【完結】パンでパンでポン!!〜付喪神と作る美味しいパンたち〜

櫛田こころ

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第37話 シナモンロール仕上げ①

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 ぎゅっ、ぎゅっと押して……大きくなったのを、たたんで。

 また押して……たたんで。

 何回か、あたしが時間短縮クイックをやって。

 出来上がったのは……黄色くて大きい生地!

 美濃みのさんにお願いして……何回か押すのはやってみたけど、子どものあたしじゃ動かなかったわ。大人になると、女の人でも力があるんだ。美濃さんは、つくもがみさまだけど。


『さて、よく伸びたこの生地にじゃが』


 ここで、美濃さんはおじいちゃんを呼んだ。おじいちゃんも出来ていたのか……ボウルを持ってきたわ。


「おう。ちょうど出来上がったぜ」


 中を見せてもらったんだけど……普通のクリームじゃなかったわ。

 つぶつぶしてて……黄色いけど、クリームパンのとは違うと思うの。

 これ……おいしいの?

 おとうさんのシナモンロールを思い出してみたけど……ずっと前に食べただけだから、あんまり覚えていないや。


『ここに、シナモンじゃ』


 ぽんっと、美濃さんがガラスのビンを出して……茶色い粉をクリームに入れていく。

 背伸びして見てみたら、クリームがコーヒー牛乳のようになっていくわ!!


「……おいしいの?」

『これの味は焼くことで、美味だと言うことがわかる』

「このままは?」

『シナモンを混ぜる混ぜない関係せず……あまり美味ではない』


 で、美濃さんは……ボウルのクリームを全部、のばした生地にダバってのせた! それから、あたしにおいでと呼んでくれたの。


「なーに?」

桜乃さくののパンじゃ。仕上げを頼みたい』

「……どうするの?」

『ケーキのクリームを塗るように、このあんベラで均一に広げて欲しいのじゃ』


 お手本を見せてもらってから、あたしはクリームを広げていく! ちょっと変な感じだけど……お絵かきみたいで楽しいわ!!


「わぁ!!」

『うむ。上の端は塗らんでおくれ? 巻く時にあふれてしまう』

「はーい!」


 しっかり広げたら、美濃さんがくるくる巻いて……棒のようにしちゃった。

 これにも時間短縮クイックをかけて。

 ひんやりしたら、次にどうするんだろう?

 このまま焼いちゃうの??


「型いるか?」

『うむ。頼む』

「かた?」

『このまま焼くとふくらむだけでなく……せっかくのクリームで大変なことになる。冷やして、切ったものを型に入れて焼くのじゃ』

「ふーん?」


 で、おじいちゃんが探してきたのは。

 ぼこぼこした……ピンクの入れ物だった。


「こん中に入れて焼くんだ」

「……ちっちゃい?」


 ぼこぼこしたのに入れて焼いたら……そっちの方が大変だと思ったけど。美濃さんとおじいちゃんが言うなら、信じよう!
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