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07.懸念事項
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婚約者である令嬢たちの断罪が攻略対象の愚かさによるものであれば、そこは各家の教育で修正していただくことで対応は可能かと思いますので、そう申し上げます。
「であれば、その残りの3人を私の側近候補として召し上げ、厳しく躾いたしましょう」
瞳に剣呑な光を宿し、いい笑顔で殿下が仰います。あら? 殿下、いつの間に腹黒策士属性を身に着けられましたの? 策士属性はお兄様の担当ですのに。
「問題は主人公がわたくしと同じようにゲームの記憶を持つ転生者だった場合ですわ」
そう、前世の創作物で悪役令嬢が転生者だった場合、かなりの高確率でヒロインも転生者でした。そしてその転生ヒロインはお花畑乙女ゲーム脳であるケースが多くございました。転生した世界を現実とは認めず、ゲームのシナリオ通りに攻略を進めようとするのです。
殿下やお兄様、わたくし、5大公爵家の子息令嬢の立ち位置や性格がゲームと異なっている時点で、ヒロインであれば乙女ゲーム通りのルートは成立せず、ノーマルエンドになると思われますの。でも、転生ヒロインであった場合、無理矢理にもシナリオ通りの展開を作り出す可能性がございます。
それに乙女ゲームの強制力というものが働く可能性もございますわ。シナリオ開始と共に殿下方攻略対象が変わってしまわれる可能性も考えられます。ゲームの展開に添うように行動の意味と意図と結果が捻じ曲げられることもございます。
ウェブ小説あるあるなゲームの強制力や転生ヒロインの典型的な行動とその影響・被害をお伝えすると、皆様なんともしょっぱい顔をなさいました。
乙女ゲームヒロインに振り回される王侯貴族の子息も情けなく有り得ないものですけれど、転生ヒロインに翻弄される子息にも呆れ果てるというところでしょうか。情けない……と思われるのでしょうね。王族や貴族の責任と役割をきちんと理解していれば絶対に取らない行動ですもの。
「強制力とやらが働くかどうかは判らぬが……その範囲は攻略対象や婚約者だけか?」
「判りませんわ。けれど学院が舞台のゲームでございますから、ゲームに登場しない陛下や妃殿下、お父様、お母様、弟たちは影響を受けないかもしれません」
ゲームでは全てが学院内で完結いたします。だからならず者を雇ったり刺客を放ったりなんてこともございませんでした。精々イベントで城下町デートがあるくらいでしたわね。
「であれば、そなたたちが学院に入学した時点でそれぞれに王家の影をつけよう。それから本人にも毎日行動の報告を義務付けよう。そこでおかしなことがあれば対処する」
「父上、在学中はブランと私は常に一緒に行動するようにします。別行動を私が取るようであればそれは強制力か何かの陰謀が働いていると考えられましょう」
陛下のお言葉に殿下も頷かれ更に提案なさいます。殿下とずっと一緒ですか。嬉しいですわ。でも御不浄のときはいかがいたしましょう。恥ずかしいですわ。
「そのヒロインとやらは貴族の常識とマナーを弁えていないのでしたわね。いっそ学院の入学資格試験にその2つを盛り込みましょうか。そうすれば入学を阻止できますわ」
王妃殿下が仰います。それはゲームを始めさせないということですわね。根本からの否定、ある意味究極の解決策でしょうか。
ですが、学院は貴族のためだけの学び舎ではございません。平民も通いますのでそれは難しゅうございますね。
「攻略対象を全て留学させるという手もございますわ、妃殿下。ヒロインとやらが入学しても攻略対象がいなければ何も起こりませんでしょう?」
お母様も提案なさいます。ですが、お母様、近隣諸国で学問が一番進んでいるのは我が国ですわ。流石に留学というのは現実的ではない気がいたします。
「では、上位貴族のための学院を別に設立して我らはそこに通うというのは?」
殿下、それは無理がありすぎます。上位貴族だけの学院なんて少人数過ぎて成り立たないのではございませんか? それに5年以内に設立するとなれば準備が間に合わないのではないでしょうか。
結局どの案も現実的には難しいと陛下が却下なさいました。ある意味これらが不可能であることもゲームを開始させるための強制力であるのかもしれませんわね。
ともかく、わたくしは持てる全ての情報を陛下方にお伝えし、国家の混乱を招かぬように出来る限りの対応を取るということになりました。
そう、国家の混乱。ですので、殿下と5大公爵家嫡男のお兄様以外の攻略対象は好きにしろということでございますわね……。
「ブラン、重ねて言うけれど、私が君以外を愛することはないよ。私たちにはこれまで積み重ねてきた愛と信頼がある。私を信じて。もし私が強制力によって愚かな行動をとるならば、殴ってでも蹴り飛ばしてでも私を正気に戻してほしい」
「リック様、わたくしも心からお慕い申し上げておりますわ。ですから、わたくしが愚かにも悪役令嬢となりましたら、叱り飛ばしてくださいませ。目を覚ませと」
「嫉妬ゆえにそうなるのであれば嬉しいかもしれないね。けれどそのときは何も心配いらないと判るように私の愛をその身にたっぷりと教えてあげよう」
そんな会話を繰り広げるわたくしたちを両親や陛下方が生ぬるい目で見ておられることには気づきませんでした。
というか、殿下、仰る内容が10歳児とは思えませんわね……。
「であれば、その残りの3人を私の側近候補として召し上げ、厳しく躾いたしましょう」
瞳に剣呑な光を宿し、いい笑顔で殿下が仰います。あら? 殿下、いつの間に腹黒策士属性を身に着けられましたの? 策士属性はお兄様の担当ですのに。
「問題は主人公がわたくしと同じようにゲームの記憶を持つ転生者だった場合ですわ」
そう、前世の創作物で悪役令嬢が転生者だった場合、かなりの高確率でヒロインも転生者でした。そしてその転生ヒロインはお花畑乙女ゲーム脳であるケースが多くございました。転生した世界を現実とは認めず、ゲームのシナリオ通りに攻略を進めようとするのです。
殿下やお兄様、わたくし、5大公爵家の子息令嬢の立ち位置や性格がゲームと異なっている時点で、ヒロインであれば乙女ゲーム通りのルートは成立せず、ノーマルエンドになると思われますの。でも、転生ヒロインであった場合、無理矢理にもシナリオ通りの展開を作り出す可能性がございます。
それに乙女ゲームの強制力というものが働く可能性もございますわ。シナリオ開始と共に殿下方攻略対象が変わってしまわれる可能性も考えられます。ゲームの展開に添うように行動の意味と意図と結果が捻じ曲げられることもございます。
ウェブ小説あるあるなゲームの強制力や転生ヒロインの典型的な行動とその影響・被害をお伝えすると、皆様なんともしょっぱい顔をなさいました。
乙女ゲームヒロインに振り回される王侯貴族の子息も情けなく有り得ないものですけれど、転生ヒロインに翻弄される子息にも呆れ果てるというところでしょうか。情けない……と思われるのでしょうね。王族や貴族の責任と役割をきちんと理解していれば絶対に取らない行動ですもの。
「強制力とやらが働くかどうかは判らぬが……その範囲は攻略対象や婚約者だけか?」
「判りませんわ。けれど学院が舞台のゲームでございますから、ゲームに登場しない陛下や妃殿下、お父様、お母様、弟たちは影響を受けないかもしれません」
ゲームでは全てが学院内で完結いたします。だからならず者を雇ったり刺客を放ったりなんてこともございませんでした。精々イベントで城下町デートがあるくらいでしたわね。
「であれば、そなたたちが学院に入学した時点でそれぞれに王家の影をつけよう。それから本人にも毎日行動の報告を義務付けよう。そこでおかしなことがあれば対処する」
「父上、在学中はブランと私は常に一緒に行動するようにします。別行動を私が取るようであればそれは強制力か何かの陰謀が働いていると考えられましょう」
陛下のお言葉に殿下も頷かれ更に提案なさいます。殿下とずっと一緒ですか。嬉しいですわ。でも御不浄のときはいかがいたしましょう。恥ずかしいですわ。
「そのヒロインとやらは貴族の常識とマナーを弁えていないのでしたわね。いっそ学院の入学資格試験にその2つを盛り込みましょうか。そうすれば入学を阻止できますわ」
王妃殿下が仰います。それはゲームを始めさせないということですわね。根本からの否定、ある意味究極の解決策でしょうか。
ですが、学院は貴族のためだけの学び舎ではございません。平民も通いますのでそれは難しゅうございますね。
「攻略対象を全て留学させるという手もございますわ、妃殿下。ヒロインとやらが入学しても攻略対象がいなければ何も起こりませんでしょう?」
お母様も提案なさいます。ですが、お母様、近隣諸国で学問が一番進んでいるのは我が国ですわ。流石に留学というのは現実的ではない気がいたします。
「では、上位貴族のための学院を別に設立して我らはそこに通うというのは?」
殿下、それは無理がありすぎます。上位貴族だけの学院なんて少人数過ぎて成り立たないのではございませんか? それに5年以内に設立するとなれば準備が間に合わないのではないでしょうか。
結局どの案も現実的には難しいと陛下が却下なさいました。ある意味これらが不可能であることもゲームを開始させるための強制力であるのかもしれませんわね。
ともかく、わたくしは持てる全ての情報を陛下方にお伝えし、国家の混乱を招かぬように出来る限りの対応を取るということになりました。
そう、国家の混乱。ですので、殿下と5大公爵家嫡男のお兄様以外の攻略対象は好きにしろということでございますわね……。
「ブラン、重ねて言うけれど、私が君以外を愛することはないよ。私たちにはこれまで積み重ねてきた愛と信頼がある。私を信じて。もし私が強制力によって愚かな行動をとるならば、殴ってでも蹴り飛ばしてでも私を正気に戻してほしい」
「リック様、わたくしも心からお慕い申し上げておりますわ。ですから、わたくしが愚かにも悪役令嬢となりましたら、叱り飛ばしてくださいませ。目を覚ませと」
「嫉妬ゆえにそうなるのであれば嬉しいかもしれないね。けれどそのときは何も心配いらないと判るように私の愛をその身にたっぷりと教えてあげよう」
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