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115話 11代目
しおりを挟む俺の頼みで【スキル:クリア】を手に入れに行ってくれたレイニーがカミノの城に帰って来た。
「お帰り、どう?死体あった?」
「いえニカナの城には絶対にないことだけは分かりました」
「そこにないならもう探してもない系かな」
100円ショップとか、特定のコーナーになければ品物はないじゃん?
「ただ行方を知っている人物だけは聞き出せましたよ」
「誰?」
「11代目です」
「……誰!?」
聞いたことがないぞ、11代目。
レイニーとは1000歳ぐらい差があるハズ。
生きているなら強さも半端ない。
「私も知りません」
「え?」
「……とりあえず、食事にでもしましょう」
レイニーからすごい汗が出ている、シャワーぐらい。
でも飯は食べようと言ってくれたし冷静ではいそう。
とはいえ俺だけでは――と部屋の外へ出た瞬間バッタリ会った。
「よっカドマツ」
「ん?ウルフ?」
「今日の昼飯はちゃんと美味い魚だぜ? 交通整備で足の速い魔物たちが海と往復して取ってこれるようになったし」
「ちょうどいいや、レイニー汗まみれなんで飯一緒に喰ってくれ」
「またかよ!? 今度は何!?」
ボタボタ、ボタボタ、レイニーからどんどん水が溢れていく。
「冷静ですよ私は、ご飯だってちゃんと食べます」
「腹減ってんのか? よし、すぐ食堂に行こう、飯さえ喰えば気分も落ち着くって」
食堂は窓を塞いでレイニーのために暗くしてある。
大人しくレイニーが食べ始めてくれたので俺も食べる。
何かの魚、刺身、この国を発展させて良かったと思えるぐらいには美味い。
「うまいなコレ!」
「美味しいですね」
「……そういえばだけどよ? お前らカドマツが殺されないための作戦考えられたのか?」
「ん? 考えたけど振り出しっていうか……ああそうだ聞きたいんだけど11代目の異世界転生者って誰か分かる?」
「オヤジ」
ん? オヤジ? いや、でも顔が――見覚えがある程度だろ?
「ガゴリグさんなら知ってるってこと?」
「いや、11代目は親父だぞ?」
「11代目の顔は見たけど誰だったか覚えてないってレイニー言ってたよな……」
「そりゃ真実のスキルカードで一度だけ治ったきりだし」
治った?
「怪我でもしてたのか?」
「拷問されて顔が変わってたのを無理やり今の顔にしてるらしい、理由は知らん」
「ふーん」
でも、11代目がガゴリグさんだってことなら普通に聞いてみよう。
なんで遺体の場所を知っているのかは分からないが、それよりも、だ。
レイニーの汗が悪化してる。
「骨とか喉に刺さった――じゃないな、どっか苦いところでも食べちゃった?」
「この感情だとガゴリグさんを殺しかねないのでお二人で一度話を聞いてきていただけますか?」
ガゴリグを殺す!?
「お、オヤジを……おいレイニー!?」
「話を聞いてくるからな? 大人しく待ってろ」
「オヤジのところの上空に飛ぶぞ、構えろ」
ウルフの【スキルカード:テレポーター】でガゴリグさんの船へ飛んだ。
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