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第2章
第125話 第4ダンジョン2
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サイクロプスとオーガの大行進が続く中、ゴーン、ゴーン…と、鐘が6回鳴った。
それと同時に次の部隊と入れ替わりが始まった。
開口時からかなりの数のモンスターが出てきた。高位の冒険者であってもやはり、鐘が4つ鳴る間の時間を戦い抜くのは難しかったようで、多くの怪我人が出た。
俺たちも戦線を離脱して、後ほど、防災壁の上にあるレストランでケイたちのパーティと昼食を一緒にとる約束をして、いったん解散する。
防災壁内にあるシャワールームの入り口で男女に分かれてシャワーで汗を流す。
個室のシャワールームでは先に入っている冒険者たちの会話が聞こえてきた。
「なかなか、きつかったっすね~」
「まあ始めは、こんなもんだろう。問題はいつまで続くかだな。…それにしてもケイのところにいた赤髪の女はやばいな…あれはうちの冒険者か?」
「見たことのない顔っすけど、確かにあれはやばいっすね。中型ドラゴン1体を1人でなんて、うちの中でもそんなにいないっしょ?それにさっき近くで見たんすけど、かなりの美人すよ。あれはまだ10代じゃないっすか」
ルーミエは強くて、美人でやばい…らしい。
ルーミエの話題以外にも一般参加らしき冒険者の話、次のシフトまでの間の待ち時間に何をするかとか、そのパーティ内での体制の話などをしながら、その2人は先に出ていった。
□
シャワールームを出てルーミエと合流し、受付で記録石(キロクセキ)を提出した。
「第1クールお疲れ様でした。確か弊社のケイとパーティを組まれていましたね?」
「そうよ」
「それではケイのところへポイントを加算しますね。報酬はお2人まとめて…」
すぐに計算して金貨6枚と大銀貨8枚の報酬を受け取った。
待ち合わせをしている防災壁上のレストランへルーミエと腕を組んで階段をあがる。
階段を上りきると、遮るものがなく、空が広く感じられた。広場内では炎魔法や弓矢が飛び交い、モンスターと入り交じっての戦争のような状態が起こっている。かたや街の方は賑やかで平和そのものだった。
レストランの受付で尋ねると、来客も多く盛況で少し待つことになった。順番待ちをしている間にケイやアマンを含め5人の女性たちと合流する。
先ほどの冒険者スタイルから私服に変わり、みんな私服姿も素敵だった。
順番が回ってきて席に案内される。日差しも強く、大型パラソルで日陰をつくった席に座り、各々注文する。トライデントバッファローの肉料理もまだまだあると言うことで、串焼き、野菜炒めなど注文したそばから店員のアイテムボックスから料理とビールのジョッキが取り出される。
それ以外のものは後ほど運ばれてくるようで、人気の高い料理や飲み物をアイテムボックスに仕込み、注文と同時に提供することで待ち時間を少なくできるし、他の料理を待つ時間も気にならない。
ケイがキンキンに冷えたジョッキを掲げる。
「それじゃあ、我がパーティの帰還と第1クールトップの成績を祝して、乾杯!」
みんなでジョッキをぶつけ合い、グビグビと流し込み、そして肉にかじりつく。肉の塊は噛み切るのに抵抗がなく柔らかい。そして口の中では噛むほどに肉汁があふれ出て、スパイスと相まってビールが進む。
真夏の暑い日差しの中、一仕事終えて、味わうビール。シンプルで最高の贅沢だ。
「プハー!仕事の後の1杯は格別だねー!」
ケイは熊獣人らしく豪快にグラスを飲み干した。
「トップだったんだね、おめでとう」
ルーミエがお祝いの言葉をかけている。
「あんたたちのおかげだよ、特にルーミエの活躍が大きかったね。礼をいうよ。それで戦った感じ、どうだった?」
「みんなの連携がとれていてとても戦いやすかったわ。相当訓練を積んでいるのでしょう?」
回復魔法を使うアマンが、もちゃもちゃと肉をほおばりながら答える。
「…訓練を積んだというよりは長い間このメンバーでやってきてるからね。もう何年目だっけ?」
前衛の片手剣と盾のオーソドックスな装備のエリオが答える。
「7年目かな…、始めの頃は訓練とか連携とか頑張ってやってたけど今は怖いくらいお互いが何をするか分かってるもんね。…それよか、お2人さんは、新婚さんかな?さっきも仲良く腕を組んで歩いていたし…」
「そうよ、まだ結婚して半年もたっていないくらいね」
その後、新婚生活のこと根掘り葉掘り聞かれたが、すぐに広場で繰り広げられている戦闘に目がいき、話題は自然とこれからのことになった。
まるで野球のデイゲームを見るように、モンスターとの戦いを街の中で見られるとは思わなかった。
「ルーミエたちは必要な資金を稼ぐためにこの街にきたのね」
「ええ」
「じゃあちょうどいいね、後でうちの人事から声がかかると思うんだ。よかったら話を聞いてやってくれよ」
ネネコーラン社からスカウトがかかるようだ。
『どこかの団体に所属して活動した方が良い』、とカラルも言っていたし、雰囲気も悪くないからこの会社に所属してもいいかもしれないな…。
「わかったわ、ありがとう」
しばらく談笑をしていると、広場の方から、悲鳴が聞こえた。見ると5mほどの大型の蜘蛛が素早い動きで冒険者たちの何人かを捕食している。第1クールではなかった惨劇が起きた。
緊急のアナウンスが流れる。
「場内にいる魔法士に告ぐ、カウント60で中級範囲魔法以上を広場の対象に放て!!第2クールの者は足止めの攻撃をしつつ10秒前に現場を離れろ!」
鉄尾毒蜘蛛(スティールテール・ポイズン・スパイダー)に押されているため、魔法での一斉攻撃で劣勢を逆転させたいようだ。
「55、54、53…」
カウントが始まる。
攻撃命令に促されるままケイのパーティーで攻撃魔法を担当しているよろよろとクインとミーナが立ち上がる。酒が回り、足下がおぼつかないようだが詠唱を始める…。
ちゃんとできるのか?
少し不安に思ったので、密かに記録石(キロクセキ)をアイテムボックスにしまい、俺も陰ながら魔法攻撃をすることにした。
急いで階段を上がってきた魔法使いや広場の壁際にいる魔法使いも詠唱を始める。
鉄尾毒蜘蛛の数が多く、魔法攻撃だけで駆逐することは難しいように感じた。
さらにはもう少し先のモンスターパレードには4足ドラゴンが続き、その後ろからもドラゴン系統の難敵が続いている。第2クール開始から1時間ほどでピンチに陥っている状況だ。
「30、29、28…」
「第3クールの者は出撃準備、半時(はんとき)後に出撃」
「15、14、13…」
魔力が広場全体を覆う。
「3、2、1…放て」
広場が一斉に光に包まれる。雷撃、炎魔法が多い。
「状況オレンジ!緊急出撃(スクランブル)可能な者は広場の壁際へ並べ」
第3クールの主力部隊の準備が整うまで、この現場にいる者たちで対応することになりそうだ。
ルーミエは参戦を決めたようだ。もちろん俺も陰ながらサポートは行う。
「アキト行ってくるから、ここで待っていて」
ルーミエはそういって高さ30mはある防災壁の上から飛び降りた。
「わかった」
極私的絶対王国(マイキングダム)で着地をサポートする。
「旦那はいかなくて良いのか?」
「まあな、ルーミエなら大丈夫だろう」
「なら、あたいも高みの見物をさせてもらおうかな」
一斉攻撃で3割近くの鉄尾毒蜘蛛の動きが止まった。
ルーミエは死体や素材を集める回収役をサポートしつつ戦っている。
「第2波準備!!カウント開始!!…60、59、58…」
大規模攻撃で倒した以上の数の鉄尾毒蜘蛛がダンジョンの入り口からあふれ出てきては、冒険者が喰われている。
「おぞましい光景だな…」
ケイがつぶやくように言う。
喰われた冒険者はしばらくすると光の塵となって消え、死亡回数が4回目までなら縁(ゆかり)ある教会へ戻り、復活するはずだ。
先ほど攻撃魔法を放ったクインとミーナは、第1クールで消耗しきっていて、今回の追撃魔法で完全に魔力切れになった。へなへなと座り込み広場の様子を心配そうに眺めている。
ルーミエと俺はこれ以上のモンスターの相手をエソルタ島でしてきた。恐らくルーミエ1人でも問題はないが、ターゲットが他に行ってしまう可能性があるので数は減らしておいた方がよいだろう。
「25、24、23…」
先ほどよりも魔法の数が少ないように感じる。カウントが10を切りルーミエと回収役は、付近の鉄尾毒蜘蛛の足を切り動きを鈍らせてから広場を離れる。
「3、2、1。放て!!」
第1波よりも少ない魔法が広場を包むが2割程度しか倒せていない。俺も遅ればせながらで圧縮火炎球(フレア)を10個展開して、適当にぶつける。
カウントがずれた魔法攻撃にケイがぼやく…
「危ないな、誰だカウントからずれた奴は…」
俺です。と心の中でつぶやきながら、いつもはそのまま魔法を継続させて、じりじりと全ての敵を焼き尽くすのだが、回りの雰囲気に合わせて魔法を解除する。
「第3波準備!!カウント開始!!…60、59、58…」
鉄尾毒蜘蛛は一向に減らないが次を撃てる奴いるのか?詠唱を行っている者は少ない。
「けっこうまずい状況だよね、どうするケイ?」
アマンが心配そうにケイにつめよる。
「どうするって言われてもなぁ、あたいたちもさっき上がったばかりで体力に余裕はないし、クインとミーナもこの通り戦える状況じゃない。できることは次の出撃に備えての体力温存だけだな…」
心配の矛先は俺にも向いた。
「アキトはルーミエだけ戦ってるけれど心配じゃないの?」
「そりゃあ心配だけど、無理はしないようにって約束しているんだ。問題ないよ」
ルーミエには継続治癒魔法がかかっていて、致命傷にならない限り、大丈夫なはずだ。
それに次の一斉攻撃で極私的絶対王国(マイキングダム)を使っての”絶命”を命令して鉄尾毒蜘蛛を一掃する予定だ。
連発させると俺の魔力を感知している奴がいるかもしれないので、それ以降の手はルーミエにまかせた。
そのことを含めて撤退してもいいよと、極私的絶対王国(マイキングダム)でルーミエの耳元へ声を届けるが
「大丈夫、奥の手があるの。見ていて」
って言っていたので任せることにした。
何だろう奥の手って?
それと同時に次の部隊と入れ替わりが始まった。
開口時からかなりの数のモンスターが出てきた。高位の冒険者であってもやはり、鐘が4つ鳴る間の時間を戦い抜くのは難しかったようで、多くの怪我人が出た。
俺たちも戦線を離脱して、後ほど、防災壁の上にあるレストランでケイたちのパーティと昼食を一緒にとる約束をして、いったん解散する。
防災壁内にあるシャワールームの入り口で男女に分かれてシャワーで汗を流す。
個室のシャワールームでは先に入っている冒険者たちの会話が聞こえてきた。
「なかなか、きつかったっすね~」
「まあ始めは、こんなもんだろう。問題はいつまで続くかだな。…それにしてもケイのところにいた赤髪の女はやばいな…あれはうちの冒険者か?」
「見たことのない顔っすけど、確かにあれはやばいっすね。中型ドラゴン1体を1人でなんて、うちの中でもそんなにいないっしょ?それにさっき近くで見たんすけど、かなりの美人すよ。あれはまだ10代じゃないっすか」
ルーミエは強くて、美人でやばい…らしい。
ルーミエの話題以外にも一般参加らしき冒険者の話、次のシフトまでの間の待ち時間に何をするかとか、そのパーティ内での体制の話などをしながら、その2人は先に出ていった。
□
シャワールームを出てルーミエと合流し、受付で記録石(キロクセキ)を提出した。
「第1クールお疲れ様でした。確か弊社のケイとパーティを組まれていましたね?」
「そうよ」
「それではケイのところへポイントを加算しますね。報酬はお2人まとめて…」
すぐに計算して金貨6枚と大銀貨8枚の報酬を受け取った。
待ち合わせをしている防災壁上のレストランへルーミエと腕を組んで階段をあがる。
階段を上りきると、遮るものがなく、空が広く感じられた。広場内では炎魔法や弓矢が飛び交い、モンスターと入り交じっての戦争のような状態が起こっている。かたや街の方は賑やかで平和そのものだった。
レストランの受付で尋ねると、来客も多く盛況で少し待つことになった。順番待ちをしている間にケイやアマンを含め5人の女性たちと合流する。
先ほどの冒険者スタイルから私服に変わり、みんな私服姿も素敵だった。
順番が回ってきて席に案内される。日差しも強く、大型パラソルで日陰をつくった席に座り、各々注文する。トライデントバッファローの肉料理もまだまだあると言うことで、串焼き、野菜炒めなど注文したそばから店員のアイテムボックスから料理とビールのジョッキが取り出される。
それ以外のものは後ほど運ばれてくるようで、人気の高い料理や飲み物をアイテムボックスに仕込み、注文と同時に提供することで待ち時間を少なくできるし、他の料理を待つ時間も気にならない。
ケイがキンキンに冷えたジョッキを掲げる。
「それじゃあ、我がパーティの帰還と第1クールトップの成績を祝して、乾杯!」
みんなでジョッキをぶつけ合い、グビグビと流し込み、そして肉にかじりつく。肉の塊は噛み切るのに抵抗がなく柔らかい。そして口の中では噛むほどに肉汁があふれ出て、スパイスと相まってビールが進む。
真夏の暑い日差しの中、一仕事終えて、味わうビール。シンプルで最高の贅沢だ。
「プハー!仕事の後の1杯は格別だねー!」
ケイは熊獣人らしく豪快にグラスを飲み干した。
「トップだったんだね、おめでとう」
ルーミエがお祝いの言葉をかけている。
「あんたたちのおかげだよ、特にルーミエの活躍が大きかったね。礼をいうよ。それで戦った感じ、どうだった?」
「みんなの連携がとれていてとても戦いやすかったわ。相当訓練を積んでいるのでしょう?」
回復魔法を使うアマンが、もちゃもちゃと肉をほおばりながら答える。
「…訓練を積んだというよりは長い間このメンバーでやってきてるからね。もう何年目だっけ?」
前衛の片手剣と盾のオーソドックスな装備のエリオが答える。
「7年目かな…、始めの頃は訓練とか連携とか頑張ってやってたけど今は怖いくらいお互いが何をするか分かってるもんね。…それよか、お2人さんは、新婚さんかな?さっきも仲良く腕を組んで歩いていたし…」
「そうよ、まだ結婚して半年もたっていないくらいね」
その後、新婚生活のこと根掘り葉掘り聞かれたが、すぐに広場で繰り広げられている戦闘に目がいき、話題は自然とこれからのことになった。
まるで野球のデイゲームを見るように、モンスターとの戦いを街の中で見られるとは思わなかった。
「ルーミエたちは必要な資金を稼ぐためにこの街にきたのね」
「ええ」
「じゃあちょうどいいね、後でうちの人事から声がかかると思うんだ。よかったら話を聞いてやってくれよ」
ネネコーラン社からスカウトがかかるようだ。
『どこかの団体に所属して活動した方が良い』、とカラルも言っていたし、雰囲気も悪くないからこの会社に所属してもいいかもしれないな…。
「わかったわ、ありがとう」
しばらく談笑をしていると、広場の方から、悲鳴が聞こえた。見ると5mほどの大型の蜘蛛が素早い動きで冒険者たちの何人かを捕食している。第1クールではなかった惨劇が起きた。
緊急のアナウンスが流れる。
「場内にいる魔法士に告ぐ、カウント60で中級範囲魔法以上を広場の対象に放て!!第2クールの者は足止めの攻撃をしつつ10秒前に現場を離れろ!」
鉄尾毒蜘蛛(スティールテール・ポイズン・スパイダー)に押されているため、魔法での一斉攻撃で劣勢を逆転させたいようだ。
「55、54、53…」
カウントが始まる。
攻撃命令に促されるままケイのパーティーで攻撃魔法を担当しているよろよろとクインとミーナが立ち上がる。酒が回り、足下がおぼつかないようだが詠唱を始める…。
ちゃんとできるのか?
少し不安に思ったので、密かに記録石(キロクセキ)をアイテムボックスにしまい、俺も陰ながら魔法攻撃をすることにした。
急いで階段を上がってきた魔法使いや広場の壁際にいる魔法使いも詠唱を始める。
鉄尾毒蜘蛛の数が多く、魔法攻撃だけで駆逐することは難しいように感じた。
さらにはもう少し先のモンスターパレードには4足ドラゴンが続き、その後ろからもドラゴン系統の難敵が続いている。第2クール開始から1時間ほどでピンチに陥っている状況だ。
「30、29、28…」
「第3クールの者は出撃準備、半時(はんとき)後に出撃」
「15、14、13…」
魔力が広場全体を覆う。
「3、2、1…放て」
広場が一斉に光に包まれる。雷撃、炎魔法が多い。
「状況オレンジ!緊急出撃(スクランブル)可能な者は広場の壁際へ並べ」
第3クールの主力部隊の準備が整うまで、この現場にいる者たちで対応することになりそうだ。
ルーミエは参戦を決めたようだ。もちろん俺も陰ながらサポートは行う。
「アキト行ってくるから、ここで待っていて」
ルーミエはそういって高さ30mはある防災壁の上から飛び降りた。
「わかった」
極私的絶対王国(マイキングダム)で着地をサポートする。
「旦那はいかなくて良いのか?」
「まあな、ルーミエなら大丈夫だろう」
「なら、あたいも高みの見物をさせてもらおうかな」
一斉攻撃で3割近くの鉄尾毒蜘蛛の動きが止まった。
ルーミエは死体や素材を集める回収役をサポートしつつ戦っている。
「第2波準備!!カウント開始!!…60、59、58…」
大規模攻撃で倒した以上の数の鉄尾毒蜘蛛がダンジョンの入り口からあふれ出てきては、冒険者が喰われている。
「おぞましい光景だな…」
ケイがつぶやくように言う。
喰われた冒険者はしばらくすると光の塵となって消え、死亡回数が4回目までなら縁(ゆかり)ある教会へ戻り、復活するはずだ。
先ほど攻撃魔法を放ったクインとミーナは、第1クールで消耗しきっていて、今回の追撃魔法で完全に魔力切れになった。へなへなと座り込み広場の様子を心配そうに眺めている。
ルーミエと俺はこれ以上のモンスターの相手をエソルタ島でしてきた。恐らくルーミエ1人でも問題はないが、ターゲットが他に行ってしまう可能性があるので数は減らしておいた方がよいだろう。
「25、24、23…」
先ほどよりも魔法の数が少ないように感じる。カウントが10を切りルーミエと回収役は、付近の鉄尾毒蜘蛛の足を切り動きを鈍らせてから広場を離れる。
「3、2、1。放て!!」
第1波よりも少ない魔法が広場を包むが2割程度しか倒せていない。俺も遅ればせながらで圧縮火炎球(フレア)を10個展開して、適当にぶつける。
カウントがずれた魔法攻撃にケイがぼやく…
「危ないな、誰だカウントからずれた奴は…」
俺です。と心の中でつぶやきながら、いつもはそのまま魔法を継続させて、じりじりと全ての敵を焼き尽くすのだが、回りの雰囲気に合わせて魔法を解除する。
「第3波準備!!カウント開始!!…60、59、58…」
鉄尾毒蜘蛛は一向に減らないが次を撃てる奴いるのか?詠唱を行っている者は少ない。
「けっこうまずい状況だよね、どうするケイ?」
アマンが心配そうにケイにつめよる。
「どうするって言われてもなぁ、あたいたちもさっき上がったばかりで体力に余裕はないし、クインとミーナもこの通り戦える状況じゃない。できることは次の出撃に備えての体力温存だけだな…」
心配の矛先は俺にも向いた。
「アキトはルーミエだけ戦ってるけれど心配じゃないの?」
「そりゃあ心配だけど、無理はしないようにって約束しているんだ。問題ないよ」
ルーミエには継続治癒魔法がかかっていて、致命傷にならない限り、大丈夫なはずだ。
それに次の一斉攻撃で極私的絶対王国(マイキングダム)を使っての”絶命”を命令して鉄尾毒蜘蛛を一掃する予定だ。
連発させると俺の魔力を感知している奴がいるかもしれないので、それ以降の手はルーミエにまかせた。
そのことを含めて撤退してもいいよと、極私的絶対王国(マイキングダム)でルーミエの耳元へ声を届けるが
「大丈夫、奥の手があるの。見ていて」
って言っていたので任せることにした。
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