その花びらが光るとき

もちごめ

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 そんなことを考えながら目の前の様子を微笑ましく眺めていたら、ふと隣から私に向けられている視線を感じた。
 振り向けばエルストさんと目が合う。

「これ、いただけますか?」
 お守りを乗せた手のひらを私に向ける。

「え、それを? いえ、また新しいのを作ります!」
「いいえ、これがいいんです。もともと私のために作ってくれたものですよね? そして、あなたの命を救ったもの。このお守りを私が持っていたいんです。だから、私にくれますか?」

 そうだった。それは、エルストさんにあげるために作ったことをさっき私が喋ったのだった。
「はい。エルストさんのために作ったものです。それでよかったらどうぞ貰ってください。でも、今度また新しいのも作るので、それも貰って欲しいです」
「ありがとうございます」

 凄く嬉しそうに、そして今まで見たこともないキラキラしい満面の笑みを向ける。

 その笑顔にドキッとした。


 赤くなる顔をちょっと下に向けながらも、エルストさんをよくよく見ると、今日もまたあの時と同じ白い騎士服を着ている。


 実は今日ここに集まった時に聞いたのだが、エルストさんは宰相であるお父さんの仕事を覚えるために補佐をやっているのであって、本当は騎士団の団長が本職? だったのだ。
  
 騎士団の団長。
 それであの強さだったんだ。納得。


 それにしても昨日は月明かりの下だったから妖艶さの漂うの格好良さだったけれど、今、太陽の下で見るエルストさんは銀の髪と白い騎士服が太陽の光を受けて明るくキラキラと光っている。また柔らかい表情で佇んでいるのもすごくマッチしていて、格好良さが際立っている。

 ものすごく格好いい。

 その姿を見たら余計に顔に熱がこもるのを感じる。

 チラリと顔を見たら、私をずっと見ていたらしいエルストさんとまた目が合う。

「どうしました?」

 若干、性格まで変わっているように思う。

 今までだったら、クールに意地悪く笑うことが多かったのに、さっきから爽やかさ全開でなんだか、赤くなるのが止まらなくて非常に困るのだが。
 
 エルストさんってこんな人だったんだ。

 赤い顔をまじまじと見られるのが恥ずかしくて手で覆いながら隠していたのだが、ふとあることを思いだして、口を開く。

「そういえば、あの、おそくなりましたが、助けに来てくださりありがとうございました。それと、もう一度王家の森に連れて行っては貰えませんか? もう一度やらせてください」


 次は絶対に失敗しないと思う。
 だって、私の心はここにあるのだから。


 私の言葉にさっきと同じに朗らかに笑ってくれている。

「わかりました。ローランス王太子殿下に聞いてみて、明日にでも行きましょうか」

「はい」

 ローランス王子は正式に王太子になって、時期国王に決まった。

 あの人なら、この国を良い方向へと導いてくれると思う。


 明日。

 明日私はこの国で私の運命と向き合うーー。
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