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繊細でくすぐったすぎる、セラピストの技
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──それは、音もなく忍び寄る気配だった。
くすぐられると分かっているのに、どこに触れられるか分からない。
それが、茜の身体をより敏感に、より研ぎ澄まされた状態へと変えていく。
「では……ここからは、くすぐりの“質”を、少しだけ変えていきますね」
佐伯の声が柔らかく響いた次の瞬間。
茜の肋骨の下端に沿って、一本の指がゆっくりとなぞる。
──ぞわっ。
「……んっ……ひゃっ……あっ……ふふっ……!」
わずかに触れるだけのくすぐり。だが、その遅く繊細な動きが、笑いとは違う“身悶え”を引き起こす。
池尾は茜のかかとの内側に両手の親指を滑らせる。
そのまま親指で小さな円を描きながら、土踏まずの縁へ――
さらに足指の腹を爪先でカリッと引っかくように這わせる。
「ふっ……はぁっ……あっ、あはは……ひゃ、くすぐっ……いっ、だめっ……!」
笑いとともに、呼吸が短くなり、声が途切れる。
だが池尾は、茜の“逃げたがる足”を軽く抑えつつ、親指で指の間をくすぐりぬくように上下に撫でる。
「焦らず、焦らず……じっくりいきましょうね」
「これまでに触れられたことのない場所まで、ゆっくり案内して差し上げます」
佐伯は、茜の二の腕の内側を、手のひらで包み込むように撫で、指先をくすぐるように微振動させる。
そのまま指を広げ、肘の内側に沿ってなぞりながら、時折爪を立てて微細なくすぐりを加える。
「ふふっ……ひゃっ、やあっ……そこ、だめっ、笑っちゃ……あはははっ!」
茜の笑い声はだんだんと高くなり、笑いというよりは身体の芯から溢れ出る歓喜の叫びのようになっていく。
自らくすぐられる身体に身を任せ、快感と混乱の海に沈んでいく。
池尾の指は再び足指へ。
人差し指と中指で挟み込むように足指をつまみ、指先から爪先へゆっくりと“撫で上げる”。
その間、親指で足の甲をリズミカルにトントン、と刺激して――
指の一本一本に、異なるリズムでくすぐりを与える。
佐伯は、茜の脇の下に指を軽く差し入れ、まず手のひらで圧を与えてから、指先で円を描くようにゆっくり撫でる。
茜の体は反射的に逃れようとした。
だが逃れられず、ただただ、笑いの波に打たれ続ける。
「……あはっ、あははっ……わ、わたし……っ、もう……なんにも考えられ、な……っふふふっ……!」
「そう、それでいいんです。くすぐったさだけが、今の茜さんの“真実”です」
「私たちは、それを大切にしています。決して、乱暴にはしませんから」
くすぐりは激しくはない。だが、緩やかで、逃げられない。
“止めて”と声に出してしまいそうになるが、どこかで「もっと続けて」と思っている。
茜の心と身体は、矛盾の中で幸福に揺られていた。
指先は語る。
「あなたは、ここにいていい」
「何も考えず、ただ感じていい」
「笑っていい。甘えていい。逃げなくていい」
くすぐりとは、慈愛なのだ。
くすぐられると分かっているのに、どこに触れられるか分からない。
それが、茜の身体をより敏感に、より研ぎ澄まされた状態へと変えていく。
「では……ここからは、くすぐりの“質”を、少しだけ変えていきますね」
佐伯の声が柔らかく響いた次の瞬間。
茜の肋骨の下端に沿って、一本の指がゆっくりとなぞる。
──ぞわっ。
「……んっ……ひゃっ……あっ……ふふっ……!」
わずかに触れるだけのくすぐり。だが、その遅く繊細な動きが、笑いとは違う“身悶え”を引き起こす。
池尾は茜のかかとの内側に両手の親指を滑らせる。
そのまま親指で小さな円を描きながら、土踏まずの縁へ――
さらに足指の腹を爪先でカリッと引っかくように這わせる。
「ふっ……はぁっ……あっ、あはは……ひゃ、くすぐっ……いっ、だめっ……!」
笑いとともに、呼吸が短くなり、声が途切れる。
だが池尾は、茜の“逃げたがる足”を軽く抑えつつ、親指で指の間をくすぐりぬくように上下に撫でる。
「焦らず、焦らず……じっくりいきましょうね」
「これまでに触れられたことのない場所まで、ゆっくり案内して差し上げます」
佐伯は、茜の二の腕の内側を、手のひらで包み込むように撫で、指先をくすぐるように微振動させる。
そのまま指を広げ、肘の内側に沿ってなぞりながら、時折爪を立てて微細なくすぐりを加える。
「ふふっ……ひゃっ、やあっ……そこ、だめっ、笑っちゃ……あはははっ!」
茜の笑い声はだんだんと高くなり、笑いというよりは身体の芯から溢れ出る歓喜の叫びのようになっていく。
自らくすぐられる身体に身を任せ、快感と混乱の海に沈んでいく。
池尾の指は再び足指へ。
人差し指と中指で挟み込むように足指をつまみ、指先から爪先へゆっくりと“撫で上げる”。
その間、親指で足の甲をリズミカルにトントン、と刺激して――
指の一本一本に、異なるリズムでくすぐりを与える。
佐伯は、茜の脇の下に指を軽く差し入れ、まず手のひらで圧を与えてから、指先で円を描くようにゆっくり撫でる。
茜の体は反射的に逃れようとした。
だが逃れられず、ただただ、笑いの波に打たれ続ける。
「……あはっ、あははっ……わ、わたし……っ、もう……なんにも考えられ、な……っふふふっ……!」
「そう、それでいいんです。くすぐったさだけが、今の茜さんの“真実”です」
「私たちは、それを大切にしています。決して、乱暴にはしませんから」
くすぐりは激しくはない。だが、緩やかで、逃げられない。
“止めて”と声に出してしまいそうになるが、どこかで「もっと続けて」と思っている。
茜の心と身体は、矛盾の中で幸福に揺られていた。
指先は語る。
「あなたは、ここにいていい」
「何も考えず、ただ感じていい」
「笑っていい。甘えていい。逃げなくていい」
くすぐりとは、慈愛なのだ。
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