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第70話 母のような観察

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 ほんにのぉ?

 何故、このように純真無垢なのじゃ?

 たしかに……ミラが聖女の称号を神からお与えになった理由がわからんでもないが。

 己に起きた事を考えると……ここまで、素直な女子に育つのは不思議じゃ。

 余程……神からの御加護が強いお陰か。

 ミラが口にしていたように……母親からもらったと言う言葉の強さがあってこそか。

 どちらにしても……ミラは、今は妾らと同じく『大精霊』となった。

 しかも……属性が今までにない『そら』ときた。


(スイとは違う……さらに『星』を扱う大精霊……か)


 自覚、能力などは……まだ目覚めておらぬようじゃが。

 それもまあ……いずれ、来る時が来る。

 今は、リョクとハクの間でもみくちゃにされておるが……どちらもミラを愛らしく思っているゆえの取り合いじゃ。ハクは、リョク以上にミラを慈しんでおるからのお?


「……ね、オーカ」


 観察しておると、スイが妾の隣に来おったわ。


「なんじゃ?」

「ハクは……聞いたけど」

「うむ」

「…………ミラも、じゃない……かな」


 相変わらず、話すのが不得手じゃが……伝えたい内容はわかったわ。

 妾ももう一度よく彼奴らを見れば……その答えはよく理解出来た。


「……大精霊同士……の恋か」


 ミラはまだ成り立てじゃが……そのような小さなことは関係がない。

 ハクは妾らの前できちんと、ミラを愛おしく思っておる気持ちは公言したが……ハクを拒絶しておらんようじゃから、少なからず想っておつのじゃろう。

 昨日、誰のもとで生活するのを選択する時点で……既にそうだったかもしれぬが。


「いいじゃんいいじゃん!」


 あれらを眺めている妾らの後ろから、龍羽リュウハ様が楽しげにいらした。


「お互い、気持ちは確認し合っていないけど……時間の問題でしょ? ちゃーんと確かめ合ったら、盛大に祝福してあげようよ!!」

「……そうですのぉ」


 たしかに……それはそうじゃ。

 想い合う相手であるがゆえに……妾は別に反対せん。

 リョクも……あのようにはしているが、なんだかんだで認めておるじゃろう。彼奴、本気で嫌なら術か何かで応対するからな?


「…………あ、の」


 考えをまとめていると、スイが手を挙げたわい。


「なーに? スイ」

「……う、たげ……はいつ?」

「「あ」」


 その話題があったのをすっかり忘れておったわ。
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