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第58話 王都の日常
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王都の民にも避難しないというのを選んだものがいる。丹精した庭を放棄できない。家を建てたばかり。死ぬならこの家で。
中には戦争で儲ける!そんな理由もあった。
軍が来て人が増えたのを見て、屋台が広場に並んだ。王都への食料の供給は途絶えずに行われていた。
しばらくすると、連合軍が呼んだ援軍がどんどん王都に到着した。彼は競争で王都を目指したとかで、怪我はないものの疲れきっていた。
「よく来てくれた。思う存分食べてくれ。飲んでくれ」と言う王の言葉が伝えられた。
連合軍の援軍は苦戦している味方を助けてリーブル王国をたたくつもりでやって来た。それなのに歓迎された。油断している相手を叩くべきだとわかっていたが、空腹と喉の渇きは剣を抜く手を止めた。
一方、国王の仲間たちは連合軍は自分たちに協力して敵をたたくためにやって来たと思っていた。だからこそ、王の言葉だった。
チャールズ・メイナードはふと思った。敵ってなんだ? アリスは小国群が攻めて来るから戦うと言った。王都を戦場にするから避難しろと言った。
何故、わたしたちは彼らを歓迎しているのだ? メアリー殿下がお茶会で知り合った国だからと言っても、攻め入って来たのは小国群だ。
父上はともかく国王陛下とか宰相とかは、アリスの意見。アリスの提案に反対したかったのではないか?アリスに反対したい。そうなのでは?
王都が戦場になっていないのは・・・単純に・・・歓迎したから?
チャールズは父と話したが
「アリスはいじけてるんだ。わたしの愛情がないと思い込んで・・・わがままを全部聞いてやる・・・姉上も妻もわたしを騙していた。いらない。チャールズお前はどうなんだ」と言うだけの父に危惧していることを話しても無駄だと悟った。
チャールズは王都以外の国の状況を確認してはどうかと騎士団長に提案してみたが
王宮の守りで手一杯でそれどころではない。と一蹴された。
チャールズは宰相に偵察をして来ますと告げると王都を出た。
外は穏やかで街道沿いの畑では小麦の穂が揺れていた。店も営業しており
「王都から避難して来た人は、伯爵領に行ったみたいだね。ここを通って行ったよ。大変そうだったけど、旅も楽しいとか言う人もいてね。大きな声じゃ言えないけどって言いながら、戦争もいいね。なんて冗談が出てたよ」と教えてくれた。
ただ、なんとなくきりっとした雰囲気の男たちが、ちらほらいるのが気になったが、追求する勇気はなかった。
チャールズは行けるところまで行ってみようと、さらに南へ向かった。
王都にやって来た軍は、お土産に王都の店でいろいろな物を買った。商店主の読みは当たり、彼らは戦争で儲けた。なんせ、ちょっと前、メアリー王女のお茶会に出席した令嬢の護衛たちが大量に買い物したのだ。軍隊だって買い物するだろうと商人は思ったのだ。
王都にやって来た連合軍の彼らにとって今は休暇のようなものだ。何人かで固まって歩き回り、買い物をして買い食いをする。
お茶会の護衛をした従兄弟が語った王都に自分がいる。
ここで恋でも芽生えれば最高だが、生憎と王都に残っているのはおじさんが多かった。
でもなじみの屋台が出来、挨拶を交わす毎日は楽しかった。
だが屋台は減って行った。
「今日が最後だ」とお互いにお礼を言って別れた。
お土産を買ったお店は閉店して、屋台もなくなった。どっちを向いてもどこに行っても軍の関係者しかいない。
ポーレットはしぶしぶメイナード侯爵と一緒に王宮にやって来た。小国群が連合軍を組んで攻めて来ているとか。とんでもないことだ。
夫は、相変わらずアリスに詫びながらめそめそしていて、話にならない。宰相と騎士団長が慰めている。なんて言ってるか耳をすませていると
「しっかりしてると言っても子供だから。甘やかしたらいいんだよ。子馬を贈ったらどうかな?」
「贈り物は受け取って貰えない。手紙もそのまま返って来る。王宮に住んでいるのに絶対に会えない」と泣いている。
ポーレットは腹がたって仕方なかった。誰かに話を聞いて欲しかった。
こんな時に一番意見が合うのはステラだった。だが・・・だが・・・どうして?喧嘩した?
そうだ・・・アリスがおかしなことを言ったから!
アリスが・・・あれしきのことで。
わたくしの苦労を誰もわかってくれない。ポーレットの怒りは膨れ上がって行った。
中には戦争で儲ける!そんな理由もあった。
軍が来て人が増えたのを見て、屋台が広場に並んだ。王都への食料の供給は途絶えずに行われていた。
しばらくすると、連合軍が呼んだ援軍がどんどん王都に到着した。彼は競争で王都を目指したとかで、怪我はないものの疲れきっていた。
「よく来てくれた。思う存分食べてくれ。飲んでくれ」と言う王の言葉が伝えられた。
連合軍の援軍は苦戦している味方を助けてリーブル王国をたたくつもりでやって来た。それなのに歓迎された。油断している相手を叩くべきだとわかっていたが、空腹と喉の渇きは剣を抜く手を止めた。
一方、国王の仲間たちは連合軍は自分たちに協力して敵をたたくためにやって来たと思っていた。だからこそ、王の言葉だった。
チャールズ・メイナードはふと思った。敵ってなんだ? アリスは小国群が攻めて来るから戦うと言った。王都を戦場にするから避難しろと言った。
何故、わたしたちは彼らを歓迎しているのだ? メアリー殿下がお茶会で知り合った国だからと言っても、攻め入って来たのは小国群だ。
父上はともかく国王陛下とか宰相とかは、アリスの意見。アリスの提案に反対したかったのではないか?アリスに反対したい。そうなのでは?
王都が戦場になっていないのは・・・単純に・・・歓迎したから?
チャールズは父と話したが
「アリスはいじけてるんだ。わたしの愛情がないと思い込んで・・・わがままを全部聞いてやる・・・姉上も妻もわたしを騙していた。いらない。チャールズお前はどうなんだ」と言うだけの父に危惧していることを話しても無駄だと悟った。
チャールズは王都以外の国の状況を確認してはどうかと騎士団長に提案してみたが
王宮の守りで手一杯でそれどころではない。と一蹴された。
チャールズは宰相に偵察をして来ますと告げると王都を出た。
外は穏やかで街道沿いの畑では小麦の穂が揺れていた。店も営業しており
「王都から避難して来た人は、伯爵領に行ったみたいだね。ここを通って行ったよ。大変そうだったけど、旅も楽しいとか言う人もいてね。大きな声じゃ言えないけどって言いながら、戦争もいいね。なんて冗談が出てたよ」と教えてくれた。
ただ、なんとなくきりっとした雰囲気の男たちが、ちらほらいるのが気になったが、追求する勇気はなかった。
チャールズは行けるところまで行ってみようと、さらに南へ向かった。
王都にやって来た軍は、お土産に王都の店でいろいろな物を買った。商店主の読みは当たり、彼らは戦争で儲けた。なんせ、ちょっと前、メアリー王女のお茶会に出席した令嬢の護衛たちが大量に買い物したのだ。軍隊だって買い物するだろうと商人は思ったのだ。
王都にやって来た連合軍の彼らにとって今は休暇のようなものだ。何人かで固まって歩き回り、買い物をして買い食いをする。
お茶会の護衛をした従兄弟が語った王都に自分がいる。
ここで恋でも芽生えれば最高だが、生憎と王都に残っているのはおじさんが多かった。
でもなじみの屋台が出来、挨拶を交わす毎日は楽しかった。
だが屋台は減って行った。
「今日が最後だ」とお互いにお礼を言って別れた。
お土産を買ったお店は閉店して、屋台もなくなった。どっちを向いてもどこに行っても軍の関係者しかいない。
ポーレットはしぶしぶメイナード侯爵と一緒に王宮にやって来た。小国群が連合軍を組んで攻めて来ているとか。とんでもないことだ。
夫は、相変わらずアリスに詫びながらめそめそしていて、話にならない。宰相と騎士団長が慰めている。なんて言ってるか耳をすませていると
「しっかりしてると言っても子供だから。甘やかしたらいいんだよ。子馬を贈ったらどうかな?」
「贈り物は受け取って貰えない。手紙もそのまま返って来る。王宮に住んでいるのに絶対に会えない」と泣いている。
ポーレットは腹がたって仕方なかった。誰かに話を聞いて欲しかった。
こんな時に一番意見が合うのはステラだった。だが・・・だが・・・どうして?喧嘩した?
そうだ・・・アリスがおかしなことを言ったから!
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