2 / 30
第2話 陛下の説明 宰相目線
しおりを挟む
「わたしたちは隣国と長く戦争をしております。隣国は卑怯な手を使い我が国を圧倒しております。このままでは我が国は滅んでしまいます。そこであなたを聖女様をお招きしました。どうぞ我々を助けて下さい」
聖女様は陛下の話が終わっても黙って座っておられます。そこでわたくしが
「聖女様、あなたは聖女の力があります。それを使い兵を癒し、励まして下さいませ。さすれば我が国は勝利を得られます」
「聖女の力?わたしにはなにもないわ」と聖女様がお返事をした。心地よい声だ。
「聖女様、魔力をお持ちです。魔法士が指導致します」と心を込めて言うと
「あなたがたは自分たちの魔力を使おうとは思わないのですか?」とおっしゃった。
「魔力がなくとも、王室の人とか貴族が戦線を訪れることはないのですか?軍を鼓舞したり、怪我人を励ましたりしてますか?」と続けて聖女様がおっしゃったときは驚いた。
「それは・・・」
「その程度のことは聖女じゃなくても出来ることです。わたしの世界では一般の人がやっていることですよ」その時、聖女様の目に暗い炎がゆらめいたように見えたのは光の加減だろうとその時は思ったが、よくお話させていただけば良かったのだ・・・今となってはの話になってしまうが・・・
「聖女様、あなたの国は素晴らしいのですね。慈悲の光に満ちたお国からいらした聖女様。どうぞ我が国を救って下さい」と陛下が身を乗り出して聖女様に言っておられる。
聖女様はふっと笑うと
「あちらの国に帰る方法はありますか?」と陛下に向かって言った。返事はご存知のはずだが、はっきりと聞きたいのであろうとわたしは黙って陛下の返事を待った。
「申し訳ない。それはない。あなたは帰れない」と陛下ははっきりとおっしゃった。
すると聖女様の目から涙がすーーと流れた。声を出さずに涙だけが流れた。
陛下は席を立たれると聖女様の隣に座り手を取った。
「あなたにはすまないことをした。だがわたしがあなたの帰る場所になる。かならずわたしがあなたを守り受け止める。信じて欲しい」と言った。すると聖女様は陛下の胸にしがみついた。嗚咽が聞こえる。陛下は聖女様の背をゆっくりと撫でて行く。
わたしは、そっと立ち上がると部屋を出た。
まもなく、聖女様と陛下の婚約が発表された。安心した。聖女と国王の結婚。これは欠かすことができない要素だ。
聖女召喚はこれで完璧になる。
聖女様は陛下の話が終わっても黙って座っておられます。そこでわたくしが
「聖女様、あなたは聖女の力があります。それを使い兵を癒し、励まして下さいませ。さすれば我が国は勝利を得られます」
「聖女の力?わたしにはなにもないわ」と聖女様がお返事をした。心地よい声だ。
「聖女様、魔力をお持ちです。魔法士が指導致します」と心を込めて言うと
「あなたがたは自分たちの魔力を使おうとは思わないのですか?」とおっしゃった。
「魔力がなくとも、王室の人とか貴族が戦線を訪れることはないのですか?軍を鼓舞したり、怪我人を励ましたりしてますか?」と続けて聖女様がおっしゃったときは驚いた。
「それは・・・」
「その程度のことは聖女じゃなくても出来ることです。わたしの世界では一般の人がやっていることですよ」その時、聖女様の目に暗い炎がゆらめいたように見えたのは光の加減だろうとその時は思ったが、よくお話させていただけば良かったのだ・・・今となってはの話になってしまうが・・・
「聖女様、あなたの国は素晴らしいのですね。慈悲の光に満ちたお国からいらした聖女様。どうぞ我が国を救って下さい」と陛下が身を乗り出して聖女様に言っておられる。
聖女様はふっと笑うと
「あちらの国に帰る方法はありますか?」と陛下に向かって言った。返事はご存知のはずだが、はっきりと聞きたいのであろうとわたしは黙って陛下の返事を待った。
「申し訳ない。それはない。あなたは帰れない」と陛下ははっきりとおっしゃった。
すると聖女様の目から涙がすーーと流れた。声を出さずに涙だけが流れた。
陛下は席を立たれると聖女様の隣に座り手を取った。
「あなたにはすまないことをした。だがわたしがあなたの帰る場所になる。かならずわたしがあなたを守り受け止める。信じて欲しい」と言った。すると聖女様は陛下の胸にしがみついた。嗚咽が聞こえる。陛下は聖女様の背をゆっくりと撫でて行く。
わたしは、そっと立ち上がると部屋を出た。
まもなく、聖女様と陛下の婚約が発表された。安心した。聖女と国王の結婚。これは欠かすことができない要素だ。
聖女召喚はこれで完璧になる。
150
あなたにおすすめの小説
聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!?
元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。
聖女の任期終了後、婚活を始めてみたら六歳の可愛い男児が立候補してきた!
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
23歳のメルリラは、聖女の任期を終えたばかり。結婚適齢期を少し過ぎた彼女は、幸せな結婚を夢見て婚活に励むが、なかなか相手が見つからない。原因は「元聖女」という肩書にあった。聖女を務めた女性は慣例として専属聖騎士と結婚することが多く、メルリラもまた、かつての専属聖騎士フェイビアンと結ばれるものと世間から思われているのだ。しかし、メルリラとフェイビアンは口げんかが絶えない関係で、恋愛感情など皆無。彼を結婚相手として考えたことなどなかった。それでも世間の誤解は解けず、婚活は難航する。そんなある日、聖女を辞めて半年が経った頃、メルリラの婚活を知った公爵子息ハリソン(6歳)がやって来て――。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!
貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。
聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~
高井繭来
恋愛
サイヒ・レイラン・フワーラはカカン王国の公爵令嬢であり国の安寧を護る【聖女】であった。
婚約者はカカン国の王太子ローズ。
だがローズが愛しているのはサイヒの双子の姉のマーガレットであった。
そしてマーガレットもまたローズに恋心を抱いていた。
シスコンのサイヒは自らの【聖女】の能力をマーガレットに授け、自らはローズとの婚約を白紙に戻し、マーガレットとローズとの婚約を結ばせる。
慈愛溢れるマーガレットと妹の様に大切にしてくれたローズが自分の存在のせいで苦しまないよう、サイヒは自ら国を出る事を決意する。
そしてサイヒが第2の人生を送ろうと決めた場所は隣国の皇太子の後宮であった。
【聖女】の力を渡したと言ってもサイヒの法力は0.5%程減っただけ。
法力だけでなく魔力も宿す【賢者】としての能力をこれからは隠すことなく気のままに生きる事を決めたサイヒ。
自国じゃないならはっちゃけても良いですよね?
サイヒは【賢者】としての能力を思う存分奮ってこれからの生活をエンジョイすると意気込むのであった。
※世界観は大陸の西が中世ヨーロッパ風・東がアジア風です。
舞台となる帝国は大陸のど真ん中なのでどっちの要素も良い感じに混じっています。
題名が変わりました(*- -)(*_ _)ペコリ
6/18 HOTランキング1位。
ランキング3位。
読んでくださった皆様のおかげです。
感謝感謝です(人''▽`)ありがとう☆
7/25
【聖女として召喚されたのは双子の兄妹でしたー聖女である妹のオマケである兄は国王の小姓となって王都復興を目指しますー】が始まりました。
このお話の1000年前のカカン国の話です。
良かったらそちらも覗いてみて下さいね(*- -)(*_ _)ペコリ
7/29
聖女が今日もウザいですー男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたーが始まりました。
こちらの物語とリンクております。
その内アチラのキャラがこちらに出演する予定です。
サイヒの友人がわりとサイヒの事を呟いていたりします。
4/17
新連載【顔を焼かれ妹に荒野に捨てられた公爵令嬢、力を得て皇太子の護衛として王国へと帰還する】と話がリンクしています。
良ければそちらも覗いてやって下さい(*- -)(*_ _)ペコリ
5/15
本編完結といたしました。
姉の名前を”マーガレット”に変更しております。
本編は完結しましたがお話はまだ続いております。
2022/10/19
2章始まりました。
良ければまたお付き合いください。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
私を裁いたその口で、今さら赦しを乞うのですか?
榛乃
恋愛
「貴様には、王都からの追放を命ずる」
“偽物の聖女”と断じられ、神の声を騙った“魔女”として断罪されたリディア。
地位も居場所も、婚約者さえも奪われ、更には信じていた神にすら見放された彼女に、人々は罵声と憎悪を浴びせる。
終わりのない逃避の果て、彼女は廃墟同然と化した礼拝堂へ辿り着く。
そこにいたのは、嘗て病から自分を救ってくれた、主神・ルシエルだった。
けれど再会した彼は、リディアを冷たく突き放す。
「“本物の聖女”なら、神に無条件で溺愛されるとでも思っていたのか」
全てを失った聖女と、過去に傷を抱えた神。
すれ違い、衝突しながらも、やがて少しずつ心を通わせていく――
これは、哀しみの果てに辿り着いたふたりが、やさしい愛に救われるまでの物語。
護国の聖女、婚約破棄の上、国外追放される。〜もう護らなくていいんですね〜
ココちゃん
恋愛
平民出身と蔑まれつつも、聖女として10年間一人で護国の大結界を維持してきたジルヴァラは、学園の卒業式で、冤罪を理由に第一王子に婚約を破棄され、国外追放されてしまう。
護国の大結界は、聖女が結界の外に出た瞬間、消滅してしまうけれど、王子の新しい婚約者さんが次の聖女だっていうし大丈夫だよね。
がんばれ。
…テンプレ聖女モノです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる