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16話☆交流試合
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すっかり30度超えが当たり前になった7月の最終土曜。今年度初の連盟交流試合が行われる。
連盟とは、いくつもの女子プロレス団体が共同で作った組織だ。
以前と比べて競技人口が増えたとは言っても、どの団体も新人の獲得にはいつも苦労している。入ってもデビュー数年で辞めてしまう人もいるので、なかなか興行のメインを張れる主力選手が育ちにくい。
そんな中で、人材育成のために作られた組織がこの関東高校女子プロレス連盟だ。
主には今日みたいな交流試合を企画したり、高校の女子プロレス部で指導したり、一緒に練習する場を作ったりすることで、女子プロレス界を盛り上げるようなことをやっている。
競技人口が増えればそれだけ有望な新人が入ってくる可能性が増えるからだ。
今日の交流試合は女子プロレス団体関係者も見に来ていて、将来有望な選手に目星を付けたりする。
一応試合は撮影されるみたいで、将来デビューしたらドキュメンタリー動画みたいな感じで、高校時代の映像として使われたりするのかな。
交流試合は毎回100人くらい参加しているみたいで、4人1組でリーグ戦をする。だから今日は3試合だ。どの組に入っているかは会場についてプログラムをもらわないといけないんだけど。
「あ、あれじゃない?次の信号の向こうにある建物。体育館っぽいよね」
「え、あっ、そうだね」
いつもより咲来の声が固い。
「咲来?緊張してる?」
「あ、うん。試合の前、いつもこうで。でも大丈夫」
ちょっと意外な一面。静かに集中するタイプかなって思っていたけど、緊張していたのか。
始めたばかりの競技で初めての試合だから無理もない。学校で散々スパーリングしたし動きもいい感じだったから、普段通り動ければ問題ないとは思うけど。
体育館に着いたらまずは受付。学校名と名前を言ってプログラムを受け取った。
もう結構人が来ていてざわざわしている。今回は堀田先生は来れないから私たち2人だけだ。それでも先生は見に来たかったって言ってくれた。
「先生、今日は来ないんだよね?」
「って言ってたね。どうしても外せない用事があるって」
「そっか。私セコンドとかも初めてだけど、大丈夫かな」
「大丈夫大丈夫。実際そんなにやることないから。セコンドが止めるほどやばい試合なんてそうそうないよ。初心者の部ならレフェリーも気を付けてくれてるだろうし」
そう言いながらプログラムをめくると咲来の名前を見つける。初心者の部、Aグループだ。2年生も一人いるけどあとは1年生だ。
「咲来、名前あったよ。Aグルー…」
「前田ちゃん、これ見て」
咲来が驚いた表情でプログラムを指さしている。
あかねと3人で新大久保に行って以来、咲来は私のことを前田ちゃんと呼ぶようになった。あかねに追いついたとドヤったら部活の同期が何言ってんのって鼻で笑われた。密かに私の中では下の名前で呼んでもらうことを次の目標にしている。
でもそんな平和な思い出を緊張で上書きされた。咲来が指さすFグループ。私の名前もあったけど、同じグループに書いてある別の名前に目が釘付けになる。
"紫苑女子大学附属高校 1年 高山美優"
思わず咲来と顔を見合わせた。
連盟とは、いくつもの女子プロレス団体が共同で作った組織だ。
以前と比べて競技人口が増えたとは言っても、どの団体も新人の獲得にはいつも苦労している。入ってもデビュー数年で辞めてしまう人もいるので、なかなか興行のメインを張れる主力選手が育ちにくい。
そんな中で、人材育成のために作られた組織がこの関東高校女子プロレス連盟だ。
主には今日みたいな交流試合を企画したり、高校の女子プロレス部で指導したり、一緒に練習する場を作ったりすることで、女子プロレス界を盛り上げるようなことをやっている。
競技人口が増えればそれだけ有望な新人が入ってくる可能性が増えるからだ。
今日の交流試合は女子プロレス団体関係者も見に来ていて、将来有望な選手に目星を付けたりする。
一応試合は撮影されるみたいで、将来デビューしたらドキュメンタリー動画みたいな感じで、高校時代の映像として使われたりするのかな。
交流試合は毎回100人くらい参加しているみたいで、4人1組でリーグ戦をする。だから今日は3試合だ。どの組に入っているかは会場についてプログラムをもらわないといけないんだけど。
「あ、あれじゃない?次の信号の向こうにある建物。体育館っぽいよね」
「え、あっ、そうだね」
いつもより咲来の声が固い。
「咲来?緊張してる?」
「あ、うん。試合の前、いつもこうで。でも大丈夫」
ちょっと意外な一面。静かに集中するタイプかなって思っていたけど、緊張していたのか。
始めたばかりの競技で初めての試合だから無理もない。学校で散々スパーリングしたし動きもいい感じだったから、普段通り動ければ問題ないとは思うけど。
体育館に着いたらまずは受付。学校名と名前を言ってプログラムを受け取った。
もう結構人が来ていてざわざわしている。今回は堀田先生は来れないから私たち2人だけだ。それでも先生は見に来たかったって言ってくれた。
「先生、今日は来ないんだよね?」
「って言ってたね。どうしても外せない用事があるって」
「そっか。私セコンドとかも初めてだけど、大丈夫かな」
「大丈夫大丈夫。実際そんなにやることないから。セコンドが止めるほどやばい試合なんてそうそうないよ。初心者の部ならレフェリーも気を付けてくれてるだろうし」
そう言いながらプログラムをめくると咲来の名前を見つける。初心者の部、Aグループだ。2年生も一人いるけどあとは1年生だ。
「咲来、名前あったよ。Aグルー…」
「前田ちゃん、これ見て」
咲来が驚いた表情でプログラムを指さしている。
あかねと3人で新大久保に行って以来、咲来は私のことを前田ちゃんと呼ぶようになった。あかねに追いついたとドヤったら部活の同期が何言ってんのって鼻で笑われた。密かに私の中では下の名前で呼んでもらうことを次の目標にしている。
でもそんな平和な思い出を緊張で上書きされた。咲来が指さすFグループ。私の名前もあったけど、同じグループに書いてある別の名前に目が釘付けになる。
"紫苑女子大学附属高校 1年 高山美優"
思わず咲来と顔を見合わせた。
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