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国王のまかない③
第3話『沁み込む梅昆布茶』②
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飲み物だけだと言うのに、ひと口……またひと口と俺はゆっくりとその『ウメコブ茶』と言うのを飲んでいく。
いくらか酸っぱく、しかしながら一級品のスープのような美味さを感じるのだ。酸味と塩気、さらに旨い何か。これらが揃うことで、この『ウメコブ茶』と言うのが成り立っているのだろう!!
冷めてきたら夢中で飲んでいくが、下の方に丸い何かを感じた。少し……柔らかい何かが。
「これは……?」
薄暗い室内でよく見ても、赤くて丸い何か。イツキの説明ではたしか……プラムのピクルスと言っていたか??
「はい、陛下。料理長が実は使い道に困っていたプラムのピクルスを私は使わせてもらいました。梅昆布茶にも最適ですが、ドレッシングや他の料理にも使えます」
果物のピクルスが、盛り合わせ以外の料理にも使えるのか。これは有益……では、ない!!
和んでいる場合ではないんだ!!
マグカップをイツキに返すと、俺は夢にまで見た娘とネルの光景が現実になったらどうしようと頭を抱えた。
「「陛下??」」
ふたりには意味がわからないように見えただろう。ネルがいない今、このふたりには言おうと俺は決めた。
「……気を失っていた時、少し夢を見た」
「「夢??」」
「……リュシアが……娘が!! 美しく成長したんだが、その隣にネルが立っていたんだ!!?」
「……なるほど。夢は時に現実を映す方法だとも言われていますしね?」
「「現実を??」」
「可能性の話ですが、願望をそのまま……とも」
イツキは俺よりも若い上に、鑑定スキルで身辺については不明の人物だと言うのに……。何故、俺達の知らない料理もだがこのような知識も知っているんだ?
学者や医者でも、おそらく知らないでいるのに。
(であれば……俺は、逆にネルにならリュシアーノを嫁がせてもいいと願っているのか??)
親子程の歳の差であれ、ネルヴィス自身が本気であれば……娘を幸せにしてくれると信頼しているから??
だが、父親としてもだが国王としてもそれは納得出来ん!!
願望とやらと、心境は別物だ!!
「陛下。たしかに、ネルヴィスさんの想いは人によっては奇異の目で見られることでしょう。リュシアーノ様はまだまだ幼いですし、おふたりの事はひとまず見守ると言うのは無理でしょうか??」
ある意味で子供のように駄々をこねている俺とは違う回答。
イツキは、まるで慈母の女神のような微笑みを浮かべていた。そのまぶしさに当てられたかのように、俺も首を縦に振った。そうある事が、正しいと理解したように。
ひとまず、ウメコブ茶で余計に腹の減った俺にイツキは少しだけだが、アーネストにも出した『ハヤシライス』を出そうとしてくれた時。
「……陛下」
俺達が厨房に戻ると、ネルヴィスが暗い表情で待っていたのだった!?
いくらか酸っぱく、しかしながら一級品のスープのような美味さを感じるのだ。酸味と塩気、さらに旨い何か。これらが揃うことで、この『ウメコブ茶』と言うのが成り立っているのだろう!!
冷めてきたら夢中で飲んでいくが、下の方に丸い何かを感じた。少し……柔らかい何かが。
「これは……?」
薄暗い室内でよく見ても、赤くて丸い何か。イツキの説明ではたしか……プラムのピクルスと言っていたか??
「はい、陛下。料理長が実は使い道に困っていたプラムのピクルスを私は使わせてもらいました。梅昆布茶にも最適ですが、ドレッシングや他の料理にも使えます」
果物のピクルスが、盛り合わせ以外の料理にも使えるのか。これは有益……では、ない!!
和んでいる場合ではないんだ!!
マグカップをイツキに返すと、俺は夢にまで見た娘とネルの光景が現実になったらどうしようと頭を抱えた。
「「陛下??」」
ふたりには意味がわからないように見えただろう。ネルがいない今、このふたりには言おうと俺は決めた。
「……気を失っていた時、少し夢を見た」
「「夢??」」
「……リュシアが……娘が!! 美しく成長したんだが、その隣にネルが立っていたんだ!!?」
「……なるほど。夢は時に現実を映す方法だとも言われていますしね?」
「「現実を??」」
「可能性の話ですが、願望をそのまま……とも」
イツキは俺よりも若い上に、鑑定スキルで身辺については不明の人物だと言うのに……。何故、俺達の知らない料理もだがこのような知識も知っているんだ?
学者や医者でも、おそらく知らないでいるのに。
(であれば……俺は、逆にネルにならリュシアーノを嫁がせてもいいと願っているのか??)
親子程の歳の差であれ、ネルヴィス自身が本気であれば……娘を幸せにしてくれると信頼しているから??
だが、父親としてもだが国王としてもそれは納得出来ん!!
願望とやらと、心境は別物だ!!
「陛下。たしかに、ネルヴィスさんの想いは人によっては奇異の目で見られることでしょう。リュシアーノ様はまだまだ幼いですし、おふたりの事はひとまず見守ると言うのは無理でしょうか??」
ある意味で子供のように駄々をこねている俺とは違う回答。
イツキは、まるで慈母の女神のような微笑みを浮かべていた。そのまぶしさに当てられたかのように、俺も首を縦に振った。そうある事が、正しいと理解したように。
ひとまず、ウメコブ茶で余計に腹の減った俺にイツキは少しだけだが、アーネストにも出した『ハヤシライス』を出そうとしてくれた時。
「……陛下」
俺達が厨房に戻ると、ネルヴィスが暗い表情で待っていたのだった!?
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