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第42話 想いは日に日に(リデル視点)
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レティのスキルもだが、人柄を知るごとに日に日に想いが芽吹いては募っていく。やはり俺は、レティのことが好きなのだろう。
愛とかどうとか。それはイリスの一族として、次代への繋ぎを残すものに付属するものだと思っていた。イリスの血族に連なる令嬢から適当に選べばいいと、穢れを受け継ぐ者として諦めた感情しかないでいた。
レティと出会うまでは。
転げて出てきた俺の穢れを見て、惜しみもなくスキルを使い。あの時は地面に埋めていたが、穢れを厭わない豪胆な女性だと思ったのだ。俺には意外性が多くて、まぶしく映るくらい。
そんなレティ自身が抱えていた穢れを自分自身で洗い落としたことで、もとから愛らしいと思っていたのが『美しい』と俺が思うくらいに変貌した自覚がないときている。
今も、練習にと自分でホットドックを作る様子がおぼつかないのも愛らしく見えてしまう。契約としては正式に婚約した形にはなっているが、この温かな隣をほかの男にやるつもりなど、毛頭ない。
小柄なので、小動物がちまちま動くようにも見えてしまうが、なにをして愛らしく俺の目に映ってしまうという時点で……もう確定だ。俺はレティを完全にひとりの愛おしい者だと手元に置きたいことが。
好き以上に、愛おしい。まだ、愛していると告げるには幼い感情だが。イリスの血族かもしれないレティと生涯をともにするのなら、これからの旅路は何ら苦でもなんでもない。
ひとりで味気ない食事をし、各地の虹の染めをこなしていたが。
神殿でだけで、あの反応を見せてくれたんだ。ふたりであれば、もっと違う見方が出来るだろうし、楽しいのかもしれない。
一時期、ライオスとも旅はしたことはあるが、男同士だし気兼ねないし、なによりも兄弟だからと遠慮はなかった。それも気を紛らわすものではあったが、今思うと味気なかったかもしれない。
それなのに、今城で野営の練習をしているだけでも楽しかった。
出来あがったパエリアを見て、色々食べてこなかったレティの表情が輝くのを見ているだけでも面白い。
「まあ……まあ! 赤いコメですわ!!」
「香辛料によっては黄色いのもあるが。今日は食べやすさを意識してもらおうとトマトにしたんだ」
「トマト……サラダにあるあれですの?」
「煮込み料理にもいいんだ。スープにしても美味い」
「リデル様は何でもご存じですのね?」
「そうでもないが。……ほら、食べてくれ」
「はい!」
器とスプーンを渡せば、熱いと言いながらも素直に食べてくれるのが嬉しい。味が気に入ったのか、顔がどんどんほころんでいく。この顔を見たかったんだ、と作るたびに毎回思ってしまう俺は贅沢者だろううか。
レティは俺を嫌ってはいないのはわかっている。だが、俺が向ける好意とは違い……あの国から連れ出したことへの『感謝』と『尊敬』が強くて好意的に思っているのが強く感じ取れた。
王太子のリデルとして見ているところもあるし、王族への敬意もきちんとしているが。出来れば、俺としてはまず『ただのリデル』として見てほしいのが本音だ。地位のある存在よりも、単純に男として接してほしい。
まだその差がわからないレティなのか、自分のパエリアの皿を空にしてもいつも通りだった。
「美味かったか?」
「はい! おかゆとも違う食べ方は初めてですわ!! もう少し」
「食べたい?」
「……お願いしても、いいですの?」
「もちろんだ」
俺も多少腹は減ったから一緒に食べたが。本当の野営ではないのに、なぜかいつもより美味く仕上がったと自画自賛したくなった。
愛とかどうとか。それはイリスの一族として、次代への繋ぎを残すものに付属するものだと思っていた。イリスの血族に連なる令嬢から適当に選べばいいと、穢れを受け継ぐ者として諦めた感情しかないでいた。
レティと出会うまでは。
転げて出てきた俺の穢れを見て、惜しみもなくスキルを使い。あの時は地面に埋めていたが、穢れを厭わない豪胆な女性だと思ったのだ。俺には意外性が多くて、まぶしく映るくらい。
そんなレティ自身が抱えていた穢れを自分自身で洗い落としたことで、もとから愛らしいと思っていたのが『美しい』と俺が思うくらいに変貌した自覚がないときている。
今も、練習にと自分でホットドックを作る様子がおぼつかないのも愛らしく見えてしまう。契約としては正式に婚約した形にはなっているが、この温かな隣をほかの男にやるつもりなど、毛頭ない。
小柄なので、小動物がちまちま動くようにも見えてしまうが、なにをして愛らしく俺の目に映ってしまうという時点で……もう確定だ。俺はレティを完全にひとりの愛おしい者だと手元に置きたいことが。
好き以上に、愛おしい。まだ、愛していると告げるには幼い感情だが。イリスの血族かもしれないレティと生涯をともにするのなら、これからの旅路は何ら苦でもなんでもない。
ひとりで味気ない食事をし、各地の虹の染めをこなしていたが。
神殿でだけで、あの反応を見せてくれたんだ。ふたりであれば、もっと違う見方が出来るだろうし、楽しいのかもしれない。
一時期、ライオスとも旅はしたことはあるが、男同士だし気兼ねないし、なによりも兄弟だからと遠慮はなかった。それも気を紛らわすものではあったが、今思うと味気なかったかもしれない。
それなのに、今城で野営の練習をしているだけでも楽しかった。
出来あがったパエリアを見て、色々食べてこなかったレティの表情が輝くのを見ているだけでも面白い。
「まあ……まあ! 赤いコメですわ!!」
「香辛料によっては黄色いのもあるが。今日は食べやすさを意識してもらおうとトマトにしたんだ」
「トマト……サラダにあるあれですの?」
「煮込み料理にもいいんだ。スープにしても美味い」
「リデル様は何でもご存じですのね?」
「そうでもないが。……ほら、食べてくれ」
「はい!」
器とスプーンを渡せば、熱いと言いながらも素直に食べてくれるのが嬉しい。味が気に入ったのか、顔がどんどんほころんでいく。この顔を見たかったんだ、と作るたびに毎回思ってしまう俺は贅沢者だろううか。
レティは俺を嫌ってはいないのはわかっている。だが、俺が向ける好意とは違い……あの国から連れ出したことへの『感謝』と『尊敬』が強くて好意的に思っているのが強く感じ取れた。
王太子のリデルとして見ているところもあるし、王族への敬意もきちんとしているが。出来れば、俺としてはまず『ただのリデル』として見てほしいのが本音だ。地位のある存在よりも、単純に男として接してほしい。
まだその差がわからないレティなのか、自分のパエリアの皿を空にしてもいつも通りだった。
「美味かったか?」
「はい! おかゆとも違う食べ方は初めてですわ!! もう少し」
「食べたい?」
「……お願いしても、いいですの?」
「もちろんだ」
俺も多少腹は減ったから一緒に食べたが。本当の野営ではないのに、なぜかいつもより美味く仕上がったと自画自賛したくなった。
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