くすぐりセラピー

文字の大きさ
6 / 16

『限界突破のくすぐり解放セッション ― 三重奏(トリオ)の悦楽』

しおりを挟む

セッションルームは、ほのかにラベンダーとオレンジの香りが漂っていた。
柔らかな照明、低く流れるヒーリングミュージック。けれど、その静謐な空間の奥に、微かに緊張と興奮が混じっている。

茜は、特別なベッドに仰向けに横たわっていた。
両手は頭の上、脚はやや開かれ、しなやかな拘束具で留められている。まるで“花束”のように。

池尾セラピストがそっと声をかける。
「茜さん……本日は、あなた自身がご希望された“限界の先”にご案内します。準備は、よろしいですか?」

茜は小さく頷く。
その瞳はほんのり涙ぐみながらも、確かな意志に光っていた。

佐伯セラピストが、茜の足元に膝をつく。「じゃあ、始めるね……」
そして、もう一人――第三のセラピスト、穏やかで美しい笑顔をした長身の女性・水無瀬が、静かに背後から茜の脇へと手を添えた。

指先が、動き出す。
最初は、脇腹にそっと忍ばせるように。指の腹で、そろそろとくすぐる。
それと同時に、足の裏へ滑り込んでいく指たち。足指の付け根を、円を描くように撫でる。
さらに、池尾の手が茜の膝裏へと伸びる。内腿をすべりながら、絶妙な速さと圧で、皮膚をさざ波のように揺らしていく。

「ん、っ……ふっ、あ、あははっ、く、くすぐった……やっ、やだ……あ、ふふっ、ふあっ……あはははっ!」

茜の笑い声が、ひときわ高く弾けた。
両脇が責められながら、足の裏と膝裏が絶え間なく刺激される。呼吸が追いつかない。くすぐったさの波が、途切れなく押し寄せる。
とくに水無瀬の指は、ただ“上手”なだけではなかった。
まるで茜の呼吸や微細な動きを読むように、追い詰め、逃がさず、慈しむようにくすぐる。

「もう、あ、ふふふっ、やっ……! だめっ、ほんとに……あははははっ!」

声も涙も止まらない。
けれど、それは決して苦しみではなかった。
日常の思考も、肩書きも、責任も、今この瞬間だけは何ひとつ要らない。
笑い、身を任せ、感覚の奔流に没入する――それが、どれほど自由なことか。

三人の指は、それぞれ異なる“旋律”を持っていた。
池尾は滑らかで撫でるような優雅なリズム。佐伯は予測のつかないフェイントと突き上げ。水無瀬は、静かで深く、核心に触れるような的確さ。

それらが、ひとつの“くすぐりの交響曲”を奏でている。
茜の身体が、笑いと涙のまま、その旋律にゆだねられていく。

「もう……っ、だめぇ……だめなのに……あはっ、ふぁ、あっ……! なに、これ、こんな……こんなの……!」

言葉は意味を成さず、笑いと声が混じっていく。
指が、足指の間を這い、脇腹の裏側を責め、太腿の内側をなぞるたびに、茜の身体は甘く跳ねる。

やがて――
全身が、呼吸も声も追いつかぬほどの幸福に満たされていった。

時間が止まったかのように、
ただただ笑って、泣いて、甘えて、委ねて、
そして最後に訪れたのは――深い、深い静寂だった。

水無瀬が、ゆっくりと茜の額に手を当てる。
「……茜さん、よく頑張りましたね。あなたの“全部”を、わたしたち、ちゃんと受け止めました」

目を開けた茜の瞳は、潤んでいた。
けれどその表情は、まるで生まれ変わったように澄んでいた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

乳首当てゲーム

はこスミレ
恋愛
会社の同僚に、思わず口に出た「乳首当てゲームしたい」という独り言を聞かれた話。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...