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32 捕まった殿方目線
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今日も、彼女たちの声がよく通る。
マクサの女の子たち。噂話に花を咲かせる。
「仕事に出て来なかったわね」
「そりゃ、そうでしょ。と言いたいけど、来たわね。一人だけ」
「でも、あの仕事ってけっこん気楽そう。イヤホンつけてたから、自由だよね」
「お笑いとか聞いてる?」
「ヤダァ、意地悪ね」
「一緒に笑った人はおんなじ」
ここで爆笑って、楽しそうだな。
聞いた名前のジングウジを検索して見る。海外の方が名前が売れてる?!
会社を買い取って解体して売り払う!まずいな。あの女の子たち、いらないよな。この楽しみも無くなるのか?
昼休みも終わるのか、彼女たちが席を立った。
ノートパソコンを閉じようとしたら、メールが来た。
件名はラブコール。は?本文は、一行だけ。
こちらでお話ししませんか?
僕はうっかり、顔を上げてしまった。
視線の先、窓際席の男が二人、こちらを見て、やわらかく笑っていた。
知らない顔だ。
けれど、その笑みは、知らない人間が浮かべる笑みではなかった。
「見つけた」と口に出さずに言う種類の笑い方。
僕の体は、椅子の背に深く沈み込んだ。
背もたれの布が、骨の形に沿って軋む。
一人が、立ち上がる。微笑みを浮かべたままこちらに歩いて来る。
「突然のメール、驚かせてしまいましたね」
知らない振りで首を傾げるつもりだった。だが、それは単なる時間の無駄だ。
単なるオタクの僕はそれ以外できない。謝罪しか出来ない。
「数分だけ、お時間をいただけますか」
男は笑う。人なっつこい笑顔で。
僕は席を移動した。
話は悪いものではなかった。僕のパソコンの中の女の子たちが持っている情報を提供して欲しいと言うものだった。
「どうしますか?提供があなたと言うのは決して漏らしません。情報料だけで終わりにしてもいいし、この会社に入りますか?この秘書の元で働いて貰うと言うのは?少しだけいけないことをして貰いますけど」
魅力的な提案だ。そして怖いもの見たさで僕はこの秘書の元で働くことを選んだ。
怖いものをたっぷりと見た。そりゃもう、予想以上、覚悟以上だった。
マクサの女の子たち。噂話に花を咲かせる。
「仕事に出て来なかったわね」
「そりゃ、そうでしょ。と言いたいけど、来たわね。一人だけ」
「でも、あの仕事ってけっこん気楽そう。イヤホンつけてたから、自由だよね」
「お笑いとか聞いてる?」
「ヤダァ、意地悪ね」
「一緒に笑った人はおんなじ」
ここで爆笑って、楽しそうだな。
聞いた名前のジングウジを検索して見る。海外の方が名前が売れてる?!
会社を買い取って解体して売り払う!まずいな。あの女の子たち、いらないよな。この楽しみも無くなるのか?
昼休みも終わるのか、彼女たちが席を立った。
ノートパソコンを閉じようとしたら、メールが来た。
件名はラブコール。は?本文は、一行だけ。
こちらでお話ししませんか?
僕はうっかり、顔を上げてしまった。
視線の先、窓際席の男が二人、こちらを見て、やわらかく笑っていた。
知らない顔だ。
けれど、その笑みは、知らない人間が浮かべる笑みではなかった。
「見つけた」と口に出さずに言う種類の笑い方。
僕の体は、椅子の背に深く沈み込んだ。
背もたれの布が、骨の形に沿って軋む。
一人が、立ち上がる。微笑みを浮かべたままこちらに歩いて来る。
「突然のメール、驚かせてしまいましたね」
知らない振りで首を傾げるつもりだった。だが、それは単なる時間の無駄だ。
単なるオタクの僕はそれ以外できない。謝罪しか出来ない。
「数分だけ、お時間をいただけますか」
男は笑う。人なっつこい笑顔で。
僕は席を移動した。
話は悪いものではなかった。僕のパソコンの中の女の子たちが持っている情報を提供して欲しいと言うものだった。
「どうしますか?提供があなたと言うのは決して漏らしません。情報料だけで終わりにしてもいいし、この会社に入りますか?この秘書の元で働いて貰うと言うのは?少しだけいけないことをして貰いますけど」
魅力的な提案だ。そして怖いもの見たさで僕はこの秘書の元で働くことを選んだ。
怖いものをたっぷりと見た。そりゃもう、予想以上、覚悟以上だった。
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