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にじくす まさしよ

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ふたりで作る、心の形 ※ ハートゥン(ハーティ)視点 完結

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 蜜月の時、ヤりすぎてぐったりしてしまったディリィを見て、しまったと思うと同時に、普段はしっかりものの彼女が、俺にしか見せないしどけなくて頼りない様子で、そこに在ると思ったら止まらなかった。
 
 加減しようとはしたが、まさか彼女に理性をハンマーでたたき壊されるとは思わなかった。
  あんな、俺を弄ぶような悪女と初々しい恋人が混じり合った事を言われるまでもなく、彼女に触れた途端加減なんて余裕を失った。
  自分でもところどころ記憶がないほどの待ち続けた夢のようなひと時。

 明け方になるころ、やっと俺の中心も心も落ち着きを少し取り戻せた。
 心地よい気だるさと、若干の肌の気持ち悪さがあるものの、まだまだ彼女の中に入りたい気持ちを抑えた。

「ディリィ、ごめん」

 彼女のあまりのぐったり具合を見て、このままでは死んでしまうかもしれないと心底恐ろしくなった。
 すぐに回復魔法で、肉体の疲労やダメージを治療すると、すやすや気持ち良さそうに眠り出し、健康そうな肌の色や顔貌に戻ってホッとする。

 朝になって目が覚めた彼女のまだ色っぽくて気だるそうな姿を見たら、また俺の中の何かがプツンと切れた。

 俺だけに縋り付いて、耳まで真っ赤になる彼女が食べてしまいたいほど可愛すぎる。

 回復魔法を過剰に施しすぎても体に負担はある。栄養剤を飲み過ぎて、逆に体が拒否反応を起こすみたいなものだ。
  慎重に魔法をかけても、ややくったりしている彼女が、俺に安心しきってその身を預けてくれている。

 そこまで俺に甘えてくれる姿を見せるのは初めてだ。絶対に守ってやりたいし、俺が全部、何もかもしてあげたくなった。

 少しだけ、彼女が元気いっぱいにならないほどの回復魔法を眠っている間にかけてはいた。
  完全に回復させるのが惜しい気がして、俺に甘えっぱなしの状況にした俺の邪な考えは、一週間後に彼女にバレた。

「ハーティ、どういう事かしら?」

「あ、いや……その。回復魔法はかけていた。だけど、加減が難しい魔法なんだ。眠っている君に過剰にかけるのも良くないし……それに」

「それに?」

 ディリィは隠し事をされるのを嫌う。とくに自分に実害があるものならなおさら。
  フィーノだって、あれほど長年ずっと一緒にいたのに婚約解消に踏み切るほど頑なに意思を変えなかった。

「普段はしっかりもので、どちらかというと、俺の世話を焼いてくれるディリィを、俺が世話したかったんだ……」

「……」

最低、あなたなんて出て行って! 

  と言われるかと思い、嫌な汗が流れる。まるで刑の執行を待っている罪人のような気分だ。

 彼女の言葉を覚悟して俯いていると、クスクスという、愛しい人の笑い声が聞こえた。闇の底に落ち込んでいた気分が、許してくれたと確信した瞬間浮上する。

「もう、バカね。うーん、ちょっと理解できなくもない、かも。庇護欲をそそられるってやつかな? わたくしも、もしもハーティがぐったりしていたら全力でお世話をするもの。他の人になんて任せないし」

「ディリィ……ごめん……もうしない」

「うん。そんなに怒ってないわ。ふふふ、わたくしも甘えさせてくれて、大事にされてるって思うと嬉しかったし。だから、そんな風にしょんぼりしないで。ねぇ……」

「え?」

「ね、ハーティ。疲れてなくても、もっともっと甘えさせてくれる?」

「勿論」

 それ以来、俺たちはお互いに甘え切り、蕩けるような日々を送った。


 やっと迎えた結婚式には、フィーノ夫妻も快く来てくれて祝福してくれた。先日赤ちゃんが生まれてからあいつも奥さんと子供にデレデレしているようだ。お互いに今は他の異性とは遊んでいないらしいが、あいつらはそのうち交流を再開するだろうとは思う。

 隣国で知り合った回復魔法の使い手たちが、俺たちの結婚式に一堂に会する事もあり、数の少ない貴重な彼らに何かあっては大変だと、国が彼らを招待する形になったのはびっくりした。
  それほど、回復魔法の使い手は、その存在だけで保護されるべきなのだ。

 元気になった王子や、我が国の王太子まで参列する事になり、伯爵家で王室御用達の大聖堂で式を挙げる事になったのは俺たちだけでなく周囲を驚かせた。

 隣国もだったが、わが国の王族も威厳はあるが民や臣下の対して慈愛に満ちている。
  異端ではあるが、お互いだけだと誓約魔法を施した俺たちの事も臣下として大切にしてくれているのがわかった。王家の後押しがある事が周囲に知れわたり、俺たちに追い風を運んでくれた。
 フィーノにはああいったが、まだまだ俺たちのような考えは少ない。多少の不快な視線や言葉を覚悟していたものの、快く受け入れられるようになっていった。





「ぴゅいー」

「ぴゅいぴゅい」

「ぴゅぅぴゅぅ」

 俺たちは産まれた子供たちを連れて海を泳いでいる。子供たちを守るように泳ぎつつ、魔獣などでないこの場所で、時にディリィと口の先としっぽをくっつけ合う。

 子供たちもはしゃいで、俺たちにキスをせがむから、ふたりで左右の頬にキスをした。


 本性でお互いに向き合いキスをすると、ディリィは♡の形みたいで、自分たちにぴったりだと嬉しそうに笑う。

「ぴゅ」

「ぴぃ」

 今日は、フィーノの所の子も一緒に遊んでいて、俺の娘にくっつくあいつの息子の姿にイライラする。
  かわいいうちの娘は誰にもやるつもりはない。

「ぴゅいぴゅい」

 ディリィが、仲がいいわねと微笑ましいものを見るように、俺の隣でゆっくり泳ぎながら子供たちを見守っている。

 ディリィは、子供の相手に関しては、小さいうちからは決めずにいようと言った。俺もそれは大賛成だ。
 うちの子たちが、どんな子に育つかわからないし、決められた婚約者を持つ人を愛してしまう苦しみは、誰よりも俺が知っているから。

 じりじりと焼け付くような真夏の太陽が、俺たちを照らす。俺たちの動きで海水がしぶきをあげ、水滴が舞い踊った。

 子供たちにおねだりされて、大きくジャンプしたディリィの薄桃色の体をキラキラ輝かせる。

 俺は、婿入りした自分の一生の住処で、とても大切にされている。俺も、愛しい家族をずっと幸せにしたい。

「ぴゅい」

 ディリィと子供たちに、もっと高くジャンプして欲しいと言われたら応えるのが当然だろう。

 眩しい太陽に向かい、俺は力いっぱい空高く跳んだのであった。





R18的な求人~急募! わたくしとだけ子作りしてくれるお婿さん! アットホームな職場です。待遇その他、応相談。 ──完






 

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