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 媚薬のオーバードーズという反則技のような今の状況は悔しい。一年ほど心労をかけた両親の気持ちはわからなくもないけれど、こんなことをしなくても彼と離れる気はなかった。

(明日、お母様たちには文句を言おう。でも、今は……)

「はぁ、は、は……カティちゃ……」
「ん、ちゅ…………」

 どろどろになった唇がくらいついてくる。所かまわずあつい舌が伸びてきて、それを受け入れた。ぽたぽたと落ちてくる汗まじりの唾液が容赦なく入ってくる。溺れそうなほどのそれを飲み込むことすらままならず、必死にキスに応えた。

 びりっと胸の先が痛む。さっきとは違い、余裕を失った彼が力強くつまんできたせいだ。

「いたっ」
「カティちゃ、ごめ……!」
「やめないで。ね? ただ、さっきのこともあるから、ちょっとひりひりするだけだから」

 ぱっと指を離されたが、自らの手でその指を胸に戻す。すると、がしっと胸を掴まれたが、先端を触る指の力が抜けて、痛みを感じなくなった。

 すでに、せっかく着た服は乱れに乱れて、布がまとわりついているだけのようなものだ。あれほど蕩けきった唇は、いつの間にか胸に移動していて舌で、まるで甘いさくらんぼを食べているように弄ばれている。

「ん、ん……ああっ!」

 彼が言った通り、胸の刺激だけでも十分すぎるほど体が反応している。逃れたくても逃れられなくて、やめて欲しいのにやめて欲しくなくて、彼の指と唇が作るという体を持て余した。
 もう少しで、さっきのような強い刺激の波が襲い掛かろうとしたとき、ふと彼の唇が離れた。

「え?」

 唐突に寂しく、寒くなった先端は、彼を求めるように赤く腫れあがりとがり切っている。どうしてやめてしまうのかと、体と心が切なくなり彼を見上げた。

「カティちゃん」

 すると、カーテの望みを叶えるために彼の顔が降りてくる。だが、その着地点が違った。足を大きく広げられ、付け根にある薄い茂みの向こう側にある恥核を吸われた。

「あああっ!」

 今の自分にとって、初めての感覚にわけがわからなくなる。とんでもない恥ずかしさよりも、彼に溺れそうになるのを必死に堪えた。

 ただでさえあり得ない程の気持ちなのに、耳からいやらしい音まで入ってきて、タッセル以外の何も考える事すらできない。

「あ、ああっ! あんっ!」

 舌ではじかれる度に、体が跳ねて声があがる。吸い付かれると背中が沿った。足がぴんと伸びてお風呂の時以上に硬直した。
 それなのに、タッセルはそこを舐るのをやめてくれなかった。連続で与えられる感覚に、上下すらわからなくなって、気が付けば抱きしめられていた。

「カティちゃん、大丈夫?」
「ん……ターモくん、だいじょぶ、よ? それよりも、ターモくんがまた辛そうで……」
「……なんてかわいいことを言うんだ」

 ちゅっちゅとキスの雨が降る。いつもの優しいそれらに、幸せで満足だが、どことなく気だるく空虚になりかかっていた心がぽかぽかした。

「カティちゃん、もうちょっとつきあって」
「うん」

 体を起こした彼が、足をもたれる。肩にかけられ、足の付け根に彼の猛茎があてがわれた。少し怖くて緊張する。だが、どろどろにぬかるんで脱力しきったそこが、彼の先端を易々と侵入させた。

「うあ……あついな」
「ん……」

 痛いと聞いていたが、思ったほどではない。じんじんと麻痺したような感じで、痛いというよりも、大きくて太い牡竿のせいで苦しい気がする。

「痛い? ごめんね」
「ううん、痛くないわ。私の全部はターモくんのものだから、好きに動いて」
「そんなことを言ったら、本当に乱暴にしちゃうよ?」
「私ね、ターモくんになら、壊されてもいいの」
「……絶対に壊さないよ」
「うん、知ってるわ」

 少しずつ、腰を引いては入ってくる。それに伴って、苦しさが増す。だが、苦しそうな彼の表情を見ると、このくらいなんでもないと思えた。

 ついに、彼の下半身が全部入ったかと思うと、タッセルの体がぶるりと震えた。

「うあ……、……っ」
「ターモくん?」

 どうしたのと聞く間もなく、彼が泣きそうな顔をしたのが見えた。彼の様子がおかしい。なんとなくだが、中に入っているはずの彼の牡竿の存在感も小さくなっている。

 もしかして、男性も痛いのかと心配になった。

「大丈夫?」
「あー、だいじょうぶだけど、だいじょばない……ごめん」
「?」

 彼に任せておけばいいと言われたものの、やっぱりまかせっきりではいけないと、結合したまま少しかがんだ彼を抱きしめて背中を撫でた。

「ターモくん、私はもういいから、無理しないで? ね?」

 辛かったら、早く外に出してと囁く。すると、中がぐんっと圧迫された。

「ああっ!」

 急な刺激で声が漏れる。そして、タッセルが腰を引き始めた。

 今日はもう終わりなのかと、ほっとしたような残念なような複雑な思いもあったが、彼の体調のが最優先だろう。媚薬の効果のほうは、ほとんどなくなっているようだし、そのまま抜かれるのを待った。

「カティちゃん、次はもうちょっと頑張るから!」
「あ、え? ああんっ!」

 終わりかと思った矢先、タッセルが腰を打ち付けてきた。ぱちんぱちんと、ゆっくり肌がぶつかる音がする。ぶつかった時よりも、入れたり出したりされたほうが、お腹の奥がぞくぞくした。

「ああ、カティちゃん。好きだ。大好きだ」

 腰の動きに合わせて体が揺れる。頭もふられて、どこかに行ってしまいそうなほど翻弄された。
 
 彼にすがりつくように手を回すと、汗ばんだ背中に爪が食い込む。ばちんとひときわ大きく肌を打つ音がすると、腰がとまった。ぐりぐり押し付けられ、変な大きい声があがる。きゅうきゅう力が入って、ふくらんでびくびくしている彼のを締め付けるのがわかった。
 しばらく抱きしめ合っていると、彼がキスをして囁く。どうやら、まだ続くようだ。

「はぁ、はぁ……カティちゃん。もう一回、いい?」
「ターモくん……。何回でもいいわよ? 大好き」

 それから、体勢を変えながら彼につきあった。

 体力があがった彼に付き合うには、自分も鍛えなくてはと、薄れゆく意識の中で思ったのは、数えることもできないほどの何度目かののあとであった。




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