陣代『諏訪勝頼』――御旗盾無、御照覧あれ!――

黒鯛の刺身♪

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第一話……出自と家柄

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天文15年(1546年)に、勝頼は武田信玄の四男として生を受ける。

 しかし、その身分は低かった。



 勝頼の母が側室というだけでなく、武田からすれば敵将の娘だったのだ。



 それに比べ、嫡男の義信の母は正室であり、時の左大臣、三条公頼の娘である。



 ちなみに、この三条夫人の妹は、本願寺顕如の正妻である。

 ……つまり、信玄と顕如は義理の兄弟ともいえる。



 勝頼は生まれながらにして、武田の姓を名乗ることが許されない身分だったのだ。

 元服すると、信濃の名族である諏訪氏の名跡を継ぐ。

 諏訪氏は勝頼の母の生家であった。



 勝頼の異母弟、盛信も同じように信濃の名族である仁科氏を継ぐのであるが、より重要なのは、義信や盛信は武田氏の伝統の諱である『信』の字を貰ったが、勝頼は貰えなかったと言う点である。



 これは勝頼が如何に武田家で地位が低かったかという証左でしかない。



 ちなみに、信玄の諱は『晴信』であり、この『晴』は12代将軍である足利義晴から賜った。

 また、勝頼の兄の『義信』の『義』は、時の将軍である足利義輝からの賜ったのである。



 このことから見ても、如何に勝頼が武田家家中で、期待されない立場であるかが窺い知れるのである。



 しかし、永禄10年(1967年)。

 信玄の駿河侵攻政策に、嫡子義信が強固に反対。



 そのために、義信は廃嫡され、なんと後嗣として浮上したのは、一介の御親族衆でしかなかった諏訪勝頼だったのだ。



☆★☆★☆



 人物コラム『武田義信』



 諏訪勝頼の異母兄。



 信玄の嫡男であったが、信玄の今川領である駿河侵攻政策に強固に反対する。

 それもそのはず、彼の正妻は今川義元の娘である。



 信玄によって東光寺に幽閉され、自刃。

 享年30。
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