19 / 39
エミリー陥落する
しおりを挟む
しばらくたって気がついたら白い天井が見えて丸い黒い影が見えた。その輪郭が次第にくっきりしてくるとダニエルが私の頭を繰り返し撫でながら愛おしそうに見つめていた。
自分はソファーに腰かけて私に膝枕をしてくれているようで、頭の下がほんのりと暖かい。ゆっくりと起き上がって体を確かめると、あちこちに飛び散っていたであろう液体はきれいに拭きとられていて、ダニエルもすでにズボンを上げてきちんと制服を着こなしていた。
「ダニエル、私の下着はどこ?」
「悪いけどあれはお仕置きだから下着を返す気はないよ。それに僕はキスをしたら返すだなんて一言も言っていないしね。それにこれからエミリーは騎士団に来るのは禁止だよ。君がノーグローブ隊長に会っているのを見ると、うっかり彼を陰謀に巻き込んで苦痛と屈辱を与えてから殺してしまいそうになるからね。もし来たら罰として何度でも君の下着を没収するよ」
そういってダニエルは隣に座っている私の体を引き寄せて自分の膝の上に抱き上げてから、まるで子供にするように優しい手つきで再び私の頭を撫で始めた。
うわぁぁぁ!!やられた!確かにダニエルは下着を返すとは言っていない。だからといってあそこまでやらせておいて、下半身剥き身のまま屋敷に帰らせるというのか・・・なんて最低の男だ!
「ダニエルったら!この悪魔っ!!」
私は目に力を込めてダニエルを睨みつけながら叫んだ。
「しっ、あまり大きな声を出すと騎士団中に聞こえてしまうよ。そこの窓が開いているのが見えるよね。そういえばこのすぐ下のノーグローブの部屋の窓も開いていたような気がするよ。多分さっきのエミリーの鼠みたいな可愛らしいイき声が聞こえたんじゃないかな?」
な・・・な・・・なんですってぇ?!!!
始めの頃は床に寝かされていたのでソファーの陰になって窓は見なかったが、ソファーの上でダニエルの膝に腰を掛けている今は簡単に確認できる。
少し頭を動かせると見える部屋の南側にある大きな窓は、全開に開け放たれていて白いレースのカーテンがゆらりと夕方のかすかな光を透して柔らかな影を床に落としていた。
一瞬で血の気が引く。そういえばクライブ様の部屋の窓も大きく開いていた。もしダニエルのいうとおりにこの部屋の真下だとすれば、さっきの私達の声が聞こえていたとしても不思議ではない。クライブ様が私を好きだという事はダニエルの嫌がらせの上の狂言だとしても、さすがにこれは恥ずかしすぎる。他の騎士様にも聞こえたのではないかと、羞恥心で口を開けたまま声が出なくなる。
そういえば何度も私の名前と一緒に可愛いとか愛しているとか言っていたのも、もしかして騎士団じゅうに私の存在を知らせるのが目的だったのではないのだろうか?!!
不特定多数の騎士様にあの喘ぎ声とかを聞かれてしまったとでもいうの?!騎士様のほとんどが爵位を持った貴族だ。・・・という事はもう恥ずかしすぎて社交界に顔を出せない!!!
「し・・・死んでしまいたい・・・いや、もうスタインズ領に帰る!そうだわ!そうするのよ!そうして二度と王都には戻ってこない!!」
「君が死んだら僕も死ぬよ。君がスタインズ領に帰るのなら騎士もやめて何もかも捨てて僕もついていく。もう君を逃がすつもりはないんだ、僕の大事なエミリー」
「や・・・やだぁ・・・」
いまだにとても嬉しそうに微笑みながら私の体を撫でまわすダニエルの顔を、じっくりと見つめた。たっぷりの金色の睫毛に彩られたエメラルドグリーンの二つの双眸が、私だけを映している。
ヤンデレ宣言なのか?そうなのか?!ヤンデレだって個人的にはそんなに嫌いではない。どちらかといえば、それ程までに愛されれば女冥利に尽きるというものだ。だけどドSは・・・それだけは相容れない。
気付かないうちに出てきていた涙が頬を伝って流れ始めた。複雑な感情が私を支配して目頭を温めて、次々に涙が分泌されては流れ落ちていく。するとダニエルが私を膝の上に乗せたまま優しく腕の中に抱きしめ、何度も・・・何度も頬に口づけを落とした。そうして流れ出す水分が頬を伝うよりも先に舌先で舐めとっては啜りあげていく。
「虫みたいで凄く可愛い。首にある僕の噛み痕も君にとても似合っているよ。エミリー、君と出会えて本当に良かった。愛してるよ」
「ダ・・・ダニエル・・・貴方・・最てぃ・・・うぅ」
もう私は覚悟をした。もうこうなったら運命を受け入れるしかない。真性ドSの変態に魅入られた女性は、一生彼から逃れられない運命なのだ。あの夜会の時から私の運命は既に決まっていたのだ。
鞭で打たれる前にしっかり服を着込んで、蝋燭を垂らされる前に火を消そう。縄で縛られそうになったらナイフで切ればいい。縛られる前に縛ってしまうのもいいかもしれない。今度、縛り方教本でしっかりと予習しておこう。先に縛った者勝ちだ。
体の力を抜いて無気力になった私は、ダニエルの思うがままに身を任せていた。すると突然ダニエルが顔を上げたかと思うと静かに声をだした。
「なに?ルーク、入っていいよ」
するとしばらくすると音もなく扉を開けてルーク様が部屋の中に入ってきた。いつの間に扉の前にいたのだろう。全然気が付かなかった。
私がダニエルの膝の上にぐったりと体を横たえたまま、あちこち撫でまわされ・・・その上、何度も音を立ててキスをされているというのに顔色も変えない。相変わらずの冷静な表情で淡々と話し始めた。
「騎士団長が話があるとダニエル様をお呼びですが、いかがいたしますか?」
ダニエルもダニエルで、私の頬に何度も何度もキスを落としながらルーク様を見ないままで会話をする。
「んーー、面倒くさいな。せっかくエミリーが盛りの付いた鼠みたいに僕に甘えてくれているのに離れたくない。忙しいからといって断っておいてくれない?」
「それは難しいかと・・・本当に大事なお話らしいです。時間はいつまでも待つとおっしゃっておりました」
「そうか、じゃあエミリーも連れて一緒に行こうかな」
するとダニエルが頬から唇を離して、ご機嫌な表情で私の顔色を伺うように見る。
そ・・・それだけは勘弁して欲しい・・・。
私は唇を軽く噛んで頬を赤らめ、涙目で返事の代わりにふるふると顔を横に振った。特に団長室の位置なんて一生知りたくもない。ましてやその部屋の窓が開いていたかどうかもだ・・・。
するとダニエルは私の体を腰が折れそうになるくらいに深く抱きしめると、くすりと笑いを零して耳元で囁いた。
「エミリー、すぐに君の元に戻ってくるから、それまでルークに監視してもらっていてね」
そうよね・・・護衛でも付き添いでも無くて『監視』・・・ね。相変わらず、ぶれない男だわ。
ダニエルは私を大事そうに抱き上げてソファーの上に座らせ、ルーク様には斜め前の一人掛けのソファーに座るように申し付けた。そうして自分は少し皺のついた制服を正すと、名残惜しそうに私を見て部屋から去っていった。
自分はソファーに腰かけて私に膝枕をしてくれているようで、頭の下がほんのりと暖かい。ゆっくりと起き上がって体を確かめると、あちこちに飛び散っていたであろう液体はきれいに拭きとられていて、ダニエルもすでにズボンを上げてきちんと制服を着こなしていた。
「ダニエル、私の下着はどこ?」
「悪いけどあれはお仕置きだから下着を返す気はないよ。それに僕はキスをしたら返すだなんて一言も言っていないしね。それにこれからエミリーは騎士団に来るのは禁止だよ。君がノーグローブ隊長に会っているのを見ると、うっかり彼を陰謀に巻き込んで苦痛と屈辱を与えてから殺してしまいそうになるからね。もし来たら罰として何度でも君の下着を没収するよ」
そういってダニエルは隣に座っている私の体を引き寄せて自分の膝の上に抱き上げてから、まるで子供にするように優しい手つきで再び私の頭を撫で始めた。
うわぁぁぁ!!やられた!確かにダニエルは下着を返すとは言っていない。だからといってあそこまでやらせておいて、下半身剥き身のまま屋敷に帰らせるというのか・・・なんて最低の男だ!
「ダニエルったら!この悪魔っ!!」
私は目に力を込めてダニエルを睨みつけながら叫んだ。
「しっ、あまり大きな声を出すと騎士団中に聞こえてしまうよ。そこの窓が開いているのが見えるよね。そういえばこのすぐ下のノーグローブの部屋の窓も開いていたような気がするよ。多分さっきのエミリーの鼠みたいな可愛らしいイき声が聞こえたんじゃないかな?」
な・・・な・・・なんですってぇ?!!!
始めの頃は床に寝かされていたのでソファーの陰になって窓は見なかったが、ソファーの上でダニエルの膝に腰を掛けている今は簡単に確認できる。
少し頭を動かせると見える部屋の南側にある大きな窓は、全開に開け放たれていて白いレースのカーテンがゆらりと夕方のかすかな光を透して柔らかな影を床に落としていた。
一瞬で血の気が引く。そういえばクライブ様の部屋の窓も大きく開いていた。もしダニエルのいうとおりにこの部屋の真下だとすれば、さっきの私達の声が聞こえていたとしても不思議ではない。クライブ様が私を好きだという事はダニエルの嫌がらせの上の狂言だとしても、さすがにこれは恥ずかしすぎる。他の騎士様にも聞こえたのではないかと、羞恥心で口を開けたまま声が出なくなる。
そういえば何度も私の名前と一緒に可愛いとか愛しているとか言っていたのも、もしかして騎士団じゅうに私の存在を知らせるのが目的だったのではないのだろうか?!!
不特定多数の騎士様にあの喘ぎ声とかを聞かれてしまったとでもいうの?!騎士様のほとんどが爵位を持った貴族だ。・・・という事はもう恥ずかしすぎて社交界に顔を出せない!!!
「し・・・死んでしまいたい・・・いや、もうスタインズ領に帰る!そうだわ!そうするのよ!そうして二度と王都には戻ってこない!!」
「君が死んだら僕も死ぬよ。君がスタインズ領に帰るのなら騎士もやめて何もかも捨てて僕もついていく。もう君を逃がすつもりはないんだ、僕の大事なエミリー」
「や・・・やだぁ・・・」
いまだにとても嬉しそうに微笑みながら私の体を撫でまわすダニエルの顔を、じっくりと見つめた。たっぷりの金色の睫毛に彩られたエメラルドグリーンの二つの双眸が、私だけを映している。
ヤンデレ宣言なのか?そうなのか?!ヤンデレだって個人的にはそんなに嫌いではない。どちらかといえば、それ程までに愛されれば女冥利に尽きるというものだ。だけどドSは・・・それだけは相容れない。
気付かないうちに出てきていた涙が頬を伝って流れ始めた。複雑な感情が私を支配して目頭を温めて、次々に涙が分泌されては流れ落ちていく。するとダニエルが私を膝の上に乗せたまま優しく腕の中に抱きしめ、何度も・・・何度も頬に口づけを落とした。そうして流れ出す水分が頬を伝うよりも先に舌先で舐めとっては啜りあげていく。
「虫みたいで凄く可愛い。首にある僕の噛み痕も君にとても似合っているよ。エミリー、君と出会えて本当に良かった。愛してるよ」
「ダ・・・ダニエル・・・貴方・・最てぃ・・・うぅ」
もう私は覚悟をした。もうこうなったら運命を受け入れるしかない。真性ドSの変態に魅入られた女性は、一生彼から逃れられない運命なのだ。あの夜会の時から私の運命は既に決まっていたのだ。
鞭で打たれる前にしっかり服を着込んで、蝋燭を垂らされる前に火を消そう。縄で縛られそうになったらナイフで切ればいい。縛られる前に縛ってしまうのもいいかもしれない。今度、縛り方教本でしっかりと予習しておこう。先に縛った者勝ちだ。
体の力を抜いて無気力になった私は、ダニエルの思うがままに身を任せていた。すると突然ダニエルが顔を上げたかと思うと静かに声をだした。
「なに?ルーク、入っていいよ」
するとしばらくすると音もなく扉を開けてルーク様が部屋の中に入ってきた。いつの間に扉の前にいたのだろう。全然気が付かなかった。
私がダニエルの膝の上にぐったりと体を横たえたまま、あちこち撫でまわされ・・・その上、何度も音を立ててキスをされているというのに顔色も変えない。相変わらずの冷静な表情で淡々と話し始めた。
「騎士団長が話があるとダニエル様をお呼びですが、いかがいたしますか?」
ダニエルもダニエルで、私の頬に何度も何度もキスを落としながらルーク様を見ないままで会話をする。
「んーー、面倒くさいな。せっかくエミリーが盛りの付いた鼠みたいに僕に甘えてくれているのに離れたくない。忙しいからといって断っておいてくれない?」
「それは難しいかと・・・本当に大事なお話らしいです。時間はいつまでも待つとおっしゃっておりました」
「そうか、じゃあエミリーも連れて一緒に行こうかな」
するとダニエルが頬から唇を離して、ご機嫌な表情で私の顔色を伺うように見る。
そ・・・それだけは勘弁して欲しい・・・。
私は唇を軽く噛んで頬を赤らめ、涙目で返事の代わりにふるふると顔を横に振った。特に団長室の位置なんて一生知りたくもない。ましてやその部屋の窓が開いていたかどうかもだ・・・。
するとダニエルは私の体を腰が折れそうになるくらいに深く抱きしめると、くすりと笑いを零して耳元で囁いた。
「エミリー、すぐに君の元に戻ってくるから、それまでルークに監視してもらっていてね」
そうよね・・・護衛でも付き添いでも無くて『監視』・・・ね。相変わらず、ぶれない男だわ。
ダニエルは私を大事そうに抱き上げてソファーの上に座らせ、ルーク様には斜め前の一人掛けのソファーに座るように申し付けた。そうして自分は少し皺のついた制服を正すと、名残惜しそうに私を見て部屋から去っていった。
12
あなたにおすすめの小説
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
旦那様の愛が重い
おきょう
恋愛
マリーナの旦那様は愛情表現がはげしい。
毎朝毎晩「愛してる」と耳元でささやき、隣にいれば腰を抱き寄せてくる。
他人は大切にされていて羨ましいと言うけれど、マリーナには怖いばかり。
甘いばかりの言葉も、優しい視線も、どうにも嘘くさいと思ってしまう。
本心の分からない人の心を、一体どうやって信じればいいのだろう。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる