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俺の妖精はアイラだけ。なのに、目を閉じると思い浮かべるのが別の女だなんて。 ※

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文字数が長くなり、 分けようか悩みましたが、一話でこのお話をまとめたかったのでこのまま投稿させていただきます。







  俺は、先の戦で手柄をたてた騎士である男爵の父が、金回りのよい商家の娘である母を娶った歴史だけは古い家に産まれた。

  アイラの子爵家とは、母の実家である商家が懇意にしており、なにかと俺も幼少期に呼ばれて遊んでいた。


  引っ込み思案で恥ずかしがり屋で、天使のような彼女は皆から可愛がられ、女の子たちからやっかみを受けていた。
  苛められても涙を流して一人耐え、相手を許すような優しくて可憐なアイラ。

  俺たちは苛めた令嬢から彼女を守り続けた。


「ありがとう……」
「いや、大したことじゃないよ」


  彼女は、伯爵家の子息を見上げながら頬を染めて礼を言う。ちらりと俺たちにも視線を投げ掛けた。
  俺たちにもお礼を言いたいけれど、高位貴族の子息である彼の対面もあるから彼だけにしか言えないらしい。

  子爵や男爵、商家の男たちは、そんな風に気を配る事のできる彼女をずっと守ろうと誓いあった。


「これ、あの子からこの間のお礼に貰ったんだ。僕は甘いものアレルギーでね。あの時いた皆で分けて」

  彼女の、心のこもったクッキーは、真っ黒に焦げて苦くても旨い。

  代表して貰った彼は、侯爵家の三男だ。
  彼らのように建前を心得ている高位貴族の子達は、彼女の真意を汲んで、自分は口にすることなく俺たちに渡すのだった。

  彼をすっ飛ばしたり、俺たちと同列にしない奥ゆかしい配慮ある気持ちと、そこに隠された俺たちへの好意が伝わり心が温かくなった。

  そんなある日、母の伯父が取り引きで詐欺にあい大損をした。
  父は見捨てておけず爵位と屋敷を担保にアイラの家から金を借りた。
  
  伯父の商会は、わりと直ぐに持ち直したものの、借金がもうすぐ返せる時期に、銀行が期限がまだあるというのにも拘わらず返済を迫った。

  返済計画もしっかりしており事業も順調であることで返済目処がついたのに銀行は頑なに返済を迫った。

  いよいよ倒産かと言う時期にアイラの家が、代わりに借金を立て替えてくれた。商会はアイラの家が買い取り救済してくれた形となる。

  伯父は、アイラの家の厚意で名目は雇われの立場ではあるものの社長として引き続き留まる事が出来た。

  伯父の収入は平民並みに減ったが、仕事はこれまで通り責任ある立場に留められたらしく多忙なままだ。いや、それまでよりも忙しくて家にも帰れないほど。しょうがないと力なく伯父たちが肩を落としていた。


  気持ちは分かるが、アイラの家が救ってくれたのだから感謝すべきだろう。

  俺の家はというと、借金の時の契約通り爵位をアイラの家に渡し平民となった。

  幸い、父が騎士として立身しているため、それほど経済に困ることはなかったけれど、平民になった俺は、アイラと接点がなくなった。

  学園に入学し、卒業後騎士として職務についた。
  平民である俺は、騎士とはいえ一般人よりは給料がいいものの、母が心労で倒れてしまい、そのほとんどが薬代と雇った介護人に消えていった。

  休みの度にアイラの事が心配でこっそり様子を見に行っていた。

  やはり、女の子たちから苛められていたようだ。けれど、面子は変わっていたが男が周りにいて常に守られている彼女の姿にホッとした。

  そんな俺には、強制的に連れられて酒場に行く以外の楽しみはなく、必死に、出世の見込みのない騎士の訓練と仕事をこなした。

  アイラが学園に入ると、彼女の子爵家よりもセキュリティが甘い敷地に入り込み、様子をそれまで以上に見守る事ができた。

  校舎にはとても立ち入れない。休みの日に、アイラたちが授業中、寮に忍び込んでは彼女の近辺の安全を確認する。

  ふと、鍵付きの引き出しが開いてる事に気づく。チェーンレターなどをもらったりしてないかが気になった。
  そこには、ピンク色のアイラらしい日記があり、きっと、苛めの内容が詳細に書かれているにちがいない。

  日記には、身分違いのサーシスという男との逢瀬の様子や、切ない恋心が綴られていた。
  いかに彼と一緒にいたいか、そのために心砕いて計画し、見事相思相愛になったようだ。

  ずきりと胸が痛んだが、彼女が幸せになれるならいいとページをめくる。

  その中に、サーシスの婚約者である心醜い高位貴族の令嬢の名前があった。

  

 可哀想に。アイラは自分の恋とサーシスの気持ち。そして、婚約者への罪悪感で悲しみに満ち溢れていた。された苛めを、日時と会話、天気や時事まで書いており、詳細に知る事が出来た。

  卒業前に、サーシスがその令嬢と婚約破棄したいが、苛めくらいでは叶わない。彼女の恋はもうすぐ終わるだろう。

  後ろのページに、悪役令嬢と話をするため、呼び出す計画などが書かれてあった。
  おそらくは、サーシスとの未来を夢見て準備をしていただけのそのアイテム。

  俺は、願っていても動くことの出来ない優しいアイラの幸せな未来のため、その計画通りに動くことにした。



※※※※



  アイラが日記に挟んでいた、サーシスの家が使っている封書で悪役令嬢を呼び出した。

  指示通り、一人で待ち合わせ場所に来た令嬢の美しさに息を飲んだ。胸がドキドキ早鐘をうち、家が没落してから灰色だった世界に色がついたような気がした。そう、そんな気がしただけだ。気のせいだ。

  これから酷い事をするという事実があるため小さな罪悪感が芽生えたが、アイラのためだ。

  同じく、日記に挟まれていた粉薬を溶いてハンカチに染み込ませる。書かれていた通り、悪役令嬢はすぐに眠った。そして、アイラの日記に書かれていた隠れ家に連れ込んだ。
  監禁する部屋にあった重い足枷をしたあと制服を脱がせていく。
  なるべく肌を見ないようにしたが、全身の熱が上がり、時々肌が触れてしまい、下半身に血が集まった。

  ふとした時に視界に入った、細いが柔らかそうな白い肌と、形良いお椀がたの胸。先端の柔らかそうな桃色が見えてしまう。

  薄い下生えは黒くて、白い肌とのコントラストがとても淫らで色っぽい。

  なだらかに曲線を描く腰。

  目を閉じた顔すら美しく、ベッドにだらりと寝そべる姿を見てしまい、ごくりと喉を上下させた。

「ダメだ……。この女はアイラを傷つけたんだぞ!  彼女の日記通りに傷物にしなければ……!」

  意識のない婦女子に無体な事は出来ない。ぶんぶん首を振って、煩悩を追い払うように急いでトイレに駆け込んだ。

  立ち上がった俺の息子が、流れるほど先走りをこぼし、痛くて辛い。

「アイラ……、アイラ……。う、うぅっ!」

  アイラの名を呼び目を閉じて右手でしごき始めた。

  アイラではない、先ほど見た体や桃色、白の中にある黒、そして、ほんのり開いたふっくらした赤い唇が瞼の裏にうつり、 いつもよりも早く、白濁が宙を飛ぶ。勢いよく、多量に吐き出したそれは、壁にもついてしまった。

 数度、子種を吐き出し玉がすっからかんになった頃、彼女を閉じ込めた部屋に入って行った。





※※※※




 目が覚めたカトリーナと小一時間ほど話をして、思っていたような意地悪をする女には思えなくなっていた。



  
 ありがとうと、頬を赤らめて恥じらいながら俺への愛を伝えてくる目の前の美少女。

  いや、惑わされてはダメだ。いくらボンキュッボンで、肌が白くて決め細やかで。声もうっとりするほど美しく、吐息が甘い蜜のような、友達思いで情の深い俺の好みドンピシャの美女でも。



 カトリーナは、政略のために婚約した者に捨てられ、運命の出会いを果たし惚れた男──外ならぬこの俺に、これから酷い目に合う。こんな出会いじゃなければ俺だって……

  今しがた感じた心に蓋をして、アイラのために、俺を恋い慕うカティを敢えて酷く扱おうと四つん這いにする。

  綺麗な顔と瞳が隠れて残念だ。

  白くて柔らかい肌を撫でるとピクンと体がはねる。

「かわいいな……」

  おしりもつんとしていて、まるい肌が愛らしくて……

  

 いや、俺は彼女を傷物にしなければならない。



  目の前の柔らかい尻を叩いた。なるべく痛くしすぎないようにしたが、やはり痛かったのだろう。二度めで涙を流してしまった。泣いている彼女を見て、俺の胸のほうが痛くなる。

 今すぐ涙をぬぐい抱きしめたい。でも、ダメなんだ。君はアイラを傷つけた。許すわけにはいかない。

  いよいよ俺の肉棒を埋めるための穴に指を添えた時、カティが違うと言い怒り出した。



  俺に経験がない事を知られてしまった……




  よりにもよって一番知られたくない彼女に知られてしまい、恥ずかしさに居たたまれなくなる。愛する男の情けない姿に幻滅していないだろうか。

  そりゃあ、間違った所に挿れようとしたんだ。怒るのも無理はないが心が沈み、俺の象徴も力なくしぼんで下を向く。

  ところが、彼女から、素敵な人だと、俺への熱い愛を改めて告白された時はびっくりした。俺の恥ずべき経験のなさを笑いもせず、潤んだ瞳で俺を真っ直ぐに見て来るなんて。


 優しい女神のような俺のカティ。


 もっと早くに会いたかった。もしも俺が貴族だった頃に会っていたのなら彼女の想いを受け止めて……。

  いや、今更言ってもしょうがない、しょうがないんだっ……! 今の俺は平民だ。いくら恋い慕われても大貴族の令嬢である君と結ばれる事はない……








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