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にじくす まさしよ

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年下の婚約者は、わたくしにベタぼれのようです

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「ディリィちゃ~ん。なまクリームとイチゴのはいったシュークリーム、おいしいね~」
「うん。おいしいね~。フィーノくん、おくちにクリームがついてるよ。ほら、こっちむいて」

  わたくしは、顔にいっぱいカスタードと生クリームをつけた、天使のように愛らしい幼児の頬を、侍女が渡してくれたレースのハンカチで優しく拭き取った。わたくしも、もみじのようなふくふくした手を持つ幼児だけど。

  真夏日の炎天下のプライベートビーチで、ワンピースタイプのフリルいっぱいの水着を着ている。幼児の方は、フリルが少ない。彼は、ぽっこり出たお腹を恥ずかしげもなく晒している。わたくしは、ぽっこり幼児体型がちょっと恥ずかしい。

  外気温は38度を越えている。前世なら、うだるような熱気で汗まみれになりぐったりするだろう。

  だが、彼の家のプライベートビーチであるここは、魔法でやけつく日差しを絶妙なバランスでカットし、クーラーのようなやや冷たい風が程よく流れているので快適だ。勿論、安全性もバッチリ。オートで溺れない海流や波が発生するのだ。

  頬についたクリームのべたつきが取れても、甘えたの彼は、わたくしにもっと拭いてとおねだりする。

  目を閉じて、口をとんがらせている小鳥のような彼は、身もだえするほど可愛い。わたくしの顔面は、にやついていて崩壊しているだろう。にまにましながら、ついてもいないクリームを拭くふりを続けた。

  そんなわたくしたちを、周囲の侍女や侍従が微笑ましく見守っている。

  実は、精神年齢的には、わたくしは、前世の20歳を足して24歳になる。

  わたくしには、地球という星の日本という国で過ごした記憶がある。
  現世で生を受けた時から少しずつ思い出したから、ラノベのようにぶっ倒れたりした事はない。この世界で生きるためのあれこれや価値観も、自然に身に付いていっている。

  現世では4歳になったわたくしにとって、右隣にいるイケメン間違いなしの幼児は子供のようなものだ。いや、前世では子供どころか、恋人すら出来なかったから、甥姪くらいか。

  あの子達とは比べ物にならないほど、目の前の幼児は人間離れした輝きを放っている。

  実際、人間じゃなくて獣人なんだけど。彼だけでなく、わたくしも愛らしい容姿だし、周囲の大人たちも投げ売り状態なほど美男美女揃い。そういう種族だから、彼の愛らしさは当然と言えば当然なのだが、王族の血が流れているからか美しさが群を抜いているのだ。

  日本で暮らしていた前世で、ジムのお子様向け水泳教室のインストラクターの経験をしていたため、子供の扱いは慣れていた。

  少々面倒くさいマナーの勉強などがあるものの、懸命に働いても薄給なんて人生とはおさらばなお金持ちの家に産まれた。
  更に、絶世の美男子に成長する事が確定で、性格も何もかも愛らしく極上の婚約者がもれなくついているなんて、この人生、勝ち組間違いなしだと思っていた。

  ショタ趣味ではないので、彼の事は、まだ弟みたいにかわいいだけだ。
  だけど、大きくなったら、もっと好きになって、前世で出来なかった恋人たちの甘~いあれこれが出来るに違いない。

  両手を握りしめ、天に向かってガッツポーズを何度もしたものだ。

「フィーノくん、きれいになりましたよ~」

「えへへ、ディリィちゃんありがとー。だーいすき」

「ふふふ、わたくしもすきー」

  ディリィ4歳、フィーノ3歳。

  ハッピーエンドにチェックメイト状態のきらきら輝くような祝福された今世。

  幸せを噛み締めながら、今日も仲良く一日中遊んだのだった。




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