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くすぐったい、けど気持ちいい
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あたたかな光に包まれた室内で、彩華は脱力したまま仰向けに横たわっていた。
笑い疲れた身体は汗ばんでおり、肌は呼吸をしているように敏感に反応していた。
池尾と佐伯――ふたりのセラピストは、そんな彩華の状態を深く見極めながら、
次の“旋律”の準備を始める。
「彩華さん。ここからは、私たちふたりで、もっと細やかに奏でていきますね」
「あなたの中に眠っていた感覚を、そっと起こして差し上げます」
ふたりは、彩華の身体の左右へと分かれる。
池尾は右から、佐伯は左から。
まるで一枚の絹を織るように、ふたりの手のひらと指が、交互に、あるいは重なり合って、彩華の肌を撫で始めた。
――首筋。
池尾の指先が、耳の後ろを撫でるようにゆっくりと滑り込む。
そのくすぐったさは、まるで羽根で触れられているかのように淡く、
けれど深く――彩華の喉の奥から、くすぐったい吐息がもれた。
「んっ…ふふっ、そ、そこ……」
「首は、気持ちいいですよね。彩華さん、よく感じてくださってる」
――脇の下。
佐伯の指は、じっと脇に添えたまま、ほとんど動かさず、
皮膚のすぐ下にある筋の流れを感じるように、圧をかけずに滑らせる。
その繊細さが、逆に神経を集中させてしまい、彩華の笑いは堪えきれなくなる。
「あっ、あははっ、な、なんで、そんな、ふるえるような…ふふっ…っ!」
「ここの筋肉が、反応してますね。もう少しだけ…」
そして、次第に指は踊るように軽く弾み始める。
くすぐりというよりも、肌の上で踊るピアニッシモの旋律。
彩華の身体はビクビクと跳ねながら、それでもどこかうっとりとした緩みを見せていた。
――お腹と腰。
池尾の手がそっと腹部へ。
指先が円を描きながら、おへその縁をやさしく撫でてゆく。
「くすぐったさって、怖くないんです。受け入れてみてくださいね…」
池尾の声が、静かに囁く。
その瞬間、彩華の内側で何かが“ほどけた”。
緊張の糸がふわりと切れて、
笑い声が、口元からこぼれ落ちる。
「やぁっ…ふふっ、ふははっ、んんっ、くすぐったいのに、気持ちよくて…やめないで…」
――背中。
佐伯は、彩華をそっと横向きにさせ、背中に回り込む。
肩甲骨の下あたり、指の腹を用いて、ゆっくり、繊細に円を描くようになぞっていく。
くすぐりの意図を悟らせないほどのソフトなタッチ。
「ここの反応も、すごく綺麗です。どうしてこんなに、素直に響いてくださるのかしら…」
「彩華さんの音色、まるでガラスの鈴のように、澄んでいて…素敵」
――太もも、膝の裏、ふくらはぎ。
池尾の指が下肢をたどる。
太ももの内側をくすぐるような撫で方で、少しずつ上へ――
膝の裏をふとつついた瞬間、彩華は小さく跳ねた。
「あっ、そこ…だめっ、ふふっ…っ! もう、だめぇ…!」
「だめと言いつつ、逃げないのですね。かわいらしい…」と、池尾は優しく微笑む。
ふたりのセラピストは、もう“くすぐる”というよりも、“愛でて”いた。
彩華という楽器を、全身で奏でながら、
彼女の笑いという旋律を、幾重にも重ねて、
より美しく、より深く、響かせていた。
笑い疲れた身体は汗ばんでおり、肌は呼吸をしているように敏感に反応していた。
池尾と佐伯――ふたりのセラピストは、そんな彩華の状態を深く見極めながら、
次の“旋律”の準備を始める。
「彩華さん。ここからは、私たちふたりで、もっと細やかに奏でていきますね」
「あなたの中に眠っていた感覚を、そっと起こして差し上げます」
ふたりは、彩華の身体の左右へと分かれる。
池尾は右から、佐伯は左から。
まるで一枚の絹を織るように、ふたりの手のひらと指が、交互に、あるいは重なり合って、彩華の肌を撫で始めた。
――首筋。
池尾の指先が、耳の後ろを撫でるようにゆっくりと滑り込む。
そのくすぐったさは、まるで羽根で触れられているかのように淡く、
けれど深く――彩華の喉の奥から、くすぐったい吐息がもれた。
「んっ…ふふっ、そ、そこ……」
「首は、気持ちいいですよね。彩華さん、よく感じてくださってる」
――脇の下。
佐伯の指は、じっと脇に添えたまま、ほとんど動かさず、
皮膚のすぐ下にある筋の流れを感じるように、圧をかけずに滑らせる。
その繊細さが、逆に神経を集中させてしまい、彩華の笑いは堪えきれなくなる。
「あっ、あははっ、な、なんで、そんな、ふるえるような…ふふっ…っ!」
「ここの筋肉が、反応してますね。もう少しだけ…」
そして、次第に指は踊るように軽く弾み始める。
くすぐりというよりも、肌の上で踊るピアニッシモの旋律。
彩華の身体はビクビクと跳ねながら、それでもどこかうっとりとした緩みを見せていた。
――お腹と腰。
池尾の手がそっと腹部へ。
指先が円を描きながら、おへその縁をやさしく撫でてゆく。
「くすぐったさって、怖くないんです。受け入れてみてくださいね…」
池尾の声が、静かに囁く。
その瞬間、彩華の内側で何かが“ほどけた”。
緊張の糸がふわりと切れて、
笑い声が、口元からこぼれ落ちる。
「やぁっ…ふふっ、ふははっ、んんっ、くすぐったいのに、気持ちよくて…やめないで…」
――背中。
佐伯は、彩華をそっと横向きにさせ、背中に回り込む。
肩甲骨の下あたり、指の腹を用いて、ゆっくり、繊細に円を描くようになぞっていく。
くすぐりの意図を悟らせないほどのソフトなタッチ。
「ここの反応も、すごく綺麗です。どうしてこんなに、素直に響いてくださるのかしら…」
「彩華さんの音色、まるでガラスの鈴のように、澄んでいて…素敵」
――太もも、膝の裏、ふくらはぎ。
池尾の指が下肢をたどる。
太ももの内側をくすぐるような撫で方で、少しずつ上へ――
膝の裏をふとつついた瞬間、彩華は小さく跳ねた。
「あっ、そこ…だめっ、ふふっ…っ! もう、だめぇ…!」
「だめと言いつつ、逃げないのですね。かわいらしい…」と、池尾は優しく微笑む。
ふたりのセラピストは、もう“くすぐる”というよりも、“愛でて”いた。
彩華という楽器を、全身で奏でながら、
彼女の笑いという旋律を、幾重にも重ねて、
より美しく、より深く、響かせていた。
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