンに対して声を荒げて否定したのであった。

 違うという言葉とわたくしの声の大きさにびっくりしたのか、キリアンの動きが止まった。

「……」

 羞恥と、未知の感覚のために身動き出来なかったのだが、彼の手と意識はすでにわたくしの秘めたかった場所とおしりに集中していたため、体勢を変えて彼に向き合うようにベッドの上に座る。

 きっと睨みつけると、彼は大きな体を縮こまらせた。いきなり怒り出したわたくしの剣幕にバツが悪そうに身じろぎをする。

  わたくしは様子のおかしな彼に、先ほどから抱えていた疑問をぶつける。

「あなた、わたくしを凌辱して傷物にすると仰ったけれど……。もしや、23歳にもなって……?」
「……悪いかよ…………」

 不貞腐れたかのように、でも、耳まで赤くなったキリアンはわたくしの視線から逃れるように右下を向いたのであった。
  殿方は、精通してから遅くとも15歳くらいまで閨についてなんらかの形で実地などの教育をされる。平民は、適齢期が14歳~17歳、貴族は16歳~20歳であり、結婚しなくても自ずと知るものであるはず。

  ところが、キリアンはそういった機会が全くないという。

「ちょっと、そんな何も知らない純情な少年のような姿を見せないでくださいませ。あなたはわたくしを浚い凌辱する悪漢なのでしょう? アイラ様に頼まれたのなら、最初から最後まで一貫した態度を取っていただけないと、わたくしはどうしたらよろしいのか、わからなくなってしまうではありませんか」

「……」

「男性が無垢な事は、決して恥じ入る事ではありません。ええ、女性を弄ぶようなマネをなさらず、ただひたすらに恋する女性を想うなんて。キリアン様のように逞しく素敵で一途な方はとても好感が持てます。わたくしとて知識や教育を受けているとはいえ実地経験はないのですから」

「逞しくて……す、素敵だと……?  好感、こうかん……、え? マジか?  本当に?」

  うつ向いていたキリアンの肩がピクリと揺れた。影になっている顔や耳を赤く染まらせながら。ブツブツ何かを呟いているけれどうまく聞き取れない。おそらくはアイラへの気持ちやわたくしに対する悪態でもついているのでしょう。


「立場上、小さな頃から攫われた事があります。その都度、護衛たちに守られてきましたが。今回は、サーシア様から二人きりでと手紙に書かれたため、護衛もつれていなかったので、救出されてはいませんけれども」

「なっ! 俺が人浚いとかと同じ悪い奴だって言うのかよ!」

「……。キリアン様? アイラ様を恋い慕い、彼女の可憐なお願いを叶えるため、正義ぶっておられるようですが、わたくしの立場からすると、十分以上に悪の組織の一員で悪辣ですわよ? 誤解と冤罪であるとは信じて頂けなさそうですけれども……。無罪の婦女子を、薬物で意識を断ち、監禁し、裸にして拘束の上、婦女暴行。これで悪い人物でなければなんだというのです?」

「そ、そんな……。俺は、ただ……、アイラが泣きながら、サーシアを愛してしまった。でもあんたが婚約者でいるから諦めるって。あんたにいじめられているのに身を引こうとしていたから……」

「まあ、では、アイラ様があなたに今回の犯行を示唆したわけではありませんのね?」

「いや、アイラの部屋の鍵付きの引き出しにある日記に、悪役令嬢であるあんたが傷物になればサーシアと結ばれると書かれてあった。だから、俺は……、そこに書かれていた計画通りに薬を用意して、そこに挟んであった手紙をあんたの家に送り……」

「ちょっとお待ちになって。少々確認したい事が……」

「なんだよ」

「アイラ様のその日記は、見せていただいたのですか? なら、アイラ様が示唆した事になりますけれど……。鍵つきの引き出しにある日記をどうしてあなたが知っているのです?」

「そりゃ、アイラの事は全て把握してるからな。あいつが学校にいったりサーシアとデートしている間に、部屋にあんたが悪さを仕込まないとも限らないから入って守っていた。引き出しの中も、全て把握するのは当然だろう?」

「まあ……」

 わたくしは、アイラに同情をした。わたくしも立場や、自分でいうのもなんですけれども、美しく、わたくしの私物やゴミを欲しがる相手はいっぱいいた。その人たちも貴族ですから、部下やメイド、下働きなどを買収したりしているのも時々露見して問題になった事も多い。

「アイラ様の、ストーカーをなさっていらっしゃったの? 幼馴染というのは嘘?」

「ストーカーとか、人聞きの悪い! 俺は、アイラのために守っているだけだ。俺たちは間違いなく幼馴染だぞ」

「あの……、アイラ様と会話をされたのは、最後はいつなのでしょう?」

「あ? そんなの、あいつが10で、俺が15の頃だな。それ以降は忙しすぎて会う事が激減したし、遠くから見守るだけで俺は十分だったからな」

 わたくしは、何とも言えない気持ちになり、先ほどまでの痴態と羞恥と怒りを忘れて、ジト目でキリアンを見つめ続けたのであった。



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