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11 ※R要素の続き
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タッセルに抱えられて脱衣所に向かう。体を拭くために、一旦降ろされた。ちらっと彼を見ると、腰に当てていたタオルは落ちたままなので、当然のことながら全裸だ。
足の付根には、自分にはないものがぶら下がっている。すぐに手で顔を隠すが、気になって指に小さな隙間をつくってこっそり見てしまった。初めて見る(実際は初めてじゃないらしいけれども)彼の象徴の大きさと、見慣れない存在そのものにドキドキした。
「カティちゃん、シャツがずぶ濡れだね。拭いてあげるから、脱いで」
「あ、オカマイナク。ジブンでフキマス」
側にあったバスタオルを手に持つ。そのバスタオルを取ろうとされたが、渡さなかった。
「んしょ……」
濡れてしまったシャツが、肌にはりついていて脱ぎづらい。なんとか脱ぐと、どぼどぼと水が滴り落ちた。水着もずぶ濡れだが、彼の側では脱ぐのは恥ずかしすぎたため、着たままどうしようか悩んでいると、あっという間に服を着た彼が、にこにこ服を差し出してきた。
「カティちゃん、僕外で待ってようか?」
記憶を失う前は、全てを見せ合っていたようなので、彼がこう言ってくれるとは思わなかった。
(ターモくん、私の着替えのために配慮してくれるんだ。やっぱり、優しいなぁ)
当然のように着替えさせられるかもと身構えていたのだが、肩の力が抜ける。少し残念なような気もしたが、彼が外に出ている間に服を着た。
「お待たせ」
ドアを開くと、少し離れたところに彼はいた。湯上りの体は、まだまだ温かいようで、肌が桃色に染まっていて色気があると思う。
「カティちゃん、髪の毛が乾いてないじゃないか。すんごく色っぽくて素敵だけど、風邪ひくよ。早く部屋に戻ろう」
「うん」
あっという間に横抱きにされた。侍女たちが言うには、以前の彼は、ここまで力も体力もなかったらしくて、私を抱えるとぷるぷる震えていたらしい。
今は、一年前とは比べものにならないほど力強くてがっしりしている。安定している彼の腕の中は、とても安心できる場所になった。
「重いから降りるわ」
「軽いよー。カミングアウトするとね、前はさ、大きいのは肉だったし、完全に見かけだけでひ弱だったんだ。今ほど力がなかったからやせ我慢で抱っこしていたんだよね。僕、鍛えて良かったと思う。体調もものすごく良くなったんだよ」
「ふふふ、ターモくんが嫌々訓練してなくて良かったわ。かなり苦しそうだったけど。体にとっても良い結果なら、私と一緒に長生きしてね」
「うん、そうする」
幸せそうに微笑む彼に、ちゅっとキスをされる。彼よりも幸せなのは自分のほうだとキスを返した。
部屋に戻る途中、すれ違う人たちからびっくりして二度見された。我ながら、ここまで彼と甘い雰囲気になったのは初めてだ。しかも、全員母からそれとなく知らされているのだろう。そそくさと立ち去っていく。
「わぁ……」
一体、いつの間に準備したのだろうか。もしかして、陰で見られていたかと思えるほど、部屋の中は普段とは違っていた。
「ベッドに花びら? カティちゃん、最近は花びらをまいて寝るのが、女の子たちの間で流行っているの?」
「……流行ってない、と思う」
花びらだけでは絶対にありえない、甘い香りが部屋にほのかに漂っている。ベッドに散りばめられているのは、バラだけでなく、イランイランなどの花もあった。恐らく、媚薬効果があるとされる花の香りを仕込んだに違いない。
(お母様ー。孫の催促が最近あまりないと思ったら、実力行使に出たのね?)
「ははは、ちょーっと、お花の香りが強いかしらー。換気する?」
「気にならないよ。甘くていい香り……。風呂上りだからかな……」
すんすんと、部屋に漂う花ではなく、カーテの首筋の香りをかぐ。鼻息と熱い吐息がかかりくすぐったい。紛らわせるために、もじもじ足をこする合わせた。
「カティちゃん、僕、なんだか、ちょっとあつくなってきた……」
「はえぇ? そんな、速攻で効くとか! ターモくん、ちょっと新鮮な空気を吸おう!」
「空気よりも、カティちゃんを吸いたい」
せっかく静まった桃色の雰囲気や、体の変化が色づいたようだ。オイルや香水に慣れている自分とは違い、彼は、こういう香りには弱いのだろう。
ぎゅうっと抱きしめられて、キスをされた。完全に媚薬にやられてしまっているようだ。
さっきよりは太陽は沈みかかっている。だが、まだまだ明るい。
「た、ターモくん。御飯がまだ、だから。ね?」
「ごはん……?」
タッセルは、なんだかんだで食べることが大好きなのだ。トレーニングしていても、たくさん食べていたし、空腹の時には、若干気分が下がっている。そんな彼は、ごはんというワードに反応した。
「うん。おいしそうなごはん……」
「そう、ご、ひゃぁんっ!」
彼は、いただきまーすと小声で言ったと同時に、カーテの首筋をぱくっと食べた。軽く歯を当ててはむはむしている。
「美味しい……もっと」
「お、美味しくないと、おもうんだけぇ、どっ!」
媚薬のせいで、彼は錯乱状態になっているのかもしれない。ちゅうっと首筋を吸い付かれてチクリと肌が痛む。なんとか正気に戻したいとばたばた手足を動かすが、効果は全くなかった。
(うう、彼が正気じゃないときにハジメテだなんて……。こんなことなら、さっき露天風呂でいたしちゃったほうがよかったー)
「はぁ、カティちゃん。僕、あつい……」
「ターモくん……。落ち着いてぇ……って言ってもこうなっちゃったら、もう無理かな……」
さっきよりも、彼の吐息が熱い。しゅんとしていたはずの、彼のカレも元気に立ち上がっていた。普段は優しい声がとても苦しそうで、少しでも楽になって欲しくなる。
「あついんだ……」
「うん、ターモくん。私も熱い、よ」
本当なら、とっくに結ばれていた人だ。媚薬によって苦しそうにしている彼の唇を覆うようにキスを返した。
足の付根には、自分にはないものがぶら下がっている。すぐに手で顔を隠すが、気になって指に小さな隙間をつくってこっそり見てしまった。初めて見る(実際は初めてじゃないらしいけれども)彼の象徴の大きさと、見慣れない存在そのものにドキドキした。
「カティちゃん、シャツがずぶ濡れだね。拭いてあげるから、脱いで」
「あ、オカマイナク。ジブンでフキマス」
側にあったバスタオルを手に持つ。そのバスタオルを取ろうとされたが、渡さなかった。
「んしょ……」
濡れてしまったシャツが、肌にはりついていて脱ぎづらい。なんとか脱ぐと、どぼどぼと水が滴り落ちた。水着もずぶ濡れだが、彼の側では脱ぐのは恥ずかしすぎたため、着たままどうしようか悩んでいると、あっという間に服を着た彼が、にこにこ服を差し出してきた。
「カティちゃん、僕外で待ってようか?」
記憶を失う前は、全てを見せ合っていたようなので、彼がこう言ってくれるとは思わなかった。
(ターモくん、私の着替えのために配慮してくれるんだ。やっぱり、優しいなぁ)
当然のように着替えさせられるかもと身構えていたのだが、肩の力が抜ける。少し残念なような気もしたが、彼が外に出ている間に服を着た。
「お待たせ」
ドアを開くと、少し離れたところに彼はいた。湯上りの体は、まだまだ温かいようで、肌が桃色に染まっていて色気があると思う。
「カティちゃん、髪の毛が乾いてないじゃないか。すんごく色っぽくて素敵だけど、風邪ひくよ。早く部屋に戻ろう」
「うん」
あっという間に横抱きにされた。侍女たちが言うには、以前の彼は、ここまで力も体力もなかったらしくて、私を抱えるとぷるぷる震えていたらしい。
今は、一年前とは比べものにならないほど力強くてがっしりしている。安定している彼の腕の中は、とても安心できる場所になった。
「重いから降りるわ」
「軽いよー。カミングアウトするとね、前はさ、大きいのは肉だったし、完全に見かけだけでひ弱だったんだ。今ほど力がなかったからやせ我慢で抱っこしていたんだよね。僕、鍛えて良かったと思う。体調もものすごく良くなったんだよ」
「ふふふ、ターモくんが嫌々訓練してなくて良かったわ。かなり苦しそうだったけど。体にとっても良い結果なら、私と一緒に長生きしてね」
「うん、そうする」
幸せそうに微笑む彼に、ちゅっとキスをされる。彼よりも幸せなのは自分のほうだとキスを返した。
部屋に戻る途中、すれ違う人たちからびっくりして二度見された。我ながら、ここまで彼と甘い雰囲気になったのは初めてだ。しかも、全員母からそれとなく知らされているのだろう。そそくさと立ち去っていく。
「わぁ……」
一体、いつの間に準備したのだろうか。もしかして、陰で見られていたかと思えるほど、部屋の中は普段とは違っていた。
「ベッドに花びら? カティちゃん、最近は花びらをまいて寝るのが、女の子たちの間で流行っているの?」
「……流行ってない、と思う」
花びらだけでは絶対にありえない、甘い香りが部屋にほのかに漂っている。ベッドに散りばめられているのは、バラだけでなく、イランイランなどの花もあった。恐らく、媚薬効果があるとされる花の香りを仕込んだに違いない。
(お母様ー。孫の催促が最近あまりないと思ったら、実力行使に出たのね?)
「ははは、ちょーっと、お花の香りが強いかしらー。換気する?」
「気にならないよ。甘くていい香り……。風呂上りだからかな……」
すんすんと、部屋に漂う花ではなく、カーテの首筋の香りをかぐ。鼻息と熱い吐息がかかりくすぐったい。紛らわせるために、もじもじ足をこする合わせた。
「カティちゃん、僕、なんだか、ちょっとあつくなってきた……」
「はえぇ? そんな、速攻で効くとか! ターモくん、ちょっと新鮮な空気を吸おう!」
「空気よりも、カティちゃんを吸いたい」
せっかく静まった桃色の雰囲気や、体の変化が色づいたようだ。オイルや香水に慣れている自分とは違い、彼は、こういう香りには弱いのだろう。
ぎゅうっと抱きしめられて、キスをされた。完全に媚薬にやられてしまっているようだ。
さっきよりは太陽は沈みかかっている。だが、まだまだ明るい。
「た、ターモくん。御飯がまだ、だから。ね?」
「ごはん……?」
タッセルは、なんだかんだで食べることが大好きなのだ。トレーニングしていても、たくさん食べていたし、空腹の時には、若干気分が下がっている。そんな彼は、ごはんというワードに反応した。
「うん。おいしそうなごはん……」
「そう、ご、ひゃぁんっ!」
彼は、いただきまーすと小声で言ったと同時に、カーテの首筋をぱくっと食べた。軽く歯を当ててはむはむしている。
「美味しい……もっと」
「お、美味しくないと、おもうんだけぇ、どっ!」
媚薬のせいで、彼は錯乱状態になっているのかもしれない。ちゅうっと首筋を吸い付かれてチクリと肌が痛む。なんとか正気に戻したいとばたばた手足を動かすが、効果は全くなかった。
(うう、彼が正気じゃないときにハジメテだなんて……。こんなことなら、さっき露天風呂でいたしちゃったほうがよかったー)
「はぁ、カティちゃん。僕、あつい……」
「ターモくん……。落ち着いてぇ……って言ってもこうなっちゃったら、もう無理かな……」
さっきよりも、彼の吐息が熱い。しゅんとしていたはずの、彼のカレも元気に立ち上がっていた。普段は優しい声がとても苦しそうで、少しでも楽になって欲しくなる。
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