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八年前 そもそもの元凶 (前編)
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八年前・・・僕が十一歳の時だった。
名門貴族であるオルグレン伯爵家に生まれて、両親の愛情以外は何不自由ない人生を送ってきた。物心ついた時から自分は他の人間とは違うという事を認識していた。僕は稀にみる天才だった。
自分の屋敷の書庫の本は七歳の時に読み終え、王城の図書館で数年を費やして九歳の頃にはすべての知識を手に入れた。十一の頃にはその知識を使って様々なアイデアを考えだし、数々の分野の教授に頭を下げられ教えを乞われ、王国の貴重な頭脳だと言われるまでになっていた。
その時にはもう母は療養の為、バルキレーの山奥の城に籠っていた。実際は無理やり幽閉されているというようなものだ。その頃の彼女は精神異常をきたしていて僕に会ってもおかしなことばかりを口走っていた。
僕の能力を羨むものが、僕もいつかああなると陰で嘲笑しているのも知っていた。けれども僕はそれに対して何の感情も抱かなかった。ただ漠然といつかは僕も母のように狂ってしまうのだという思いを抱いていた。それがいつになるか分からないが、必ずそうなるという妙な確信に似たものを持っていた。
二年前に僕の従者になったルークは、僕を妄信していて神か何かのように思っているらしいが、僕は自分で自分の事はよくわかっている。ただ見たことを細部に至るまで一瞬で記憶し、その情報を使ってうまく組み立てるのが上手いだけなのだ。
自身の感情を操る事にも長けていたため、本当の自分の感情というものをいまだかつて持ったことがない。笑うべき時に笑って、怒るべき時に怒る。これは情報と経験から導き出されたその状況に最も適した感情を現すだけで良かった。とはいえ人間は好きではなかったので、殆どの時間を部屋の中で一人で過ごしていた。
そうして僕はいま森を歩いている。うっそうとした森には他に誰も人がおらず、人が通るような道すら五分前に途切れた。木々をかきわけて進むと剥き身の部分の腕や足が枝で擦れて擦り傷を作っていくのがわかる。その痛みすらどうでもいいくらいに僕は人生を無意味なものだと確信していた。
この世界で学ぶものは全て学んだ。周囲の人間を思い通りに操ることが容易にできるようになった。何かを生み出すことにも何の感動も得られない。
この世界はただの箱だ。もう隅々まで見つくしたら後はもう何の興味も持てない。
そうだ、僕は今日森に命を捨てに来た。いずれ狂ってしまい母のように幽閉されるような人生を送るならば、今ここで自身の命を絶ってしまうのも悪くないだろう。森の中でなら僕の死骸は猛獣どもによって跡形もなく食べられてしまうに違いない。惨めな死骸を大衆にさらすことだけは絶対に嫌だった。
その時、誰もいないはずの森の奥の方から、誰かがこっちに向かって走ってくるような音がした。音のした方を振り返る暇もなく、黄色い大きなものが僕にのしかかってきた。
「きゃっ!!!」
僕は地面に倒されて頭を存分に打ちつけた。目を薄っすら開けると、そこには僕の頬まで垂れている金色の髪があって青い目をした少女が僕を怒ったような顔をしてみていた。どうして見知らぬ少女が僕をそんな目で見るのか分からず、しばらくその顔を見ていた。するとその少女は僕の胸倉を掴んで無理やり立たせると、そのまま僕の手をひっつかんで走り出した。
「どうしてあなた、あんなところで横になっているのよっ!!」
君が僕を押し倒したんだろうと、文句を言う暇も与えずに、その少女は僕を引きずるようにして道なき道を、藪をかきわけながら進んでいく。
少女は黄色のドレスを翻して、まるで飛ぶようにして森の中を駆け抜けていった。僕の目の前にあるその黄色のドレスを身にまとった背中は生命力に満ちていて、その上で跳ねている金色の髪は太陽の光に反射して見えないほどに眩しかった。
どうして僕が少女に手を引かれて、こんなに全力で走っているのかといった疑問も何故だか湧いてこなかった。しばらくすると途中で彼女が足を止めて息を切らせながら僕の方を振り向いた。
そのまま無言で彼女は僕ではなく、背後の様子を神経を尖らせて窺っているようだった。
「あの子たちまだ追いかけてきているみたいね。少年、これ持っていて」
そういって見知らぬ少女は僕に小さな茶色のネズミを渡した。そうして地面から大きな枝を拾い上げると、それを振りかぶって前方を見つめている。その顔には緊張感が漂っていた。気を握った腕が震えているのが見えた。
「・・・何が来るんだ・・?」
「野犬よ!!ほら、私の背中に隠れて!!」
藪から出てきた三匹の野犬は、歯を剥いて彼女を威嚇している。その赤い口の中からのぞいている白い鋭い牙からは涎が垂れていて、彼らが怒っていることを知らしめている。唸り声をあげて野犬は少女と睨み合っていた。
互いに一歩も引かない様子だったが、しばらくにらみ合いを続けた後、彼女の一点の迷いもないその迫力に気おされたのか尻尾を垂れると振り返って去っていった。少女は安心したように大きく息をつくと、棒を振り回して喜びを全身で現せた。
「やったわ!ふふふ、誰がこの場のボスなのか分かったみたいね。私の発する殺気が勝ったのよ!私ったらすごいわ、最強ね!」
この状況から考えるに、この少女は野犬たちから彼らの獲物を奪って逃げて来たらしい。馬鹿なことをする女だ。ネズミなんて何億匹といるというのに、そんなものの為に命を張るだなんて馬鹿げている。
「これはあんたのネズミなのか?」
「あなたもしかして馬鹿なの?こんな山奥で野犬に食べられようとしていたネズミが、ピンポイントで私のネズミだっていう可能性は何百万分の一だわ。本当は町に行くはずだったのに何故だか森の中で迷ってしまって、そうしたらこのネズミが野犬に食べられそうになってたから助けてあげたの」
キョトンとした顔をして、目の前の美少女は僕に向かってそんなことをいった。この僕を馬鹿だといった人間はこれまでにただの一人もいなかった。天才だとか有能だとかの賛辞は嫌という程聞いてきたが、侮辱の言葉を面と向かって言われたのは初めてだ。
僕がその場で立ったまま憤っていると、少女はネズミの体を調べて怪我がないのを確かめ、それを満足そうな顔をして森の中に放した。それを見て僕は嘲笑するように言い放った。
「偽善者だな・・・それで命を救った気になっているわけだ。君がこのネズミを野犬から取り上げたせいで野犬は死ぬかもしれない。そういった可能性は考えないのか?」
「そうね、まず私には善意の人になりたい気持ちはないわ。あのネズミが運命の力で死にかけたところを救ったのよ。運命を変えたの。本来はあるはずの無かった未来を、あのネズミに私が与えてあげたのよ。ものすごいことだと思わない?」
そんな発想を持ったことが無かった。偽善者だというのも普通に食物連鎖を考えれば当然の話だから言ったまでで、本気でそう思っている訳でもなかった。でもこの濃い青色をした瞳をキラキラさせて少女が言った言葉。
『運命を変える』
それにどうしようもなく惹かれている自分がいた。それと同時に初めて芽生えた、制御しようとしてもできない自分自身の激しい感情に驚く。
この少女の話をもっと聞いていたい!!
「それにネズミって可愛らしいのよ?よく見てみるととても愛らしい顔をしているのだから・・・。鳴き声だってときめいちゃうくらいにキュートなの」
そういいながら少女はドレスからハンカチを取り出し、まず僕の顔の汗を拭いた。それから自然に自分の頬を流れる汗をぬぐい取る。
その長い白魚の様な指が流れるように動く様は官能的で・・・ハンカチの繊維の中で僕の体液と彼女の体液が混ざっていく光景を見て、思わず腰の方からゾクリと性的な感情が湧いてきたのを感じた。
それは僕にとって初めて味わう発情という感情だった。
名門貴族であるオルグレン伯爵家に生まれて、両親の愛情以外は何不自由ない人生を送ってきた。物心ついた時から自分は他の人間とは違うという事を認識していた。僕は稀にみる天才だった。
自分の屋敷の書庫の本は七歳の時に読み終え、王城の図書館で数年を費やして九歳の頃にはすべての知識を手に入れた。十一の頃にはその知識を使って様々なアイデアを考えだし、数々の分野の教授に頭を下げられ教えを乞われ、王国の貴重な頭脳だと言われるまでになっていた。
その時にはもう母は療養の為、バルキレーの山奥の城に籠っていた。実際は無理やり幽閉されているというようなものだ。その頃の彼女は精神異常をきたしていて僕に会ってもおかしなことばかりを口走っていた。
僕の能力を羨むものが、僕もいつかああなると陰で嘲笑しているのも知っていた。けれども僕はそれに対して何の感情も抱かなかった。ただ漠然といつかは僕も母のように狂ってしまうのだという思いを抱いていた。それがいつになるか分からないが、必ずそうなるという妙な確信に似たものを持っていた。
二年前に僕の従者になったルークは、僕を妄信していて神か何かのように思っているらしいが、僕は自分で自分の事はよくわかっている。ただ見たことを細部に至るまで一瞬で記憶し、その情報を使ってうまく組み立てるのが上手いだけなのだ。
自身の感情を操る事にも長けていたため、本当の自分の感情というものをいまだかつて持ったことがない。笑うべき時に笑って、怒るべき時に怒る。これは情報と経験から導き出されたその状況に最も適した感情を現すだけで良かった。とはいえ人間は好きではなかったので、殆どの時間を部屋の中で一人で過ごしていた。
そうして僕はいま森を歩いている。うっそうとした森には他に誰も人がおらず、人が通るような道すら五分前に途切れた。木々をかきわけて進むと剥き身の部分の腕や足が枝で擦れて擦り傷を作っていくのがわかる。その痛みすらどうでもいいくらいに僕は人生を無意味なものだと確信していた。
この世界で学ぶものは全て学んだ。周囲の人間を思い通りに操ることが容易にできるようになった。何かを生み出すことにも何の感動も得られない。
この世界はただの箱だ。もう隅々まで見つくしたら後はもう何の興味も持てない。
そうだ、僕は今日森に命を捨てに来た。いずれ狂ってしまい母のように幽閉されるような人生を送るならば、今ここで自身の命を絶ってしまうのも悪くないだろう。森の中でなら僕の死骸は猛獣どもによって跡形もなく食べられてしまうに違いない。惨めな死骸を大衆にさらすことだけは絶対に嫌だった。
その時、誰もいないはずの森の奥の方から、誰かがこっちに向かって走ってくるような音がした。音のした方を振り返る暇もなく、黄色い大きなものが僕にのしかかってきた。
「きゃっ!!!」
僕は地面に倒されて頭を存分に打ちつけた。目を薄っすら開けると、そこには僕の頬まで垂れている金色の髪があって青い目をした少女が僕を怒ったような顔をしてみていた。どうして見知らぬ少女が僕をそんな目で見るのか分からず、しばらくその顔を見ていた。するとその少女は僕の胸倉を掴んで無理やり立たせると、そのまま僕の手をひっつかんで走り出した。
「どうしてあなた、あんなところで横になっているのよっ!!」
君が僕を押し倒したんだろうと、文句を言う暇も与えずに、その少女は僕を引きずるようにして道なき道を、藪をかきわけながら進んでいく。
少女は黄色のドレスを翻して、まるで飛ぶようにして森の中を駆け抜けていった。僕の目の前にあるその黄色のドレスを身にまとった背中は生命力に満ちていて、その上で跳ねている金色の髪は太陽の光に反射して見えないほどに眩しかった。
どうして僕が少女に手を引かれて、こんなに全力で走っているのかといった疑問も何故だか湧いてこなかった。しばらくすると途中で彼女が足を止めて息を切らせながら僕の方を振り向いた。
そのまま無言で彼女は僕ではなく、背後の様子を神経を尖らせて窺っているようだった。
「あの子たちまだ追いかけてきているみたいね。少年、これ持っていて」
そういって見知らぬ少女は僕に小さな茶色のネズミを渡した。そうして地面から大きな枝を拾い上げると、それを振りかぶって前方を見つめている。その顔には緊張感が漂っていた。気を握った腕が震えているのが見えた。
「・・・何が来るんだ・・?」
「野犬よ!!ほら、私の背中に隠れて!!」
藪から出てきた三匹の野犬は、歯を剥いて彼女を威嚇している。その赤い口の中からのぞいている白い鋭い牙からは涎が垂れていて、彼らが怒っていることを知らしめている。唸り声をあげて野犬は少女と睨み合っていた。
互いに一歩も引かない様子だったが、しばらくにらみ合いを続けた後、彼女の一点の迷いもないその迫力に気おされたのか尻尾を垂れると振り返って去っていった。少女は安心したように大きく息をつくと、棒を振り回して喜びを全身で現せた。
「やったわ!ふふふ、誰がこの場のボスなのか分かったみたいね。私の発する殺気が勝ったのよ!私ったらすごいわ、最強ね!」
この状況から考えるに、この少女は野犬たちから彼らの獲物を奪って逃げて来たらしい。馬鹿なことをする女だ。ネズミなんて何億匹といるというのに、そんなものの為に命を張るだなんて馬鹿げている。
「これはあんたのネズミなのか?」
「あなたもしかして馬鹿なの?こんな山奥で野犬に食べられようとしていたネズミが、ピンポイントで私のネズミだっていう可能性は何百万分の一だわ。本当は町に行くはずだったのに何故だか森の中で迷ってしまって、そうしたらこのネズミが野犬に食べられそうになってたから助けてあげたの」
キョトンとした顔をして、目の前の美少女は僕に向かってそんなことをいった。この僕を馬鹿だといった人間はこれまでにただの一人もいなかった。天才だとか有能だとかの賛辞は嫌という程聞いてきたが、侮辱の言葉を面と向かって言われたのは初めてだ。
僕がその場で立ったまま憤っていると、少女はネズミの体を調べて怪我がないのを確かめ、それを満足そうな顔をして森の中に放した。それを見て僕は嘲笑するように言い放った。
「偽善者だな・・・それで命を救った気になっているわけだ。君がこのネズミを野犬から取り上げたせいで野犬は死ぬかもしれない。そういった可能性は考えないのか?」
「そうね、まず私には善意の人になりたい気持ちはないわ。あのネズミが運命の力で死にかけたところを救ったのよ。運命を変えたの。本来はあるはずの無かった未来を、あのネズミに私が与えてあげたのよ。ものすごいことだと思わない?」
そんな発想を持ったことが無かった。偽善者だというのも普通に食物連鎖を考えれば当然の話だから言ったまでで、本気でそう思っている訳でもなかった。でもこの濃い青色をした瞳をキラキラさせて少女が言った言葉。
『運命を変える』
それにどうしようもなく惹かれている自分がいた。それと同時に初めて芽生えた、制御しようとしてもできない自分自身の激しい感情に驚く。
この少女の話をもっと聞いていたい!!
「それにネズミって可愛らしいのよ?よく見てみるととても愛らしい顔をしているのだから・・・。鳴き声だってときめいちゃうくらいにキュートなの」
そういいながら少女はドレスからハンカチを取り出し、まず僕の顔の汗を拭いた。それから自然に自分の頬を流れる汗をぬぐい取る。
その長い白魚の様な指が流れるように動く様は官能的で・・・ハンカチの繊維の中で僕の体液と彼女の体液が混ざっていく光景を見て、思わず腰の方からゾクリと性的な感情が湧いてきたのを感じた。
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・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
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